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星が輝けぬ空のこと…

その日は季節外れの雨の日だった――――

うわやべ(-。-;)今日傘なんて持ってきてねぇぞ

…仕方ねぇ走って行くか、濡れるの嫌だけど


覚悟を決めて外へ一歩踏み出したところだった


「…哉翔かなと、これ、貸してあげる」


珠絢しゅん

さっすが~\(^o^)/


「悪ぃな、ありがたく借りてくわ」


「…あの、哉翔…い、一緒に、帰りたい」


珍しいな、いつもはそんなこと言わねぇのに

…まあいいか、今日 希來きくに会うのは19:30だしな

にしてもなんでこんなに遅ぇんだ?


「いいぜ~、送ったったげる~♪」


「…あ、うん……嬉しい」


嬉しい、のか?

こんな簡単なことが…?


「…哉翔、そうくんも、一緒なの」


…ソウもか

いや、別に妬いてなんかいませんよ?

あーでもなんにも思ってないわけではなかったり…


「…哉翔、過去は振り返らない、今はもう大丈夫」


過去、ねぇ…

あれは単純に……俺達がまだガキだったってだけだ

でも今は違う…


「哉翔、天気予報ぐらい観たらどうだ?」


「よぅ、ソウ…珠絢と一緒にいるとか珍しいな」


「同じクラスだったんだ…羨ましいか?」


羨ましくなんかないと言ったら嘘になる

因みに俺は理系で、珠絢とソウと…つむぎも文系というなんとも孤独な感じである

だから三人とは勿論クラスが違う


「…薔くん、哉翔、行こ?

お話は、薔くんの家、着いてからで…」


ソウの家行くのか?

ちと遠いな、俺ん家からは近いけど…

でも今日はいいか、始業式で午前帰りだから

正確には始業式と学力テストだがな


「そういえば紬は?」


アイツのことだから一緒に来ると思ったけど


「アイツは部活だろ 忙しいな、バスケ部は」


「あぁ そうか、何気レギュラーだったな」


紬はふざけてるところもあるが部活では

活躍中らしい

去年めちゃくちゃ自慢話聞かされたわ


「……もう、先行っちゃうよ?」


「あ、悪い 、行く行く」





゜.゜.゜.゜.゜.゜..



ところかわって望月家もちづきけ


「あら、いらっしゃい」


笑顔で迎えてくれたのはソウのお母さん

ソウの家は一言で言うと薔薇園だ

お母さんの趣味なんだそうだ

ソウの名前もご両親共々薔薇が好きだから薔一そういちと名付けたらしい

ソウの家に来るとつくづく思う

…両親が仲良くていいなぁと


「「お邪魔します」」


結構来ているのでソウの部屋がどこに

あるのかくらいわかった

なので勝手に部屋に入る


「昼飯食ってくだろ?」


気が利きますね、いただきます_(._.)_


「いつも悪ぃな」


というわけで、来て早々昼食を取った

チャーハンだった

ソウのお母さんの料理は美味しい


「………」


食べてるときは基本三人とも静かだ

あれだ、食べるのに夢中的な…

……しばらくお待ちください





゜.゜.゜.゜.゜.゜..



「ふぅ~食った食った」


お腹いっぱい

そして食ったら眠くなってきたな…ふぁ~(/0 ̄)


「…哉翔、テスト、どうだった?」


「お陰さんでいつもよりは良いと思うぜ」


あんまりやらなかったけど…勉強…

でもいつもより出来たことは事実だな

得意なところが多く出たしね


「そうか?お前が良くできたと思っても周りと

比べればたいしたことないだろ?」


……


「比べんな」


「……薔くんは、大丈夫だね」


「もちろんだ」


……ウゼ


「で、今日はなんなわけ?」


なんでわざわざソウの家に俺達が行かなきゃ

なんないの?なんかあんのか?


「……別に、何もないよ?…たまには、

同中メンバーで、遊ぼうかと…」


わかんない、毎度のことながらコイツの考えてる

ことがよくわかんない


「フン、たまにはいんじゃないか?哉翔」


俺は別にたまにだけじゃなくてもいいけどな


「でも遊ぶっつっても何するんだ?

俺達もう高二だぜ?ガキみてーに外で鬼ごっことか

嫌だよ?」


「それはいくらなんでも無いだろ」


じゃあテレビゲーム?


「……うーん( ̄~ ̄;)………

……じゃあ、缶蹴り?」


……そうなるの?


「缶蹴りって…俺ルール忘れた」


「俺も微妙だな」


「……じゃあ……」



リリリリリーンリリリリリー……



あ、俺の携帯だ


「黒電話って…」


うるせーな、いいだろ?シンプルで

シンプルイズベストってやつだ


「もしもし?どちらさん?」


非通知だったから相手がわからん


『もしもし?哉翔?雛宮ひなみやだけど…』


ん?あぁ、希來か、苗字で言われると

一瞬わかんねぇな~


「はいはい哉翔ですよ?何?」


今13:00だぞ

授業中じゃねぇのか?


『昨日は19:30って言ったけどやっぱ今来て』


「え?なんで?」


急にどうしたってんだ?


