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4話「幼馴染みに人のぬくもりを教えてもらった少女」







――最初の記憶は、真っ赤な絶望に彩られていた。






 ベルカ・テンレンは改造人間である。

 彼女を作り上げた組織は、外宇宙より飛来したオーバーテクノロジーの産物――巨人とも竜とも呼ばれる姿の、オリハルコンで構築された完全自律兵器オリジン――を解析し、様々な科学的知見を得た後、その複製を試みた。

 来るべき世界大戦――超能力者によって予言された列強同士のつぶし合い――において、あらゆる兵器を駆逐しうる存在とするために。

 最も確度の高い未来予知を手にした彼らは、いずれ戦場を席巻する機関銃、砲兵、戦車、航空機、毒ガスの脅威を先んじて無力化せんとしたのだ。

 それが超人兵器計画。

 星の海より来たる来訪者の断片と、その存在が認知され始めた超能力者たちを掛け合わせた異形である。

 幾百幾千の試作品が作られ、廃棄され――結局のところ、それらは世界大戦に間に合うことなく歴史の闇に葬り去られた。

 そのはずだった。

 だが、それらの遺産と研究は今世紀に入って継承され、再起動し、たしかな成果物を生み出した。

 全部で三〇体にも満たないナンバーを与えられた超人兵器――その最後発として〈二八号〉は生まれた。

 栄えある〈二八号〉の名は、複製元であるオリジンの模倣として、ようやく満足いく完成度に到達したことを示している。

 超小型エーテルリアクターたるオリハルコン製内骨格をベースに、人の体組織と機能を模した擬態形態を持ち、都市部に潜伏、然るべきときに真の姿をあらわとする――究極の破壊工作要員としての超人兵器だ。


 結論から言えば、そうして完成した超人兵器たちが実際に運用されることはなかった。

 襲撃があったからだ。

 それはおそらく、統一政府による粛清だったのだろう。

 世界統一政府がこの星を支配する現状において、国家機能の麻痺を狙った兵器の使い道など、反政府運動以外に存在しえない。

 当時、兵器として自律起動に成功していた〈二八号〉は、そこで死神を見た。

 黒い巨人。

 青い凝縮エーテルの光。

 そいつは圧倒的だった。

 人間の兵士など相手にもならず、巨人が近づいただけで分子結合を破壊され塵に還った。

 応戦したナンバーズをこともなげに破壊し、逃げ惑う研究員たちを殺戮する異形のモノ。

 燃えさかる炎の地獄の中で、〈二八号〉は悟った。

 黒鉄色のかぎ爪、エーテル振動波の攻撃転用――あれは自身のオリジナル、外宇宙よりこの星に落ちてきた完全自律兵器なのだと。

 そう、それは死神だった。

 〈二八号〉では相手もならないほど、オリジンは強かった。

 戦闘と呼べるほどのものさえ起こらなかった。

 わずか一秒で決着がつき、手足をもぎ取られた〈二八号〉は死を待つばかりとなった。

 何故、おのれが他の兄弟たちのように破壊されなかったのかはわからない。

 研究成果のサンプルが必要だったのか、それとも。

 唯一、人間の子供に擬態して命乞いができたからなのか。

 いずれにせよそれは、死神が気まぐれを起こして助かっただけの命だった。


――この世界に、ヒーローなどいない。


 おぞましい研究に生み出された〈二八号〉を助けたのは、正義の味方などではなかった。

 研究員たちのすべてが、殺戮されねばならないほどの悪人だったのだろうか。

 人間の子供のかたちをしたモノに、心動かされて優しくする程度の人間性を持ったものもいた。

 生命倫理を飛び越えて、人間を切り刻んだ成果物を誇る外道であることと、優しい個人であることは両立しうる。

 倫理も規範も良心も、環境によって規定されるあやふやなものだ。


 一連の事情を知る養父に引き取られて、普通の人間のように暮らせと言われたときは、何かの冗談だと思った。

 いいところ研究施設で飼い殺しが関の山のはずだった。

 つまるところ、それが、無慈悲な殲滅作戦に携わったものたちのなけなしの良心だったと思い至るには、当時の〈二八号〉は幼すぎた。

 洗浄された新しい経歴は、施設育ちの孤児というものだった。

 そこで起きた火災に巻き込まれ、大けがを負って入院、引き取り手が見つかった哀れな幼子――それがベルカ・テンレンの始まりだった。









 オフィス街に大量の野次馬と警察、消防署の車両が駆けつけている。

 突然、無人のビルの一角が崩落した惨事――奇跡的に犠牲者はいない――に、ちょっとしたパニックが起きていた。

 立体駐車場の崩落から脱出、都市監視システムに欺瞞情報を送り込みながら、スカルマスクは逃亡中だ。

 追っ手はこない。

 当然だ。

 マジェスティックやオムニダインの尖兵も、今は儀式の失敗とその隠蔽に必死だろう。

 悪の秘密結社というのも楽ではない。

 

