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第37話 続 待ち構えていた相楽・妹。

明日、台風が来るため本日2話投稿しております。

宜しくお願いします。



 美樹さんのお宅訪問の翌日、学校へ着くと相楽・妹が俺の机の上に座り待ちかまえていた。あれ? こういうの前になかったか? そんなことを思いながら俺は席へと向かっていく。


「やっと来たわね」


 やっぱり待ち構えていた相楽・妹。


「ん? おはよう。またなんかあったのか? 」


「あっおはよう。また言い忘れるところだった。いえ、今日は大した事じゃないんだけどお願いがあってね」


「できることなら聞くけどどうした? 」


 どうもお願いがあるらしい相楽・妹。また美樹さんのことかなと思うも


「山口くんのこと名前で呼んでいいかしら? 」


 急にそんなお願いを言い出した。別に名前で呼ばれても構わないんだが、なぜそんなお願いをしてくるのかさっぱりだ。


「それは構わないんだけど……なんで? 」


 俺は理由を聞いてみる。


「うちの家族ふたりとも山口くんのこと名前で呼んでたのよ。というよりなんでお母様まで名前で呼んでるのよ。家に帰って話をしてて……びっくりしたわよ。あっそれでね。私だけ山口くん呼びだったから……すごく疎外感あってね。だから……あー。なんでこんな事頼まないといけないのよ! 」


 なぜか八つ当たりされる俺。確かに俺は千穂さん、美樹さんから名前で呼ばれるし、俺からもふたりとも名前で呼ばせてもらっているからなあ。


「そんな俺に怒るなよ。別に俺が強制したわけじゃないからな。でも、そういう理由か。了解。名前で呼んでいいよ」


 理由もわかったし問題ないので了承した。


「それと……私も名前で呼んでもらって良い? 蒼汰く……んもうちの家族は名前で呼んでいるんでしょ? 私だけ相楽じゃ……変だし」


 初めて名前呼びをしたせいか少し照れながらも、相楽・妹はもうひとつお願い事をしてきた。俺としては別に問題がないので


「ああ、わかったよ。名前で呼ぶことにするよ」


 と了承するけれど名前なんて覚えているわけもないわけで。


「で……ごめん。名前なんだっけ? 」


「はぁ、覚えてないわよね。美優よ」


「覚えてるわけ無いって。美優ね、了解。今度から美優って呼ぶわ」


 俺は素直に美優に答えるのだった。




 俺と美優が話していた時に朝練が終わった圭佑が教室へとやって来た。それを見た美優は


「用事も終わったし教室に戻るわね。あっそれと昨日はありがとう」


 そう言って慌てて美優は教室から出ていった。昨日のことがあるからだろう、圭佑に会いづらいんだろうなと思い俺はただ見送るだけだった。




「蒼汰、おはよう」


「ああ、おはよう」


 教室に入ってきた圭佑から声をかけられたので挨拶を交わした。


「さっきまで相楽さん居たようだけどもう帰った? 」


「ああ、さっき戻っていったぞ」


「そっか。昨日家に来たんだけどさ。途中いきなり帰っちゃってね。理由を聞いて俺が悪かったなら謝りたいと思ってたんだけどなあ」


 昨日、美優は圭佑の家に行ったのか。その辺の話は聞いてなかったからなあ。


「もう気にしなくてもいいと思うぞ。元気にしてたし、もし心配なら俺から聞いとくよ」


 俺は圭佑と会わせないほうが良いんじゃないかと思いそんな事を言った。


「そっか……なら蒼汰に任せるよ。相楽先輩とも近いし、隣の相楽とも結構話す事ありそうだしな。今も来てたようだし。でも珍しいな。そういう役目蒼汰から言い出すなんて」


「まっ知り合いだしな。こういう時もあるってことだ」


 俺には昨日の事はわからないので適当に流しておいた。


「あっそうそう、蒼汰には言っとかないといけないな。俺、亜美姉ちゃんと付き合うことになったから」


 やっぱりか。そうなるとは思ってたけれどあっという間だったなと思いながら


「ほう、よかったな。これで俺も安心できるわ」


 と返事を返す。


「なんか軽いな。予想がついてたみたいな態度だわ」


「そうか? そんなわけでもないんだけどな。まっおめでとうだ」


「まあ、いいか。蒼汰、ありがとな」


 そう言って圭佑は手を振って席に戻っていく。その後ろ姿はとても嬉しそうに見えるのだった。




 俺はそんな圭佑を見て、喜ばしい気持ちもあるけれど


「ふたりの仲を見て美優はあの状態だったわけか……人のこと言えないけれど、鈍感ってほんとに相手に対して酷なんだな」


 俺は憂鬱な気持ちもあり机の上で頭を抱えてしまうのだった。





※ 圭佑と美優の昨日については番外編の話になります。

お読みいただき有難うございます。

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