表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/99

第40話 最近周りが慌ただしいなあ。



 朝、学校に来てみるとなぜか今日も誰か? が俺の席にやって来ていた。顔は知っている。うちのクラスで圭佑たちとよく集まっているクラスの中心的な人だったはず。でも……ごめん、名前はよく覚えていない。とりあえず教室に入ると圭佑を見つけたので、待ち構えている席に行く前に


「おはよう、圭佑。ちょっといいか? 」


と声をかける。


「おはよう、珍しいな。蒼汰から声をかけてくるなんて」


「ああ、すまん。聞きたいことがある。俺の席で待ち構えているやつ、名前なんだっけ? 」


 聞こえるとまずいと思ったので小さな声で尋ねる。


「はぁ、お前クラスメイトだろ? 覚えとけよ。新見だよ。新見 涼」


 圭佑は呆れながらも名前を教えてくれた。さすが圭佑頼りになるよ。


「圭佑、ありがとう。これで怖いものはない」


 そう言って俺は自分の席へと向かっていくのだった。




「おい、山口」


 いきなりだな、こいつ。良くも知らない相手に挨拶もなしで……こりゃスルーだ。俺は黙って荷物を机の横に掛け席へと座る。


「聞こえてないのか? おい? 」


 再度呼びかけてくるがこんなやつは知らない。俺は知らない。だから聞こえない。そんな俺の態度に見かねたのか圭佑が俺の席へとやって来た。


「新見、そんなんじゃ蒼汰は相手にしないぞ。挨拶もなしでいきなり「おい」って呼びかけても」


 と新見を宥めるように言ってくれた。


「悪い、少し焦りすぎてたみたいだ……おはよう、山口。少し尋ねたいことがあるんだが聞いてくれないか? 」


 なんだ。ちゃんとできるじゃないかと俺は思い無視を止めた。


「おはよう、新見。で、俺になんの用? 」


 名前、圭佑に聞いておいてよかったね。


「ああ、お前ひとつ上の相楽先輩と遠藤先輩と仲がいいよな? どうやって仲良くなったんだ? 」


 ああ、先輩たちのことか。やっぱり俺のことじゃないわけだな。はぁ……圭佑じゃなきゃ先輩たちのことかよ。俺ってやっぱり金魚のフンやコバンザメとでも思われてるんだろうか? そうなら勘弁してほしいが。


「どうやってと言われてもな。友達になって? 仲良くなった? 返事はこんなんでいいのか? 」


「蒼汰らしい回答だな」


 圭佑は横で笑っている。


「友達になることができたのか? どうやって友達になった? 俺は保留されたんだが……」


 保留? ほう、一応直接本人たちには話をしているわけか。で、仲が良いと思われる俺に探りを入れてきた……そんなとこかな?


「えーと。どっちと友達になりたいわけ? 両方? それとも美樹さん? 千夏さん? 」


「おい! 遠藤先輩のことを千夏さん? なんで名前呼びなんだよ! 」


「え? んなこと言われても、千夏さんから名前で呼んでくれって言われたからだけど? 」


「まじか。こんなやつに友達にもなって名前を呼ばせているのに、俺には……」


 そう言った新見はなぜか落ち込んだような顔を見せた。


「こんなやつって……まあそうかもしれんがな。目の前で言うなよ」


 俺は呆れて言葉を返す。圭佑も横でクスクスと笑っている。って千夏さんと友達になりたいのか。って言ってもきっかけは美樹さんと友達になる際の条件で千夏さんとも友達になったんだよなあ。こんな理由言ったって駄目だしなあ。上手く誤魔化すしか無いよな、これ。


「千夏さんとは美樹さん繋がりになるかな? 美樹さんと友達になった関係で友達になったってところかな? 美樹さんと千夏さんは仲が良いから」


 俺は当たり障りのない内容で話しておいた。


「相楽先輩づてか。それならどうしようもないな。相楽先輩を利用なんてしたら遠藤先輩に嫌われるぞ」


 横から圭佑がそんな事を言う。うん、そんなことしてほしくないね。圭佑、ナイスフォロー。


「はぁ……そうか。なにか上手いことがあればと思って聞いてみたんだが……わかったよ。山口、ありがとう」


 そう言って新見は席に戻っていった。なんだ、きちんとお礼言えるじゃないか? 最初からそうだったら印象違ったのにな。もったいない。


「なんか朝から悪いな、蒼汰。新見も一応俺の友達だからフォローに来たんだけど……」


「ああ、気にすんな。こういうことには慣れてるわ。圭佑のお陰で」


 俺は笑いながら圭佑に言う。


「こりゃやられたな。じゃ、席に戻るわ」


 そう言って、圭佑も席へと戻っていった。



 ふむ、新見は千夏さんのことが気になってるのか。それにしてもここのところいろいろなことが一気に起こりすぎじゃね? 少し前までは圭佑のことくらいで俺の周り静かだったのになあ……俺はそんな事を思ってしまった。

お読みいただき有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