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僕と君の時間

ふと書いてみたいと思い書いただけのただの自己満の作品です。時間に余裕のある方、ぜひ。

クロノスタシスという現象は知っているだろうか

現象が起こったことはあるが、名前は知らない。

という人が多いだろう。


僕はカルマ。残り1ヶ月の時間しか残されていない

20歳を迎えた大学生だ。


「残り1ヶ月か。自分は今までどんな事をしてきたのだろう。誰かの役に立てただろうか。」


缶に口をつけ、そんなことを考えながら一日が終わる。


ある日、隣に女の子がやってきた。

大学生らしい。その女の子は残り1ヶ月と僕と同じ時間の残された人間だった。しかし、僕は一目見た途端。


「あぁ。このこの世にはこんな美しい人間がいるんだ」と思ってしまった。

________________________

僕は全くと言っていいほどテレビを見ない。

そして、これまでの学校はすべて男子校だった。

要するに、「女性を知らなかった」のだ。


僕は話しかけることが出来ず、稀に見える君の顔を

バレないよう頬を赤らめながら覗くことしか出来なかった。


その数日後。

いきなり隣の女の子が

「ねぇ。クロノスタシスって知ってる?」と僕に一言。僕は好きだと悟られないよう、自分の中にある何かを抑えながら、こう言う。


「わからない、なにかの名前?」


「違うよ、クロノスタシスって言うのはね。」


意味を聞く前に


「点滴の時間だよ」


とナースさんが女の子に、声をかけた。

クロノスタシスとはなんなのか

意味も知らないまま、その一日は終わってしまった。

________________________

次の日。

女の子は


「お酒は体に良くないよ?」


とまた僕に声をかけてくれた。

まだ慣れていない僕は不器用ながら


「ふふっ、大丈夫だよ。飲んだって飲まなくたって僕はもう死んでしまうんだ。」


「じゃあ私も飲もうかなぁ?1口飲ませてよ。」って。


僕は思った。

「そんなことできるはずないじゃないか。

そんなの恥ずかしいに決まってる。」と。


だけど僕は断れないまま君にお酒を差し出す。


「私、未成年だけどね。ふふっ」

と悪い顔をして缶に口をつける。


「悪い人だ。苦いでしょ?子供にはまだ早いよ?」

と少しからかうように言った。


そうすると君は

「子供じゃないよ。悪い子だからね。」


そんな会話をしながらどんどんと

残されていた時間は短くなる。

________________________

あと3日となってしまった。


「もう僕も終わりか。あの子に気持ちを伝えたいな」


なんて考えながらベットに横たわっている。

君はカーテンを動かしまた僕に話しかける。


「奇遇だね。私もあと3日なの。」


えっ。僕は驚いた。

余命が残り3日と一緒なのもそうだが、僕は残り何日だと口にしただろうか。

なぜ君が僕の余命を知っているのだろうか。と

そう思ったからだ。


「そうなんだ。もうこの世には居れないんだよね。」


「最後の一日は長くなるよ。それも私と一緒。」


その言葉を聞き、僕の中にあるなにかが弾けた。

何が引き金だったのか、それも僕にはわからない。


「僕!君のことが好きなんだ。この3日、共に過ごしてくれないだろうか。」


返事は


「共に過ごしてくれないだろうかって隣だもんずっと一緒でしょ?」


そう返された。

返事はどっちなのだろう。そう怯えていた時。


「私もね、君と話すきっかけが欲しかったんだ。

私、一目惚れだったんだ。一瞬見えたカーテンの隙間から。」


両思いだったらしい。


「じゃ、じゃあ!」


「いいよ。一緒に過ごそ?」


その会話を最後に一日が終わった。

________________________

残り2日となった日。


女の子の容態が急変し、亡くなってしまった。

僕は泣きやめずにいた。

最初で最後の恋人だった。たった数時間の。

とても短い恋人だった。


その時。


「カルマさん、あなた宛てに手紙がありますよ」


誰だ、こんな時に手紙なんて。ほっといてくれ。

なんて思いながらその手紙を見た。

すると、裏には女の子の名前が書いてあった。

雪乃。それが彼女の名前だった。


手紙は1枚に収まっていた。

所々ふやけている箇所があった。


「カルマ君へ


これを読んでるってことは、きっと君より早く死んでしまったんだね。私の負けだね。(笑)


ねぇ、初めて話したこと覚えてる?

クロノスタシスって知ってる?って聞いた事。


あれね、時計の針が止まって見える現象の事なんだ

私秒針と時針が12時に重なる1分前に

その現象が毎回起きたんだ。


その度に


ずっとこのままクロノスタシスが続いて

君を見れたらいいのに。って考えちゃうんだ。


恥ずかしいね、こんな事言うの。でもね

ほんとにほんとに君のことが好きだったんだ。


一目見たあの時も話をした時も。

好きだこの人って。そう思ったの。


だけど私も君ももう時間が無いのね。

もっと早く出会えたらよかったのに。

そう思ってばっかりだよ。


そうだ!もし君にもクロノスタシスが起こったら

私に教えてよ!仲間だね!って笑い合お?

待ってるね!忘れないでよ?絶対だからね!

雪乃」


ここで手紙は終わっている。

気づけばまた涙は深くなる。

涙が止まらないまま一日が終わった。

________________________

僕の最後の一日となった。


「最後の一日だ。もうすぐ君に会えるよ。」


そう言いながら僕は屋上のフェンスの奥に立っていた

何故なのだろう。もう死ぬというのに今更死ぬなんて


その時僕は分からなかった。だけどそれは

君に1秒でも早く会いたいと思っていたからに違いない


「今から行くね。」


その瞬間


「待ちなよ!!何してるの!」


どこからかそんな声が聞こえた。

後ろを振り向くが誰もいない。

前を見直すと君がそこで浮かんでいた。


「なにしようとしてるの?」


「死ぬんだ。1秒でも早く会いたいから。」


「そんなことしたら私は君に絶対会わない。」


「どうして?早く会いたいの。もう好きじゃない?」


「そうじゃないよ。

私が生きれなかった一分一秒、君には生きて欲しい

生きててよかったってそう思える、そんな一日にして欲しいの。」


「何をしたら生きててよかったと思えるだろうか」


「約束したクロノスタシス、忘れちゃった?」


そうだった。もう君の約束を忘れるところだった。

そう思い僕はすぐに自分の病室へと戻った。

________________________

最後の2時間だ。


結局、クロノスタシスは1度も体感できなかった

結構起こるらしいが、僕は1度も起きたことがなかった


「君が教えてくれたクロノスタシス、体感出来なかったよ。ごめんね。」


「いいの。精一杯、君には生きてもらったもん

私の分まで。だからもう大丈夫。また一緒に

楽しく笑い合いましょ。」


「うん。そうするよ。」


ふと時計を見ると

時計の時針と秒針が重なる1分前だった。


「今から会いに行くよ。」


と時計を見るが全然進む気配がない。

壊れたかと思い他の時計を見るがすべて止まっている


「これが、クロノスタシス?」


その1分間は今まで生きてきた世界が1番輝いて見える1分間だった。とても綺麗だった。君のように。

最後にずっと飲めずじまいだった君の口づけのお酒を

グッ。と飲み干した。


僕はそのまま息を引き取った。

僕は君と笑い合うことができるだろう。

これからはずっと一緒だよ。

どうでしょうか。クロノスタシス。

皆さんはクロノスタシス起こったことありますでしょうか。自分はありませんが1度は見てみたいものです。

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