メアリー
やあ皆、原始人だよ~
ダメだ、自分で何をやってるか分からない。
アリスside
アリス(な、な、なんでこの男がここにいるのよ!)
それは他の3人も同じ思いだった。
皆、驚きで口を開けっ放しにしていた。
いち早く立ち直った、ガイが少し距離をとり警戒体制に入っていた。
ガイ「なんで、てめえがここにいやがる!」
ガイは少し冷や汗をかきながら、聞いた。
もしもこんな所で、戦いにでもなったら大変なことになる、そう思いながら。
ローギス「フフフ、皆さんお久し振りですね、と言いたいところですが、昨日ぶりでしたね。」
ローギスは、ガイの問いを無視して挨拶していた。
麗奈「何故、貴方がここにいるのですか?」
ガイのかわりに再び、麗奈が問い質した。
ローギス「ここには、服の新調と、情報収集ですよ。」
アリス(そういえば、服装が少し変わっているわね。相変わらず黒づくめだけど。)
その時、カウンターの中から女性が出てきた。
女性「ローギス様、お待たせしました。オレンジジュースです。」
見た目18歳ぐらいの茶髪の若い娘が、わざわざローギスの隣りまでいってオレンジジュースを渡していた。
カウンターからでも、渡せるのに。
アリス(オレンジジュースには誰も突っ込まないのかしら。)
アリスは酒場まできて、なぜにオレンジジュースなのか激しく疑問に思った。
ガイ「もしかしてアンタ、酔っ払いにさらわれそうになった娘か?」
ガイは冒険者の話を思い出してピンときた。
女性「ええ、そうです。でも、危ない所をローギス様に助けて頂いたのです。」
女性はそう言って、ローギスを見ながら頬を赤く染めていた。
アリス(これは、完璧に落ちてるわね。)
アリスはこの娘は、もうローギスに恋に落ちていると思った。
なにせローギスの顔は、物凄くキレイである、そこにきて危ない所を助けてもらったとくれば、容易に想像がつく。
アイシャ「いや~アンタ、ローギスっていったっけ、良いところあるんだな。」
アイシャはローギスを褒めていた。
ローギス「大した事はしてませんよ。ただあまりにも目に余る行為だったので少しお灸をすえただけです。」
??? 「いやいや、うちの娘が助かったのは貴方のお陰ですよ。」
カウンターの中から、もう一人ダンディな感じの40代前半ぐらいの男の人が出てきた。
女性「もう!お父さんはあっち行っててよ!」
どうやら父親が出てきたらしい。
父親「まあ、良いじゃないか。他の皆さんもお連れ様でよろしいですかな?」
ローギス「ええ、構いませんよ。皆さん遠慮なさらずにこちらで座って下さい。」
ローギスはそう言ったが、ローギスの左横には
女性が座っている、しかもいつの間にかローギスの左腕を自分の胸の谷間に押しつけていた。
それも自分の父親の前で。
アリス(この娘、やるわね。)
アリスは恐ろしい娘!と思ったり思わなかったり。
ローギスの右横も開いているのだが、先程ここのお客さんらしき女性がローギスの右横に座ろうとしたのだが、やはりというか、ローギスの左横に座っている娘が、恐ろしい眼力で追い返していた。
アリス(こうなると、ガイに犠牲になってもらわなくちゃいけないわね。)
アリスは男なら大丈夫だろうと思った。
アリス「ガイ、そこに座ってちょうだい。」
アリスはローギスの右横をガイに進めた。
ガイ「いや、俺は立ったままでも・・」
アリス「スワッテクレルワヨネ。」
アリスは邪気眼を発動した!
