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理想の美女7人に愛される生活 ボクは厳しい条件をクリアした唯一の男性でした。  作者: サアロフィア
第1章 ボクの新しい名前

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005 【挿絵】 オルアさんと、わたしの新しい名前

オルアさんが専属メイド(実は、将来のパートナー)になることを引き受けられた。



待合室となった別室で息が詰まる思いをして、わたしは結果を待っていた。


短くて、はかない夢だったな。ベーシックインカムを導入した国に招待されるなんて、あまい夢を見なきゃよかった。目から涙があふれだす。


ノックノックとドアを叩かずに声で言う人がドアの前にいた。


「開けるぞ」と、司会は言った。


泣いているワタシを見て、医師が優しく声を掛けてくれた。


「どうしました、どこか痛いですか?」と、医師は尋ねた。「それとも、お腹がすきましたか?」


「ご希望が有れば、言ってね。」と、オルアは優しく言った。


「結果が不安になって、考えたら悲しくなって・・・」と、わたしは答えた。


司会と医師はオルアを見て、『良いなあ。代わって欲しい。』と心の中で思った。優しく(なぐさ)めて寄り添えば簡単に落とせそうだ。


「大丈夫ですよ。」と、オルアは言った。「これからは私がフォローしますから。私のことは、オルア様と呼びなさい。」


わたしは、『なんか怖い、わたしを弱らせてコントロールしたいひとかな?』と不安になった。


「ざぶとん、全部とりなさい。」と、司会は指示した。


「はい。」と、医師は返事をした。


「オルアさんと呼べばいい。適切な距離感は大事だからな。」と、司会は言った。


「オルアさん、よろしくお願いします。」と、わたしは言った。


「わたしといるときは、常に敬語を使って常にへりくだった態度でいれば、それ以上気を(つか)うことは無いから。」と、オルアは言った。


「ゴマをすらなくて良いなら助かります。」と、わたしは答えた。


「オルア、いい加減にしろ?ああ?(怒り)」と、司会は怒鳴った。


「ゴマをすることは苦手ですか?」と、医師は尋ねた。


「たとえば、和菓子が大好きだ!と宣言してもらえたら、和菓子を贈ります。」と、わたしは答えた。「しかし、言わなくても分かるだろう?と言われても分かりません。」


「言わなくても分かるだろ?って、あかちゃんを相手にしてきたのか?」と、司会は呆れたように言った。


「いいえ、成人した方々でした。」と、わたしは答えた。


「苦労してきたのですね。」と、医師は同情した。


「これからは、わたしがサポートしますので、泥舟(どろぶね)に乗ったつもりで安心してください。」と、オルアは言った。


「せめて、木の小舟(こぶね)でお願いします。」と、わたしは返した。


『相性は悪くないのかもしれないな。』と、司会と医師はそう判断した。そして、疲れた。



「あなたが会場で不便を感じたことの原因が分かりましたので、カセイダード本国(ほんごく)到着までに治療します。」と、医師は言った。


「なにの治療ですか?」と、わたしは尋ねた。


「主に、赤緑色盲(せきりょくしきもう)(red-green color blindness)と聴覚情報処理障害ちょうかくじょうほうしょりしょうがい(APD, auditory processing disorder)ですね。」と、医師は説明した。


光元国(ひかりもとこく)では治療方法が見つかっていません。」と、わたしは言った。「それを治すとなると、とても高額になるのでは?わたしには払えません。」


「あなたが、カセイダード本国の国益に尽力してくれれば大丈夫です。」と、司会は言った。


過度(かど)の期待をされても困ります。」と、わたしは不安を口にした。「期待外れだと、がっかりされて、嫌われたり、罵倒(ばとう)されたり、いじめられたり、怒鳴られたりしたくありません。」


「その場合は、わたしのサポートがダメだったということで、私の責任になります。」と、オルアは言った。


「そんな成績保証の学習塾のようなことをして良いのですか?」と、わたしは尋ねた。「責任を押し付ける先が確保されていれば、なまけて努力しなくなりますよ。」


「馬鹿正直ですね。」と、オルアは言った。「そのときは早めに見捨てますから気にしないでください。」


「オルアさんは逃げられるなら良いことですね。」と、わたしは言った。「でも、わたしは「出来そうにないことは出来ない、無理です。」とお断りしたいです。傷が小さいうちに。」


「おはようからおやすみまで、いっしょにいますから大丈夫です。」と、オルアは言った。「それとも、わたしが一緒にいることで、あなたのやる気というか活力になりませんか?わたしには魅力を感じませんか?」


挿絵(By みてみん)


オルアさんが右手を当てた胸元は、大きく開いていて、素晴らしい胸の谷間が見えた。胸元からは微かな甘い香りが漂い、その谷間が視線を引きつけた。


わたしは、理性の全力で自分の視線を胸元から移動させて、オルアさんの目を見た。


先ほどまで、強い言葉をはなっていた人物とおなじとは思えないほど、目が(うるお)っていた。


(まばた)き1つでもすれば、涙があふれだすかもしれない。


「でも、わたしが、オルアさんにお返しできるものが有りません。」と、わたしは言った。「オルアさんになんのメリットが有るのですか?」


「もういい、だいたい分かった。」と、司会は遮った。


わたし(こころの声):『良かった。あとは、荷造りするだけだな。短い夢でも楽しかった。オルアさんに余計な苦労をさせて、恨まれなくて済む。』


「過去の経験が、あなたをそうしたのですね。」と、医師は言った。「でも、カセイダード王国に移住するのですから、過去を清算しろとまでは言えませんが、つらい過去を無かったことにして【箱に片づけて忘れても良い】のではないですか。」


「そうだな。」と、司会は言った。「光元国(ひかりもとこく)のことを忘れるためにも、気分を変えるためにも、改名することを勧める。これからの貴方は夢をもてるようになって欲しい。そして、『私には、夢が有る!』と胸を張って、自信を持って生きて欲しい。そう願って、この名を贈る。アリム・・・『夢が有る』という意味だ。」


「アリムさん、これからは新しい人生を歩んでください。」と、医師は言った。「それが治療できない部分を癒してくれます。」


わたしは、感動して、うつむいて泣いてしまった。これまでの苦しい過去、悲しい経験から解放された気がして、大声を出して泣いてしまった。



10分間ほど泣いただろうか?私が泣きやむまで、3人はそばにいてくれた。


オルアさんの声が聞こえる。


ずっと、わたしが泣きやむのを待って、わたしの新しい名を呼んでくれた。


「アリムさん、あごあげて、(そら)を見て、元気出して。」と、オルアは言った。「こんな素敵な人がそばにいるんだから!ねっ!」


やさしい視線(まなざし)と、包むような笑顔に、こころが(あたた)かくなった。


「はい。」と、アリムは答えた。


わたしの新しい人生が始まろうとしていた。



「行くよ!アリムさん。」と、オルアは手を引いてくれた。


「はい。」と、アリムは答えた。手から伝わるオルアさんの体温に幸せを感じました。


お読みいただき、ありがとうございます。 作者のサアロフィアです。


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