1章 探偵役、ぬるりと舞台へ 1話 緒田の頼みー01
こんにちは。
二作目です。
一作目もまだ終わってないのに、書くのはどうかな、と思ったんですが、モチベーション維持のために、書かせて下さい。
【世界の狂う重さ】と、同じ世界での話です。一応。
ただ、とは言っても、この作品には【能力】は出てきません。推理小説として読んで頂ければ幸いです。
物語中でもそのうち言及しますが、【能力】が出てこないというのは、事件に【能力】は使われていない、という事です。登場人物の会話の中には、【能力】関連の会話は出てくる事もあります。ご了承ください。
なお、【能力】関連の説明は、あまり詳しくはしないと思います。私の前作を読んで頂ければ、それが一番嬉しいのですが、極力、読まなくても分かるようにします。
では、よろしくお願いします。
「だから、何でそれを俺に頼むんだよ。」
と、何度目か分からない質問の言葉を、俺は言った。
すると緒田 洋<おだ ひろし>は、これまた何度目か分からない屁理屈を繰り返し言う。
「だって、友達だろ?俺たち。」
もうそれは分かったよ。
俺たちが友達なのを、今日一日だけで、何回確認するつもりなんだよお前は。
「あぁそうだよ、俺たちは友達だよ。腐れ縁だな。世間一般で言う所の、親友の域まできっと達しているさ。…でも、ソレとコレとは関係ないだろ?」
同じような問答に、いらいらしていた俺は、少し怒鳴り気味にそう答えた。
「だから、あるよ。あるってばさ。親友だから頼んでるんだろ?」
と緒田。
「いい加減しつこいぞ、緒田。さっきから何度も言ってるだろ、お前の話は、俺に相談するような事じゃない、って。警察に言え。」
「だから何度も言ってるだろ?警察には、もう言ったよ。」
大きく溜め息をついて、俺は言う。
「だから、俺だって何度も言ってるだろ、それならそれで解決だ。だろ?何が不満なんだ。」
「警察は分かってくれない。」
判で押したように、同じような会話が、細かな言い回しだけを変えて繰り返される。
というか、警察は分かってくれないとか、思春期の中学生か、お前は。
このまま黙っていると、また緒田が「でも俺たち友達だろ?だからお前に頼むんだ」とか何とか言いそうだったので、
「……………なら探偵に言えよ。少なくとも俺がどうこうできる問題じゃないぞ、それは。」
今までとは少し違った事を言ってみる。
「駄目だって。探偵だってきっと分かってくれない。親友だからこそ、頼んでるんだよ。」
「分かってくれないって、決め付けるなよ。というか多分、いやかなりの確立で相談くらいはのってくれる筈だぞ?なんたって、殺人事件の相談なんだからな。」
「いや、無理だよ。分かってくれないよ。」
せっかく俺が解決策を提示したのに、緒田はスッパリと否定した。
何だかちょっとむかつく。