07 イエティ娘
雪男娘と表記したら別の存在になってしまいそうだ。
イエティ娘です。
でっかいですよ。身体も胸も。
夏、この季節は彼女に厳しい。僕たち人間以上に、暑さには弱いのだ。
カーテンを閉め切って冷房を付けた部屋の床にでろんと伸びて非常に邪魔だ。クーラーは入れたばかりなので、まだ部屋の中が暑いけれど、それでも多少は涼しくなっている。それでも一向に暑苦しそうに呻くだけで声すら発さないので、心配になってくる。
「冷たい水、持ってこようか?」
かすれるような声で、彼女はおねがいと行った、のだろう。うめき声だけで僕はの耳には届かない。
本来は寒さから身を守るために彼女の身体は作られている。柔らかくたっぷりと蓄えた脂肪は全体的に付いているので、彼女の体型を崩すことはない。白くふわふわした髪の毛も量が多く、身体の前面の毛がない箇所に巻いて暖を取るために熱がこもるようになっている。手足の末端は髪の毛の毛布から出ても冷えていかないようにたっぷりと毛に覆われ、非常に暑そうだ。何より彼女の大きな身体は体温を低くしやすいが、その分熱を逃がさない。
何故、日本に来たのだろう?
僕はグラスに氷を入れ、水道から水を注いでかき回す。氷が溶けてすぐに冷たい水になった。ストローをグラスに挿し、彼女の口に咥えさせてやる。
長い髪を切ればいいのにとは思う。けれど、彼女たちにとって髪は身を守ってくれる大事な物で、切りたくないのだそうだ。それで身を滅ぼしては世話ないと思うのだが。
彼女のお腹に手を載せて、ゆるく揉む。ふかふかとした感触が気持ちいい。
「にぅ、もっと」
人の身体に触れている方が涼しいようだ。
プールに連れてってやればいいとは思うが、合う水着のサイズがない。雪山で裸でいても凍死しない身体は豊満だ。そしてでかい。乳房の事ではない。身体その物がでっかい。普通のビキニがマイクロビキニになってしまう。大切な彼女をそんなに露出させたくない僕のわがままではあるのだけれど、それでもやっぱりマイクロビキニを着せたくはないのだ。
エアコンが冷たい風を噴き出す。かなり低い設定にはしてあるが、部屋が冷めるのはもう少し先だろう。
どうせ部屋の中だからと、僕も裸になって彼女に寄り添おう。柔らかくて大きな彼女に抱きしめられるのは、とても幸せだ。