激闘
三人称side
司祭が倒れた後に魔方陣の中から徐々に、鎖鎌を持った人物が現れた。
???「全くもって愚かな人間だったな。悪魔の血を人間が飲んだところで、永遠の命を得られるわけがない。」
魔方陣から出てきた人物は、司祭を見ながら言った。
見た目は20代の後半で、抜けるような白い肌に黒い髪と眼をしている。性別で言うと男に見えるが悪魔に性別はない。
ガイ(コイツ!見た目は人の姿をしているが、間違いなく悪魔だ!)
ガイは魔方陣から出てきた人物を見た時から、背筋がゾクゾクしていた。
麗奈(なんてものが、出てきてしまったんでしょうか。)
麗奈はショックを受けていた。
アリス(ちょっと、ヤバいんじゃないの。)
アリスもガイと同じく、悪魔が出てきた時から寒気がしていた。
アイシャ(なんなんだい!コイツは!)
アイシャもかなり動揺していた。
ローギス(フフフ、やはり下界に降りたのは、正解ですね、退屈凌ぎには、ちょうどいい)
ローギスは内心、楽しくてしょうがないようだ。
青年
青年は何を考えているか分からない。
???「さて、お前達には悪いが、姿を見られた以上は消えてもらおうか。お前らが死ぬ前に俺の名前を教えておこうか。俺は魔王ダラス様に仕える魔将カイン。」
カインが名乗り終わった途端、いつの間に移動したのか、青年がカインの背後から槍で攻撃していた。
カイン「ッッ!」
その威力は鎖鎌で受け止めたはずのカインの頬を裂く程である。
カイン「これは驚きだ。まさか、この俺に気配を悟られずに俺の背後をとるとはな。」
青年はそれを聞きニタァと笑った。
何も答えないところが、さらに青年の不気味さを醸し出していた。
さらにカインの横から、何かが飛んできた、それはカインのまわりを何周もまわりカインを縛った。
アリス「どう、これで動けないでしょ。」
どうやらアリスが鞭で、カインを縛ったようだ。
アリス「こんな時のために、鞭も持ってきてたのよ。」
アリスはまるで誰かに、言い訳しているみたいに言う。
麗奈「悪いですけど、私達も死ぬ訳にはいかないので、抵抗させてもらいます。」
麗奈はそう言いながら、弓矢を構える。
麗奈「《ブロークン・アロー!!》」
麗奈が放った矢は、魔力が付加されており、普通に撃った時の3倍の威力で放たれる、さらに矢は回転式になる。
アリス「これでも、食らいなさい!《サンダー・ウェーブ!!」
アリスはカインに魔法を向けずに、自分の鞭に向けて魔法を放った。
鞭を通して波打ちながらカインにむかう。
この魔法は、相手を痺れさす魔法だが、相手を縛った状態で鞭から通して放てば、効果は抜群である。
ガイ「アイシャ、やるぞ!!」
アイシャ「アイアイサー!」
ガイ・アイシャ「「アクア・ショット!!」」
ガイとアイシャは同時に水の弾丸を放った。
それぞれが放った魔法がカインを直撃した。
カイン「ぐっ、さすがに今のは効いたな。」
カインはあちこちから、血を流しているが、まだピンピンしている。
カイン「だが、遊びはここまでだ。」
カインがそう言った途端、カインから、尋常じゃない殺気が放たれる。
あまりの殺気に景色が歪む程だ。
ガイ(な、なんて殺気だこの俺が足が竦んで、動けないなんて!)
ガイは殺気に当てられ足が動かないようだ。
麗奈(なんて恐ろしい方なんでしょう。)
麗奈も殺気に当てられ動けないようだ。
アイシャ(なんつう殺気放つんだ、まるで身動きができねえ!)
アイシャもやはり動けない。
アリス(まさかここまでの殺気を放つなんて、これは本当にマズイんじゃないかしら。)
アリスも身体を動かそうとしているが、全く動かない。
カイン「さて、さっさとゴミは片付けるか。」
カインは全員が殺気に当てられ動けないと、思っていた。
だが何事にも例外があるように、ここにも例外があった。
カインは全員で6人いたはずの人間が、今は4人しかいない事に気付く。
カイン(どこへいった?まさか逃げたのか?)
カインは、しかしそれはないと思った。仲間を見捨てるはずはないと。
しかし本来、同行者でしかないあの二人は、実は見捨てるという選択肢もあったが。
まあ、カインにその事は知る由もないが。
カインがそんな事を考えていると、なんと!カインの影から青年が出てきた。
カイン「ちぃッ!」
カインは咄嗟に身体を横にずらしたが、脇腹を抉られていた。
青年「無槍流操影術第一章 槍突撃」
青年は相変わらず、ニヤニヤしたままである。
カイン(馬鹿な!影からの攻撃だと!人間でそんな事ができる奴がいるとは!それにコイツはやはり俺の殺気の中でも動けるのか、タダ者じゃないな。恐らくはもう一人も厄介な相手に違いない。)
カインがまた考え事をしていると、上から声がした。
ローギス「《ブラッディレイン》」
今まで沈黙を守っていたローギスが、カインに向けて血を凝固したものを、刃の形にして雨のように降らした。
青年はカインの近くにいたので、即座に巻き添えを食らわないように、距離をとった。
カイン「調子に乗るなよ。《炎獄弾》」
カインは極大の炎の弾丸を、ローギスが放った魔法に向けた。
やがてそれはぶつかりあって、溶けて無くなった。
ローギス「フフフ、貴方はなかなか楽しめそうですね。」
カイン(コイツ、俺の殺気の中で動けるどころか、笑ってやがる。まあ、もう一人は、気味が悪い笑い方をしているが)
カインは、最初にローギスを見て、次に青年を見ながら思った。
だがいつの間にかまた、青年が消えていた。
カイン(同じ手は食わんぞ!)
カイン「《シャドウ・バニッシュ!!》」
カインは自らの影を、魔法でかきけした。
ローギス「《ブラッディ・ソード》」
ローギスは赤い剣を方手に地面を片足で、少しジャンプしてから、目にも写らないスピードで壁を蹴った。
そして壁から壁へと、縦横無尽に駆け回る。
アリス(なんてスピードなの!)
アリスは速すぎるスピードに驚いていた。
ガイやアイシャ、麗奈もあちこち駆け回るローギスに目を回していた。
さらにローギスは自分の身体を縦に回転させながら、カインに迫る。
まさしく今のローギスは、人為的に竜巻を発生させているような、状態である。
当然、カインはローギスの攻撃をかわすが、ローギスは、また壁を蹴って駆け回りカインに迫る。
カイン「ふん!いい加減うっとうしいな。潰してやろう。」
カインは迎え撃つ気のようだ。
カイン「《グランド・スマッシュ!!》」
カインは教会の床を、両手で抉り取り、さらにそのしたの地面を隆起させて、カインの目の前に重厚な土の壁を作った。
ローギス「!!」
ローギスは土の壁に弾き飛ばされたが、空中で体制を整えて、着地した。
カインは土の壁を解除した。
カイン「あの程度の攻撃で俺を倒せると思ったのか?だとしたら、馬鹿にしているな、やはりゴミはゴミか。」
カインがそう言った頃には、いつの間にかローギスの背後にいた。
そして左手でローギスの心臓を貫いた。