 人間の動体視力をはるかに超えた速度でビルの屋上から屋上に飛び移る――肘から先が欠損した右腕は、エーテル振動波の放出によって自壊していた。

 オーバーテクノロジーの産物たる黒い巨人を模倣した〈二八号〉だったが、その完全な再現は不可能だった。

 短時間であればオリジナルに匹敵する出力――しかしオリハルコン製内骨格も物質化エーテルの肉体も、その凄まじい出力に耐えきれない。

 致命的な強度不足を抱えた〈二八号〉は、その解決策として、人間の魂を搭載している。

 魂とは高密度エーテル情報体――すべての人が持ち合わせた自我の源だ。

 その精神活動が、エーテル生成を活発化させるという発見から考案された強度不足の解決法。

 苦痛によって励起された精神活動が生むエーテル波を自己再生能力に使用する――人の心を持たせることで、欠損した肉体を復元させればいい、と。

 元々、潜入工作用に考案された擬態機能は、こうして人間そのものを再現することを目的に再設計された。

 それが人間らしければ人間らしいほど、再生能力は完全なものになる。

 そうして臓器から生理機能まで再現されていった結果が、ベルカ・テンレンの肉体だった。

 そう、痛い。

 肉体を喪失した激痛が、右腕の再生を約束する。

 淡いエーテル光を放ちながら、めきめきと復元されていく右腕。

 傷つくことに痛みを感じ、苦しむことで再生する肉体――被虐的マゾヒスティックなよろこびに満ちた開放感。

 自宅近くの公園で、スカルマスクは足を止めた。

 あらかじめ用意しておいた、簡単な衣服一式の入ったトランクケース。

 夜道を散歩していても怪しまれない程度の衣装だ。

 暗黒領域によって人間には視認されない状態で、戦闘態勢を解除――擬態機能を復活させる。


「……擬態、開始」


 音を立てて変容していく肉体――それに合わせて意識も超人兵器〈二八号〉のそれから、ベルカ・テンレンに切り替わっていく。

 公園に設置された監視カメラ群に欺瞞情報を噛ませつつ、野外で着替えをした。

 ヤブ蚊でもよってきそうな場所だったが、全裸の少女に寄りつく虫はいない。

 今も展開されている認識阻害結界・暗黒領域ダークフィールドが、昆虫すら欺いているのだ。

 夜の公園で裸で着替えって、完全に変態みたいだよね――と自嘲しながら服を着込む。

 結界を解除。

 ずきずきと痛む右腕が、先ほどまでの戦いが真実だと教えてくれた。

 スカルマスクとして失った腕は、まだ完全に修復されていないのだ。

 見かけ上はちゃんとした人の腕だが、中に詰まっているべき血肉はそうではなかった。

 頭がくらくらした。

 よりにもよってあんな目と鼻の先で、マレビト――異界からの降臨者と対峙したせいだろう。

 高密度の凝縮エーテルを破壊するために発したエーテル振動波は、右腕以外の全身にも損傷を与えている。

 臓器という臓器が傷ついているような錯覚――ああ、痛い。


「たまんないなあ……痛いのって好きだよ。生きてるって感じがする」


 それは、誰も耳にしていない独り言だった。

 よろめくようにして自宅への帰路を歩き始める。

 イヌイ・リョーマは自分の身を案じてくれているが、まったく大きなお世話だった。

 こんなボロボロの状態でさえ、ベルカがその気になれば、大人の手足をへし折るぐらい簡単なことだ。

 より多くの命を奪うために作られた肉体は、根本的に、あの少年とは生きる世界が違う。

 まだ自由に動かない右手を見る。

 先ほどまで黒鉄色のかぎ爪が生えていた腕。


――懐かしいな。


 昔、包帯でぐるぐる巻きにされて病院に入院していたころ。

 まるっきりお化けみたいな姿だったから、話しかけてくるのは看護婦ぐらいのもので、幼いベルカはいつも一人だった。

 それでよかった。

 病室を勝手に抜け出しては、病院の中庭で何をするでもなくひなたぼっこするのが好きだった。

