004 運営側の話し合い、クラスターとは
わたしは、どうなるのだろう。
わたしが知らないところで、わたしの処遇について話し合いが行われていました。
読者のみなさんは、クラスター制度の一部について知ることができます。
◇
「みなさん、お待たせしました。」と、司会は会場に向かって言った。「みなさんは大丈夫とのことですから、続けますね。」
笑顔を会場に向ける司会に、会場のみんなは、「はーい」と機嫌よく答えた。
2時間の授業のあとで、30分の休憩をはさんで研修が再開された。
研修再開10分後には、ぬきうち理解度テストが実施された。
残った199名中、42名が一次試験合格者として発表された。
つまり、157名が二次試験に勧めず、船を降りることになった。時刻は15:30すぎでした。
◇
わたしは、別室に用意された席にひとりで座っていました。
会場を出た直後、白衣を着た医師であろう美しい女性に診察されました。その結果を待っていました。
◇
さらに、別室では、司会、医師、そして、もうひとりの美しい女性が丸いテーブルに座って話をしていた。
不思議なことに、絵にかいたような(AIが描いたような)美しい女性しか、この船に乗っていない。
正確には、女の人と呼ばれるクラスターで心技体が揃った存在確率がレアな人たちで、スタッフが揃えられていた。
パートナーになる権利の末端価格が6億Versilの存在だから、当たり前なのだが。
「一次試験に合格できた人数は、1+42名だけだった。」と、司会は言った。「しかし、できないならできないと最初に言えよ。あの男風情どもが、ふたを開けたら出来ませんなんて、時間の無駄だろうが。バレないとでも思ったのか、なめてんのか?」
「あー、よほど腹が立ったのですね。言葉遣いが荒いですよ。」と、医師は落ち着いた声で言った。
「当たり前だろうが。同じ時間を浪費するなら、美少年でも口説く方がよっぽどマシだぞ。」と、司会は続けた。
(注) カセイダードでは、DNAレベルで容姿の書き換えとデジタル保存ができるため、外見が美しいことは当たり前で、ちやほやされることはなかった。 また、男性は心技体が求められるため、身体だけ美しくても価値が低かった。 男尊女卑のため、男性に対する合格基準点は厳しい・・・
「本国に帰ったら、男の子を口説いて、家事と夜の相手をお願いすれば良いじゃないですか?」と、医師は提案した。
「そうするよ。」と、司会は答えた。「そうしないと割に合わないな。ところで話を変えるが、手を挙げたひとは「男の子」のクラスを取れるのではないか?」
(注) 男性で心技体がそろって、女性のように家事などのフォローをすることが出来て、夜の相手として「受け」ができる男性を「男の子」と呼ぶ。 パートナーになる権利の末端価格が6億Versilの存在で、「女の人」のクラスをもつ女性が口説いて楽しむために存在すると言っても良い。 わずかな光で発電する太陽電池のように女性の魅力に敏感なうえに、訓練前は魅力防壁をまとうことができないので、多くの平均的な男性よりも過剰にドキドキしてしまう男性である。 純情すぎる。 あなたの恋愛経験値は幼稚園児レベルか? 多くの平均的な女性には、なにも話さない無口な存在と受け止められて、嫌われてしまう。 つまり、心技体の体しかない美人以下の女性にとっては、無礼で意味不明の存在でしかない。 しかし、美女以上の女性にとっては、貴重な【魔力充電器】であり、理想のパートナーに育て上げる達成感を得られる存在である。
「女の人以上の女性が導けば、YESですね。」と、医師は言った。「現時点でも、クラスター特効は満たしています。」
(注) 多くのもてる女性がパートナーを選ぶ基準は、パラメーター(能力、地位、金、容姿)である。 それに反してクラスターは、パラメーター以外の要素で優先的に選ぶことが多い。その要素をクラスター特効(クラスター特別効果の略)と呼ぶ。 美人以下の女性には理解できない価値基準である。 つまり、どこを評価しているのか理解不能、意味不明である。 クラスターにしか知られていない真実があるという説もあるが、だれも支持しなかった。
「だろうな。会場で無ければ、その場でナイトバインドしたかった。」と、司会は言った。
(注) 騎士契約と夜契約をパートナーと結ぶこと。 契約と言うよりは拘束に近いから、ナイトバインドと呼ばれる。 ひとたびナイトバインドすれば、志望順位によるがパートナーを守り、貞操を捧げあう関係になれる。 成立判定者であり保証元が最高位の存在であるため、信頼性は高かった。 残念ながら無理強いや強制はできない。 強制しようとすれば適用外にされるため、損することをするものはいなかった。
