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詩log  作者: 箕雨シキ
3/10

log3

 Poem - log3



都の香り 花の香り

音跳ねて しゃぼん玉

消える前に 冬の香り

都の思い出 ふわふわり



 ----


愛情と感情と何もかも投げ捨てて

飛び込んだ海はきっと

何よりも冷たく無情なのだろうか



 ----


束縛しいな男なんて、苦々しい抹茶より重たいわ



 ----


雨で落ちる金木犀



 ----


凍るような冷たい風に

揺られおちる金木犀の花

香りを見失って

追いかけるなら逃げられて

たどり着かない夢の虹

晴れ渡るつめたい空に

遠くのぼるつばめの群れを

見失わないうちに、はやくはやくと

転びつまずき哀れなままで

手を伸ばせ

解放の丘から静かな町へ



 ----


“とりっく おあ とりーと”

歌にのせてふわふわり

“おかしをくれなきゃ 楽しくないな”

駆ける足音お祭り色の空気といっしょ

まだ終わらない、明けない夕空

“とりっく おあ とりーと”

おねぇさんの指 愉快な音で

“お菓子なお祭り、楽しまなくちゃ”



 ----


直接触れるわけじゃない

時に静かにたまに激しく

嫌われたりすかれたり

美しいときも鬱陶しい時も

貴方がいつも変わらないから

ただ音ばかりに木をとられて

貴方を抱きしめることができないなんて

響く音 感じる香り

どこまでも いつだって

貴方は降り落ちてくる、雨



 ----


降り積もる雪なんかより

笑い泣く赤子なんかより

歌い踊る遊女なんかより

咲き誇る秋桜なんかより

なにより貴方の 笑顔が好き

そんなこといえないけれど

言ったらきっと はにかむように

笑う貴方がやっぱり 好き

なんだかどうにもわからないけど

ふふ、と笑うくらい 恥ずかしいなぁ



 ----


雲の動きが早いなら

空まで届く 手を伸ばす

あまりに寒いとなげくより

ただひとつ 眠りにつくやさしさを

茜の穂にたつ赤とんぼ

目を閉じて見える景色に

ただすこし 願いをよせて

歌声に負けないように

ただひとつ 貴方のために貫く想い



 ----


手を取り合って踊るより

ただ居心地のいい関係であればいい

その先に何があるのか

僕らにはわからなくても

ただ居心地のいい 互いでありたい



 ----


打てば響くように広がる想い

そして響けば心の奥にまで

留まる言葉と浮かぶ涙に

違うのよ、と思わず笑うの

花が舞うように うれしいだけなの



 ----


【欠伸】

大きな口を開けるの

目を小さく細めて

赤い口内を覗き込んで

白い歯が鋭く尖りこちらを見るの

ふぁ、涙が浮かぶころには

夜空の月が傾くわ

冷えた空気に触れるまなこに 目が覚める

ああもう少し

あと少しだけで

宵闇の奥まで 落ちていけたのに



 ----


水を割るような冷たさと

浮かび上がる貴方の微笑み

重ね泡せた愛憎の渦

どこまでも消えないそれぞれ

指先を伝う 伝わる 伝えられない

想いは遠く 果ての水面へ



 ----


どうしても捕まえられない

跳ねる水に飛び込むような

慌てん坊のおてんばさん

逃げてるのか 避けてるのか

ぷかぷかりと 笑って消える

見つけられない 花のよう

忘れられない 鮮やかな麻に

陽の映る 水面に浮かぶ

捕まえられない 君だけの

むらさき



 ----


推奨のような瞳が 僕を見る

息を吸うより簡単で 単純

冷たいくらいに まっすぐな

この手が触れるより先に 消える

追いかけて 追いかけて

猫が鳴いた夜

とても寒いから 逃げてるのか

その手が空を掴むなら

この手は君の目を握る

怖いかい

君の瞳が 僕には怖い



 ----


距離感を見失った黒猫のように

弧を描く三日月は笑わない

泣きわめく 声も届かない

近いようで遠く 遠いようで近すぎる

それに気づかないなら

黒猫はこっちを見つめるだけで

いつまで経っても笑わない




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