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第19話 なんとか逃げることに成功したようだ。



 食事も終わりふたりと少し会話をして過ごした後、残り時間も少ないと解散したわけだけれど、教室に戻ってみると廊下でもクラスでもみんなの視線がとてもとても痛すぎた。俺はとにかくスルーで席につく。昼休みの残り時間が少ないこともあったし、圭佑には話をしておいたからこっちを見る程度でとくに話しかけられることはなかった。ただ、クラスのみんなは俺に聞きたそうなそんな態度でいることがよくわかった。

 普段、ろくに関わり合いもないクラスの人達だからそう声をかけては来ないだろうと思っていたし、無理に聞きにこられてもまあ「友達だよ」くらいしか教えることはないからね。


 休憩時間は近づいてきそうな人が見えたから寝たふりを決め込んでやった。そのおかげか放課後まで無事に何事もなく過ごすことができた。




 放課後になり俺は帰る準備をする。待ち合わせは校門にしている。美樹先輩たちと友達だとはっきり公表してしまう方がこそこそするより良いかもと遠藤先輩が言っていたので、それに従ってみることにしたわけで。校門は目立つかもしれないけれど気にしてもしょうがないからね。


 部活に行く前の圭佑に声をかけられる。


「今日も早く帰って家事かね? 」


「いや、用事があるよ。今日の家事は軽くだね。」


「ほう、珍しいこともあるもんだね、用事があるって。もしかして相楽先輩とか? 」

 

「そうそう、美樹先輩スマホ持って無くてね。付添いで買いに行ってくる」


「今どきスマホ持っていなかったのか」


 圭佑は少し驚いている。


「今まで必要なかったみたいだよ。家の電話で事足りるって」


 俺は美樹先輩から聞いた話をそのまま伝える。


「ん? ということは、スマホがほしいって蒼汰と連絡取るためか? 」


 理解が早いな、圭佑くん。


「ん、まあそういうことらしいね」


「ほんとに友達なのか? なにか恋人のように感じるんだが」


「いや、それはないから」


 俺は、少しそっぽを向いてそう答えた。


「まあ、突っ込みすぎても蒼汰が困るか。それじゃ、部活行ってくるわ。」


「おう、またな」


 そう言葉をかわし、圭佑は部活へと向かっていった。



 

 その後、クラスの人が、圭佑が俺に声をかけたことを利用して声を掛けてきそうな気がしたので、さっと帰る準備をし校門へと向かっていく。「待って待って」と言っているような視線を感じたが、「そんなの知りません」と俺は外へと駆け出した。

お読みいただき有難うございます。

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