――――――楽な生き方、教えます
マジック
――――――――――――楽な生き方、教えます
「あー、良いバイトねえかなあー」
天草は、部屋のベッドの上で、「バイト探しなら〇〇で!!」と書いてある雑誌を広げて読み耽っていた。
そこには、いろんな種類のバイトが挙って書かれてあり、バイト名の下には、その電話番号が書き込まれている。
マンションでの一人暮らしに慣れてきて、大学でも親友と言える人も、一人いる。
「………ん?」
32ページ目、右端に小さく『楽な生き方、教えます』と書かれていた。
「……なんだ、これ」
給料とか、そんなことは全く書かれてなくて、ただ黒い文字で書かれていた『楽な生き方、教えます』とだけあった。
……意味わかんね。
可笑しいし、怪しすぎっしょ、これ。
ははは、
楽な生き方、教えます?ばっかじゃねえの?
………そんなの、あるわけねえ。
「…………」
その文字を睨んで、しばらくして「バカらし」と言って、ゴミ箱の中に放り投げた。
……手に電話番号が書かれた紙を握って。
少し現実から脱線した小説を書きたかったのです。
ありそうで、ない物語を書きたかったんです。
そんな中途半端な小説も、時にはいいんじゃないのかな。