『いいから早く来い!30分で来い!いいな!』


ガチャ、プープー……


「あ、おい!……なんなんだよアイツ」


いきなり切りやがって…


「誰だ?哉翔、どうした?」


「いや、ちょっと…急用だ 出てくる…」


つーか30分でそっちの町行けねぇし!

なんでそんなに急いでるんだか知らねぇけど

行ってやるがね( ̄O ̄)


「……哉翔?待っ…」



珠絢の言葉が耳に届く前にソウの家を出た





.゜.゜.゜.゜.゜゜


「ったく、自分勝手なヤツだな

彼女より電話の相手の方が大事ってか」


「……あ、ううん…いいの

哉翔は、私より、自分のことを優先するのは当然、だよ?……だって、哉翔の人生だもの」


「…やっぱりどうかしてるよ珠絢は

フツー怒るとこだよ?」


「……ウフフフ(*^。^*)薔くんは、優しいね」


「哉翔のこと……ホントに好きなんだな」


「…うん、大好きだよ……薔くんも」


「え?」


「……友達、として」


「あぁ…そうだね」




.゜.゜.゜.゜.゜..


「遅いんですけど…!?」


無茶言うなよ…!はぁ、はぁ

あ゛~ 疲れた


「てか何?なんで濡れてんの!?…うわっ近づくな!

こっちまで濡れるだろ!」


…すごい言われようだな!畜生!


「これでもダッシュで来たんだよ…ハァ

早い方だと思うぜ?…ハァ、あと傘

持ってなかったの」


「はぁ!?天気予報くらい見ろよ!…まぁいいや

行くよ?」


ソウと同じこと抜かしやがって…!


「つーかどこ行くんだよ?」


「はぁ!?この荷物見てわかんないわけ??

わざわざ学校サボって家の人の目ぇ盗んで簡単に荷物まとめてきたんだよ?」


あーなるほど\( ̄0 ̄)/

だからこんな時間にこんなところに居るのか~

…全然なるほどじゃないんですけど

え?何?意味わかんないんですけどぉ?


「えーっと…何でそんなことしてるんだ?

……まさか、家出か!?」


そのくらいしか思いつかん


「…合ってなくともないけど」


マジでか!


「別にずっとじゃないよ、1日2日くらい

ということで泊まるところないから…お前の家に」


「待て待て待て!途中まで大体わかった!が、何故そこから俺の家に泊まることになる!?そして何で短期家出なんかするんだ!?」


いくらなんでも話が飛びすぎだろ!

わけわかんねぇよ


「うるせーな…いいから行くぞ!」


あ、おい!


「俺ん家そっちじゃねぇよ?」


「………((( ̄へ ̄井)持って!」


ドスン――


…女より面倒いな、お前


「ったく」




゜.゜.゜.゜.゜..


こうして意味もわからぬまま希來は我が家に

やって来た……はいいが


「あ、お帰り哉翔早かったな」


「た、ただいま」


「あれ?客?…ん?高校生…じゃないな

中学生、か?学校どうした?坊や」


問題はこの人、俺の母親であり波並家はなみけ当主たる

波並はなみ 舞翔まひろ


「えっと、その、こ、こんにちは…あの、哉翔の

じゃね、哉翔先輩の…友達で、今日学校は

…終わりました」


嘘だ!

てかなんかこんな改まった希來はレアだな

面白いもの見たぜ♪


「はぁん?哉翔の後輩か

ま、学校サボるのはいいが哉翔みてぇに

道踏み外すなよ~」


外してねぇよ

てかバレてんじゃん


「あ、あの…今日留めてもらってもいいですか?」


「…?別にいいけど…哉翔の部屋いけよ?」


「おい!なんで俺の部屋なんだよ!?狭ぇよ!」


「ああン?なんか問題でも?」


……


「…いえ、ありません」


……(ー_ー;)


「あ、あたしちょっと出掛けてくるわ

上司に呼ばれてたの忘れてた~!…じゃ、

行ってくるわ、夕飯までに帰るから」


「へ~い、いてら( ´∀`)/~~」




゜.゜.゜.゜.゜..


「哉翔って三人家族?」


結局俺の部屋に来ることになった希來と話を

していた…俺も聞きたいことあるしな

にしても……あんまり聞かれたくねぇ質問だな


「…そうだよ、俺と舞翔と兄貴の三人だよ」


「舞翔…って母さんか?父さんは?」


……そう聞かれると思ったぜ


「いないよ…物心付ついたときにはもう居なかった

俺が産まれてすぐに病気で亡くなったらしい」


「あっそう、哉翔には悪いけど父さんが

居なくていいよね」


参ったな(∩_∩;)P

その感想は初めてだわ

俺、お父さんとの思い出ねぇし

そもそも父さんの顔すら覚えてないから居た方がいいのか居ねぇ方がいいのかわかんねーなぁ…


「お父さんがいない方がいいのか知らねぇけど、

俺は居ないから居た方がよかったって思うモンだぜ

…因みに舞翔はお母さんの名前だよ

昔からそう呼んでんだ」


「そう…」


つーか俺ばっかじゃなくてお前も話せよ

全く何でこんなことになってんだか


「希來、いい加減話せよ」


「…わかったよ!」



.゜.゜.゜.゜.゜..