 けれどあるとき、人間への擬態を中途半端に解除したときがあった。

 殺されかけた恐怖が蘇ったのだ。

 黒い巨人。

 死神としか言いようがない、殺戮者の姿。

 フラッシュバックしたそれを恐れるあまり、右腕の擬態が解けてしまった。

 明らかな異形の腕である。

 こんな姿では病室に戻れない。

 どうすればいいのかわからないまま、中庭の隅っこで、誰にも見つからないように震えていた。

 そんなベルカに駆け寄ってくる幼子がいた。

 そいつはきょとんとして、包帯のお化けみたいなベルカに話しかけてきた。


「きみ、どうしたの? 寒いの、おとなのひと、よんでくる?」


 そういう彼――そいつは男の子だった――に、自分は首を横に振って。

 誰も呼ばなくていいから、ほっといてくれと言った。

 つっけんどんな応対だった、と思う。

 けれど彼は、勝手にベルカの横に座った。

 あっちいけ、と言っても動じなかった。

 理由を問うとよくぞ聞いてくれましたとばかりに笑って。


「――だってきみ、ふるえてるじゃないか。そういうとき、ヒーローってそばにいてあげるもんなんだよ」


 子供向けヒーロー番組の受け売りだったのだろう、と思う。

 あるいは彼の父母が、そんな台詞を息子に教えたのかもしれない。

 ああ、けれど。

 あのとき幼い彼は、禍々しい異形の腕を見ても、彼女を恐れなかった。

 硬く尖った黒鉄色の腕。

 あらゆるものを破壊する滅びのかいな

 たとえ幼子であろうとも、本能的に恐怖と忌避を覚えるであろうそれ――そこに、やわらかくあたたかい子供の腕が重ねられた。


「これで、こわくない?」

「わかんない……」

「じゃあ、こわくなくなるまで、おれもここにいるよ」



 そのときはじめて、少女は大切なものを見つけた。

 きらきらと光り輝く、宝石箱の奥底にしまっておきたいような尊いものを。

 教えてもらったのだ。



――この世界には、こんなにうれしい魔法があるのだと。



 あの重ねられた手のぬくもりに、ベルカ・テンレンは人の善き側面を知った。

 たぶんあのとき、〈二八号〉はベルカという少女になったのだ。

 人間になりたいと、そう思ってしまった。

 覚えている。

 はじめてあの子の名前を知ったときのことを。


「おれの名前は――」


 舌っ足らずな幼子の声を思い出す。

 ああ、忘れるものか。



「……リョーマ」



 在りし日の少年の幻を見ながら、ベルカは倒れた。
















 「ん……」


 目を覚ます。

 反射的に状況把握をして、すぐに安堵する。

 嗅ぎ慣れたにおい、見慣れた骨格のかたち。

 あたたかくて大きな背中だった。

 どうやら自分が背負われていると気づいて、恥ずかしくなった――でもいっそこのまま意識がないふりをしようかなーと思案。

 だが、邪な企みはあっさりバレた。


「目が覚めたか、ベルカ」


 イヌイ・リョーマは勘が鋭い。

 しかし悪あがきしたいベルカは、本能の赴くままに声を発した。


「き、気がついてまーせーんー。気絶してまーす」

「返事できてるだろ……」


 うー、と唸りながらリョーマの肩に顔を押しつける。

 やはり肩幅が大きい。

 それは記憶にある、幼少期の彼とは似ても似つかないもので――たしかに重ねた月日を感じて嬉しくなった。

 ついでに豊かな胸の膨らみを背中に押しつける。

 喰らえ-、と心の中で念じる。

 いわゆる「あててんのよ」だった。

 心なしかリョーマの頬が赤いのは、気のせいではあるまい。


「……リョーマが、わたしを見つけてくれたの?」

「あ、ああ。なんかさっき、ナツミが気分悪いって言い始めてさ。あいつはすぐに落ち着いたけど、お前に電話したら不在ときてる。で、なんとなく悪い予感がして見回ってみたら、倒れてた」