ガイ「ハイ、スワラセテイタダキマス。」
ガイは即答した。
何故なら目の前に人の皮をかぶった鬼神がいたから。
そしてガイは強制的に、ガイの右横に座らされた。
アリス・麗奈・アイシャはそれぞれ辺りに置いてある椅子をもってきて近くに座った。
父親「さて皆、座ったね、これでも私はここのマスターをしているからね。それなりの情報は仕入れているよ。」
ローギス「そうですね、私は竜王の居場所が知りたいですね。」
父親「これはまた、竜王とは大きくでましたね。ですが確かに竜王は、実在するようです。
かなり前に冒険者の一人が命からがらといった感じで帰ってきましたからね。」
どうやらローギスの目的の竜王は実在するらしい。
父親「それで居場所なんだけど、ここから遥かに西のほうにいった山の頂上にいるみたいだよ。」
アイシャ「それってバルク山脈じゃないか!」
アイシャはかなり驚いていた。
それもそのはず、バルク山脈といえばローギスが出てきた、ベルザインの塔に次ぐ危険地帯である。
ローギス「そうですか、情報提供ありがとうございます。」
父親「いえいえ、これぐらいしないと娘に何を言われるか分かったもんじゃないですからね。」
父親は娘を見るが当の本人はローギスにベッタリひっついたまま離れる気配がない。
それを見た父親は苦笑しているが。
アリス(娘をもつ父親ってのも大変ね。)
アリスはここのマスターに少し同情していた。
麗奈「すみません、ここって教会がありますよね。」
麗奈は何故か唐突に教会の事を聞いていた。
父親「ええ、確かにありますがどうかしましたか?」
アイシャ「実はここにくるまでの途中で、不審な噂を聞いたんだよ。」
どうやらここの教会には悪い噂が漂っているらしい。
麗奈「ここの教会の司祭さんが悪魔と関わりがあるんじゃないかと、道行く皆さんがおっしゃっていましたわ。」
アリス(そういえば、そんな事を皆、声を小さくして喋っていたわね。)
父親「確かに最近そんな噂をよく聞くね。私も長年ここにいるけど、そんな噂は初めてだよ。
しかし確かめようがないしね、タダの噂であれば良いんだけどね。」
ここのマスターもあまり詳細が分からないみたいだ。
麗奈「そうですか、ありがとうございます。」
父親「いや、あまり役に立てなくてすまないね。」
アイシャ「気になるなら、その教会とやら調べてみようぜ!」
アイシャはどうやら調べる気のようだ。
ローギス「面白そうですね、私も連れていってくれませんか?」
ローギスが同行を願いでた。
ガイ「はぁ!?お前みたいな怪しい奴を連れて行けるわけねぇだろうが!」
ガイがそう言った途端、今までローギスにベッタリひっついていた娘がガイの前まできて足を思いっきり踏んづけた。
ガイ「~~!?何しやがる!」
娘「ローギス様を侮辱する者は殺します。」
ガイはあまりの痛みに、のたうち回っていた。
アリスもあまりの気迫に怯んでいた。
麗奈とアイシャも引いていたが。
アリス(この娘、本物の殺気を出している!)
アリスはガイをこの娘から離そうと思った。
父親「メアリー!止めなさい!」
しかしそれより先に父親からおとがめが入った。どうやらこの娘の名前はメアリーと言うらしい。
メアリー「ごめんなさいお父さん。」
父親「謝るのは私にじゃないだろう。」
メアリー「そうね。ごめんなさいね、お客様なのに。」
ガイ「あ、ああ、別になんともなかったからいいがな。」
ガイは若干涙目になりながらいった。
メアリー「とにかく、ローギス様は怪しい者ではありませんので、教会にもちゃんと一緒に連れていって下さい。」
メアリーの有無を言わせぬ迫力にガイは思わず、ああ、と返事をしてしまった。
アリス(でも気になるわね、このメアリーって娘確かに本物の殺気を出していた。)
ローギス「どうやら、私がついて行く許可はおりたようなので、ご一緒させてもらいますよ。」
ローギスはそう言って席を立つ。
メアリー「ローギス様、名残り惜しいですが、しばらくお別れですね。」
メアリーはローギスの前に立つと、ローギスの頬にキスをした。
ローギスもメアリーの頭を撫でていた。
メアリーはウットリとした表情をしている。
アリス(あそこだけ、ピンクの空間に見えてきたわ。)
ローギス「さて、そろそろ行きましょうか。マスターお勘定を」
父親「今回はいいよ、娘を助けてもらったしね。」
どうやらタダにしてくれるようだ。
ローギス「そうですか、ありがとうございます。では、そろそろ出発します。メアリーさん、さようなら。」
メアリー「さようなら、ローギス様、私はいつでも貴方の味方ですわ。」
そして一行は酒場を跡にした。