「…父さんが、帰ってくるんだ」


そう語り始めた希來の横顔はどこか怯えている

ようにも見えた

いつもの強気な目付きが嘘のようだ


「うちは両親共々優秀で、だから小さい頃から

厳しく育てられてきたんだ

おれは姉がいるんだけどその姉さんもまた親の期待に応えるかのように優秀で…ってそんなのはどうでもいんだけど

とにかく、その父さんが海外出張から一年ぶりに帰ってくるんだ…ほんとは深夜だったんだけどなんか

予定が早まってもうそろそろつく頃だと思う」


お前の家族すげぇな

そんな凄いお父さんが帰ってくる…って

それが何か問題でもあんのか?


「つまり、おれは父さんに会いたくないんだ!」


…そんな台詞、言ってみたかったな…とか思ってももう遅いか


「いくら頑張って有名私立中学入っても、結果だしても何も思わない…!何も言わない…!

あの人達はおれになんの関心もないんだよ…!!」


……!希來?

彼のその言葉を聞いて思った

家族とか…居ても結局そこには肩書きだけで

居ないのと何ら変わりない家族もあるということを

いや、彼の表情からはそれ以上のものを感じる

だったらむしろ欠けていたとして、その分の愛が

あるのならばそっちの方がいいのかもしれない

感じ方は人それぞれだけど…


「……と言うわけだから二、三日姿を眩ませるつ

もりなんで御厄介になります」


「そこからなんでそうなる!?」


わからない!そこが一番わかんない!何故俺ん家!?

同級生の子とかに頼むでしょ普通!…といってもそんな私事のために家出手伝うヤツもいないと

思うけどね!


「はぁ!?他に誰に頼めんだよ!!」


…居ないのかよ、逆に

まあ、なんて寂しい子なんでしょ!?

それはさておき


「…それ、お母さんもお姉さんも

知らないんだよな~?黙って出てきたんだよな!?」


まずくね?ヤバくね?これ、大袈裟なことになったら警察沙汰じゃよね?…ある意味俺、誘拐犯?


「はぁ!?そうに決まってんじゃん!言ったら絶対止められるだろーが!そのくらいわかれよ!」


「シャラーップ!!!

おま、え?何?何やってんのぉ!?それかなりまずいだろ!家の人がお前が帰ってこないのを心配に思って警察に捜索願いとか出したらどーすんの!?」


どうしよう…!どうしよう…!

勘違いから俺の人生が刑務所生活になったら…!

放課後のパラダイスがぁぁぁ!!


「はぁ!?そんなの…お、お前がどうにかしろ!」


「無茶言うなぁ!!」


バカじゃないの?バカだろ!?

そのくらい小学生でもわかるよ!?

あーもいい!こうなったら仕方ねぇ!


「あ!おい、どこ行くんだよ!?」


「バカか!お前ん家だよ」


「はぁ!?何考えてんの?おれは嫌だよ!?…っておい!

待て!ここお前の家だろ!…置いてくな~!」


置いてくも何も俺の家だろうと別に来たくなけりゃ

来なくてもいいっつの


「おい待てって!」


待たねぇ!

そう言う暇もなく俺は玄関のドアを開けた

もう春なのに思ってたより日が沈むのが早いらしい

まだ17:30だぜ!?

話し込んでたら結構時間はたっていたようで

……うわ!


「ぅおい!いきなり止まんなよ!」


「傘!」


まだ降ってらぁ


「……やだね、濡れてけば?」


…テメッ!


「いい加減にしろよ希來

……なぁ、お前何か勘違いしてねぇか?」


仕方ねぇから…いや違うな


「…?」


「誰がお前を家に帰すっつったよ?

別にいいじゃねぇか、帰りたくないなら

帰らなくてもよぉ?俺ん家は構わねぇぜ?舞翔が構わないならな」


「……は?」


正確にはこうするのが希來の友達としてかつ俺

として、当然だから…


「俺はただ友達のお父さん落としに行くだけよ」


はっ、決まってんだろ

簡単なことだ、俺の数少ない友達のために

一肌脱いでやりゃ!

お父さんに認めてもらえない?だったら力付くで認めさせれば済むことだ

関心がないなら関心が持てるように恥をかいてやる

まあ…もっとも、恥かくんじゃなくて楽しませてもらうだけだがな、俺の趣味なので…


「は、はぁ!?…人の親落とすって、バカは

そっちじゃん!…あ~ぁ、でもまたカナちゃん見れるならまあいいか」


素直じゃないねぇ



それきり希來は黙って部屋に戻った

ホントは希來ん家に近い紬の家にある俺の〔カナの〕服借りていこうとしたんだけどやっぱり自分家ので行こう、そう思って俺も部屋に戻った

窓に写る雨空の中の希來をぼんやり眺めていた

また、静かになった部屋には昼過ぎから降り続く雨音が妙にうるさく響いている


これを気まずいと言わずなんと言う…?



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