 妙に早口なのは、リョーマがベルカの体の重さと体温を意識している証拠だった。

 思春期の少年が年頃の少女の肉体と密着しているのは、実際問題、ものすごくドキドキするのだ。

 幼馴染みが倒れていたときはそれどころではないだろうが、とりあえず無事らしいとわかれば、今さらになってそのやわらかさを噛み締めもする。


「そっかー……リョーマって昔から勘がいいよね。困ってる人とか、すぐ見つけちゃうし」

「特技だよ。ベルカ、夜の散歩でもしてたのか?」

「うん……わたしも、なんか気分悪くなっちゃって。気がついたら、リョーマがいたわけ」


 リョーマに嘘をついてしまった。

 そのことに罪悪感を覚えつつ、彼が真っ先に自分を案じてくれた事実がうれしかった。

 擦りつけるようにして、彼の首のすぐ横に顔をうずめる。

 汗のにおいがした。

 生き物のにおい。命あるもののにおい。

 彼の体温が愛おしかった。


――リョーマたちが生きていて、本当によかった。


 一度は戦いの世界から逃れたベルカ・テンレンが、スカルマスクとしての活動を始めたのは、この都市に渦巻く陰謀を知ったからだ。

 オムニダインの企業城下町という表の顔の裏側――より多くの生け贄を集め、異界への門を開くための呪術的都市開発。

 逃げだそうと思えば、養父とベルカだけ引っ越すこともできた。

 けれど、それに何の意味があるだろう。

 マジェスティックの行う計画が進めば、いずれ、この星そのものが怪異に呑み込まれるのは明白だった。

 この世界のどこにも、逃げ場などなかった。

 何よりも――ベルカ・テンレンはもう、超人兵器〈二八号〉としての価値観には戻れない。

 作戦目標と絶対遵守の規範だけの世界は、もうどこにもないのだ。

 愛すべき人々がおり、守るべき日常があると知った。

 彼女が愛する人々の営みは、生命だけではなく、それを支える社会があってこそ成り立つものだからだ。

 イヌイ家の面々を強引にこの都市から逃したところで、それが彼らの人生を保証することにはなり得ない。

 ゆえにベルカは、戦うと決めた。


――今日と同じ明日がやってくると信じてやまない人々の、自由と平和を守るために。


 養父は言った。

 それは報われない戦いになると。

 いつか、誰の目も届かない場所で息絶える――そんな未来を選ぶ必要はない、と。

 優しい人だった。

 たぶん、養父の言は正しい。

 巨大な異端科学崇拝組織マジェスティックと一度、刃を交えただけでベルカは傷ついている。

 これから先、何度も繰り返すことになる苦痛に塗れた勝利。

 わかっている。

 これはきっと、途方もなく孤独な戦いになるだろう。

 ベルカの身を案じてくれる幼馴染みにさえ、スカルマスクとしての姿を晒すことはできないのだから。

 ふと、足を止めて。

 イヌイ・リョーマが口を開いた。


「ベルカはさ。一人でなんでもできるから、人を頼るのが苦手なんだよ。躰の調子が悪くなったら、すぐ近くの誰かを頼ってもいいんだ」


 彼の言葉はいつだって優しい。

 リョーマの見ている世界はあたたかくて、涙が出そうなぐらい心が安らぐ。

 それはきっと、ベルカには決して共有できない視点なのだ。

 この偽りの理想世界ユートピアの裏側でうごめく、顔のない怪物たちの陰謀を知っているから、いつも少女はどこか醒めている。


「ねえ、リョーマ……わたしがほんとはとっても強くて、日夜、自由と平和のため悪い奴らと戦ってるって言ったらどうする?」

「なんだそりゃ」

「どうなのー?」


 問いかけに意味はない。

 なんとなく彼に甘えたくなった。

 現実味のない言葉を、軽口と捉えたリョーマはそうだな、と言い置いて。

 黒い髪に精悍な顔つき――時代劇の侍みたいな顔つきの彼が、眉根を寄せるとちょっとした迫力がある。


「たぶんお前は、俺がいなくてもなんでもできる奴で――だからまぁ、これは俺のわがままなんだけどさ」


 少し照れくさそうに、少年は言い切った。



「本当に助けが必要なときは、俺を頼ってくれ。少なくともここに一人、絶対にお前を裏切らない奴がいるんだからさ」



 どうして自分が、イヌイ・リョーマを好きになったのかわかる気がした。

 ベルカは決して、この世界を手放しで肯定できない。

 この豊かさの下で、ベルカの同胞たちが無惨に使い潰され、消費されていく地獄を知っている。

 それでも――少年の信じる正しさは、間違っていないと信じられた。

 リョーマと話していると、少しだけ、彼の見ている世界の優しさに触れられる気がした。

 どんなに躰が痛みに蝕まれても、リョーマの体温と鼓動を覚えていれば耐えられた。

 思わず、本音がこぼれた。



「ねえ、リョーマ――わたしはキミが大好きだよ」



 返ってきたのはうれしい言葉だった。


「知ってる」

「そっかー、知ってたかー……えへへへへ」


 夜空に浮かぶ月はない。

 星の光は掻き消され、人工の照明だけが瞬く地上の片隅で。

 ボロボロの躰をそう悟られることなく、人ならざる少女は愛しい少年におぶわれている。

 きっと三〇分もすれば癒せる傷だ。

 次からはもっと上手く戦えるようになるだろう。

 ベルカの高速学習機能は、そういうものとして彼女に根付いているから。

 だからこんな風にリョーマに背負ってもらえるのは、最後かもしれなくて。

 それが少しだけ、寂しい。

 あの日あのとき、どうすることできず震えていたこの手に、彼の手が重ねられたとき。

 ベルカ・テンレンは救われたのだ。

 それだけで報われたと思えてしまう。



――だから、きっと、あなたの傍にいたいと思ってしまうのは、わたしのわがままです。



 声にならない呟きと共に、少女は目を閉じた。

 蜂蜜色の金髪が、リョーマの黒髪と交わって、綺麗なコントラストを形作る。

 それは、夢のような時間だった。

 これから先、どんな運命が待ち受けていようと決して忘れることはない記憶。






 ベルカ・テンレンが人間に恋をした、それだけの物語――








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