「確かに。わたしもナイトバインドしたい気持ちをおさえることに苦労しました。」と、医師は同意した。「お役目が無ければ迷いませんが、24時間いっしょにいることは無理ですからね。」
「そうなんだよな。」と、司会は言った。「しかし、唯一の招待者だから、絶対に本国まで研修をクリアさせる必要があるな。他の乗船者、残り42名はあくまでも一次試験の合格者に過ぎない。それなのに、自分たちの方が高い価値レベルだと誤解している連中だからな。」
「最初から、飛行機に乗せて直行させた方が良かったと思いました。が、」と、医師は言った。
「が、は、しかし、の意味か?」と、司会は問い返した。「やはり、問題があるのか?色覚、視力、聴力か?」
「赤と緑の区別、近眼、音の選択不可、長時間の聞き取り処理に問題があります。」と、医師は伝えた。
「|赤緑色盲《red-green color blindness》と|聴覚情報処理障害《APD, auditory processing disorder》については、データ書き換え修正が必要だな。」と、司会は言った。「一気に書き換えると負担が大きすぎるから、少しずつ更新してアップグレードするとして、掛かる期間は・・・」
「7~10日間ですね。」と、医師は答えた。
「研修期間中に治療を終わらせろということか。」と、司会は溜息をついた。「しかし、わたしのようなクラスターでもなければ、振るい落しているぞ。」
「だからこそ、「女の人」のクラスターであるあなたを司会に任命したのでしょうね。」と、医師は推測した。
「とすれば、今回の仕事について、言いたい文句はあるが納得だな。」と、司会は受け入れた。
「治療は進めるとしても、専属メイドのように傍につく者の選定が必要ですね。」と、医師は確認した。
「だからかあ。」と、司会は呟いた。「どこまで台本を用意しているのか。流石としか言いようが無い。」
司会は、もう一人の女性に目を向ける。
「オルア」と、司会は名を呼んだ。
「はい。」と、オルアは返事をした。
「彼をパートナーに選ぶか?」と、司会はオルアに尋ねた。「もちろん、拒否権はある。」
「そうですね。」と、オルアは言った。「彼がわたしを好きになるかですね。年齢の差も気になりますね。」
「年齢の差は、10歳若返り薬を3粒わたす。」と、司会は言った。「だだし、説明して1粒ずつ飲ませろ。もしかすると、1粒で20~30歳若返ってしまう可能性が高い。その場合は残った2粒は返してもらうが、10年後に新しい10歳若返り薬を渡す。」
「余らなかった場合は?」と、オルアは尋ねた。
「その場合でも、10年後に彼とオルアに1粒ずつ渡す。」と、司会は答えた。
「お得ですね。」と、オルアは言った。
「彼は何歳だ?30歳くらいか?」と、司会は尋ねた。
「50歳過ぎています。」と、医師は告げた。
「はあ、若すぎないか?」と、司会は驚いた。
「酒を飲まない、たばこを吸わないだけでなく、日々の食事が良いのかもしれませんね。」と、医師は言った。
「彼の収入では高価な食材やサプリメントは買えないだろう。ということは・・・」と、司会は推察した。
「我々が見過ごしている安価な食品に若返りの効果があるのかもしれません。もしくは、生活習慣や、趣味や活動内容などで気が若いから、それがプラスに働いているのか?」と、医師は続けた。
「それを手に入れるために、試験ではなく招待をしたのか?」と司会は核心に迫った。「オルア、彼を惚れさせることはできるか?」
「攻撃魅了は使って良いですか。」と、オルアは尋ねた。
「それはやめておけ。」と、司会は即答した。「彼には刺激が強すぎる。そして、恋愛経験がゼロに近そうだから、青春させてやってくれ。3年計画くらいで、告白の場へ呼んでやれ。」
「面倒くさいですね。」と、オルアは口にした。
「なら、わたしが変わるから、司会してくれるか?」と、司会は言った。
「ずるいですよ。わたしに任せてください。」と、医師は名乗り出た。
オルアにとっては司会も医師も簡単なことではあったが、恩赦や罪の減刑にならないためメリットが無かった。
「つつしんで、青春担当をいたします。」と、オルアは引き受けた。
「ブー、ブー、ブー」(不満の声)と、司会と医師は不満の声をあげた。
◇
1人目の美女、オルアさん登場です。
どのような人柄でしょうか?
お読みいただき、ありがとうございます。 作者のサアロフィアです。
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