第16話 友達としてのはじまり。校門での一コマ。
いつもどおり学校へ向かった俺。特に何もなく学校についたと思うも校門前に見えるは相楽先輩。もしかして待っていたのかとちょっと緊張しながらも走り寄って挨拶を交わす。
「えっと相楽先輩。おはようございます。もしかして俺を待っていたとか? 」
「山口さんおはようございます。はい待ってました。少しだけでも一緒にいられればと」
そんな事を言いながら少し顔を赤くする。
そんな中周りの視線が痛いほど刺さってきた。それでも、これは俺が受け入れたことだからと気にしないようにと無視を決め込み相楽先輩とともに校舎へと向かう。
「そう言えば美優ちゃんからお話していたと思いますが私達の呼び方決まりました? 」
朝から悩みの種を突いてくる。
「えーと、すいませんがまだ決めてません。どんな呼び方が良いんでしょうね? 相楽先輩は希望とかありますか? 」
はっきり言えば俺自身で決めるのが難しい。なので、この際だと聞いてみることにする。
「美優ちゃんの呼び方は私にはわかりませんので、そちらは美優ちゃんに聞いてもらえると。えっと……私の方はよかったら美樹で呼んでいただけると……嬉しいです」
やっぱり名前呼びなんですね。そうなんですね。
「でしたら美樹先輩……でよろしいですか? さすがに美樹さんとは呼びづらくて」
これでお願いします。ほんとはこれでも厳しいです。
「わかりました。少し残念ですがそれでお願いしますね。私の方は……蒼汰さんでよろしいですか? よかったらお名前で呼ばせてもらいたいです。」
相楽先輩は頬をほんのり赤めながらも少し不安そうにそう言った。
「……わかりました。照れますがそれで結構ですよ」
そう言うと相楽先輩は満面の笑顔を浮かべ喜んだ。
「それと蒼汰さんにお願いがあるのですが」
「えーとなんでしょう? 」
「美優ちゃんから聞いたと思いますが私スマートフォンを持っていないのです。それで購入をしようと思っているのですが、よろしければお時間がある際にご一緒していただければと思っているのですがいかがでしょうか? 」
やっぱりスマートフォン購入するんですね。なんか太っ腹というかなんというか。
「えっとそれは構いませんよ? 何時頃行かれるんでしょうか?教えていただければ都合をつけますから。用事があると言っても家事くらいのものですからどうにかなります」
「よかった。断られたらどうしようかと思ってました。ありがとうございます。できれば、早速今日の放課後にでも行きたいのですがよろしいでしょうか? 早く手元において蒼汰さんといつでも会話できるようにしたいですから」
そんな事を言ってくれる相楽先輩ではなく美樹先輩。
「わかりました、空けときますね。さてそろそろ校舎に入りましょうか。また放課後にでも」
と俺が言うけれど美樹先輩は立ち止まってしまった。そして
「あの放課後ではなく、もしよろしければお昼をご一緒させていただいてもよろしいでしょうか?」
ちょっと首をかしげてそう尋ねてくる。
「んー。良いですよ、どうせひとりでいつも弁当食べてますから」
「でしたらお昼休みになりましたら蒼汰さんの教室にお伺いしますね」
どうも教室に来るらしい。どこで食べるんだろ?
「わかりました。じゃ今度こそ入りましょう? 」
校門から校舎の短い距離で結構話せるもんだと思いながら、美樹先輩を校舎へと引き入れようとすると
「はい、また後で。」
と、そう言ってやっと美樹先輩も校舎に入ってくれたのだった。
友達になった翌日から結構積極的な美樹先輩であった。周囲の視線を物ともせずに。そういや、今はいない遠藤先輩はどうしてるんだろな……
お読みいただき有難うございます。




