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ジャッジメントライトの奇襲


 私が倒したアソパの部下、スタネートがアソパの居場所を吐いた。私とティノちゃん、そしてギルドの戦士たちはアソパがいる町外れのボロ小屋に向かった。だが、道中でジャッジメントライトが襲ってくるだろうと私は予想している。


「ティノちゃん。いつ、どのタイミングで奴らが来るか分からないから、すぐに魔力を解放できるように準備をしておいて」


「分かりました」


 ティノちゃんは杖を構えながらこう言った。私もすぐに剣を抜けるように左手で鞘を持っていた。他のギルドの戦士たちも、何かあってもいいように利き手ではない方の手で剣の鞘を持ったり、盾を持っていた。


 しばらく歩き、私たちは町の外れの近くを歩いていた。ここまで何もないってのがおかしい。ジャッジメントライトは私たちが動いていることを察しているだろう。今、私たちが近くにいるって言うのに何もしないのがおかしい、それとも、近付いた時を狙って攻撃を仕掛けるつもりか?


「何も来ませんね」


「それがかえって不気味ね」


 私とティノちゃんはこう言いながらも、いつでも戦いができるように準備をしていた。その一方で、ジャッジメントライトの攻撃がないだろうと考えたギルドの戦士たちは気が抜けているのか、武器をしまっていた。


「このままだと、奴らのアジトに着きますね」


「俺たち、少し考えすぎなんだよ」


「あいつらは今、犯罪者と呼ばれているんだ。下手に動けないからな」


 などと、ギルドの戦士たちは呑気に話をしている。そういう態度を取っていると、後で襲われた時にパニックになるのに。私はそう思ってため息を吐いた。その時だった。


「敵が来ます!」


 ティノちゃんがこう叫んだのだ。私たちはすぐに武器を取り、上を見上げた。上から武器を持った変な戦士が現れ、私たちに襲い掛かったのだ。


「ジャッジメントライトだ!」


「返り討ちにしてやる!」


 ギルドの戦士たちは武器を持ち、襲い来るジャッジメントライトの戦士に反撃をしていた。


「エクスさん。こっちに向かって来ますよ」


「ええ。返り討ちにしてやるわ」


 私は剣を抜き、襲い来るジャッジメントライトの戦士の腕や足を切り落としていった。ティノちゃんも雷を発し、ジャッジメントライトの戦士の動きを封じていた。


「ぐあああああ!」


「そ……そんな……」


「エクス・シルバハートがここまで強くなっていたとは……」


「ティノ・オーダラビトも強くなっている。私たちは奴らの力を甘く見すぎていた……」


 私たちによって倒されたジャッジメントライトの戦士は、こんなことを言いながら散って行った。


「ふぅ。大したことないわね」


「そうですね。そこまで本気を出さなくてよかったです」


 私とティノちゃんはこんな会話をしていたが、ギルドの戦士たちはジャッジメントライトの戦士を相手に少し苦戦していた。話をしている場合ではないと思い、すぐに助太刀に入った。




 エクスとティノは本当に強くなった。今戦ったジャッジメントライトの戦士たちの魔力はかなり高かった。恐らく、三年前によく遭遇した格下の奴らと比べても倍以上の魔力を持っていただろう。奴らもこの三年間で鍛錬を重ねたに違いない。ただ、エクスとティノの方がきつい鍛錬だったため、二人の方が強くなっていたが。


 エクスとティノはギルドの戦士と戦っていたジャッジメントライトの戦士を蹴散らすと、周囲を見回していた。


「他に仲間はいなさそうですね」


「ええ。アジトが近いのにこの人数で攻めに来たのは少し意外ですが」


 エクスとティノは普通に話をしていたが、ギルドの戦士たちはさっきの戦いで少し疲れているようだ。


「すごい。あれだけ動いて息が乱れていない」


「一人を倒すだけでもきつかったのに……なんて人たちだ」


「英雄並みに強いと言われる理由が分かった」


 ギルドの戦士たちは、エクスとティノを見て驚きの声を漏らしていた。そんな中、強い魔力を感じた。


(エクス。強い奴が来るぞ)


(ええ。もう戦う支度をしています)


 エクスは俺にそう言うと、上に向かって剣を振るった。すると、金属音がぶつかり合う音が響き、地面に鋼の針が突き刺さった。


「ほう。私の針を弾き飛ばすとは。流石エクス・シルバハート。私の攻撃を見切ったようですね」


「変なことを言ってんじゃないわよ卑劣野郎。さっさと下に降りなさい」


「慌てなくてもいいではありませんか。あなたの言う通りにしますよっと」


 上にいたジャッジメントライトの戦士はそう言うと、エクスたちの近くに降りた。


「私はジャッジメントライトの戦士、パーニーと申します。アソパ様からあなたを始末するように言われましたので、今すぐ殺します」


「やれるもんならやってみなさいよ。そのチンケな針で私を刺せるわけがないでしょうが」


「ホッホッホ。あまりそう言ったことを言わない方が身のためですよ」


 パーニーと名乗った男は、エクスに向かって素早く鋼の針を放った。エクスはパーニーが投げた鋼の針の動きを見切っていたのか、すぐに剣を振るって鋼の針を叩き落とした。


「何だ今のは!」


「動きが見えなかったぞ! まさか、もう戦いが始まっているのか!」


「俺たちじゃあいつには太刀打ちできない。エクスさんに任せるしかない」


 ギルドの戦士たちはパーニーが自分たちより強いと察し、戦うことを諦めているようだ。本来なら戦えと叫びたいのだが、ギルドの戦士たちとパーニーの実力は天と地ほどの差がある。戦ったら確実に戦士たちは命を失うだろう。


「あなた一人で私と戦うしかありませんね。相棒を参加させなくてよろしいのですか?」


「私一人であんたを倒せるわよ。それよりも、その針を投げることしかできないの? だとしたら芸がないわね。それでよく偉そうな態度ができるわね」


 エクスが挑発しながらこう言った。だが、パーニーの奴は笑っていた。何か策があるようだ。


「芸がない? 私の攻撃は芸ではありませんよ。ただいたずらに針を投げるだけではありません!」


 パーニーはそう言うと、魔力を解放して地面に突き刺さった針を宙に動かした。どうやら、投げた針に魔力が入っていたようだ。


「フッフッフ……これでも強気でいられますか?」


「いられるわよ。こういう展開になるだろうって予測していたわ」


 と、エクスは呆れるようにこう言った後、呑気にあくびをしていた。エクスの態度を見て腹が立ったのか、パーニーは額に青筋を浮かべていた。


「その態度を取っていられるのも、これまでだ!」


 パーニーはそう叫んだ後、エクスに向かって一斉に針を飛ばした。だが、エクスは目にも見えないほどの速度で剣を振るい、飛んで来た針を叩き落とした。


「な……あ……そんな……」


「で、隠し芸はそれだけなの? だとしたら、本当につまんないわね。私を驚かせたいなら、もう一つ芸を用意する必要があったわね」


 エクスは呆れた表情でパーニーを見た。パーニーは動揺した表情をしていたが、すぐに気を取り戻してエクスを睨んだ。


「攻撃はこれで終わりではありませんよ! エクス・シルバハート! あなたは私が殺します!」


 ここまでコケにされたというのに、パーニーはまだ戦うつもりのようだ。だが、エクスはパーニーに接近してこう言った。


「しつこい男は嫌われるわよ。私たちはアソパの野郎を倒さないといけないの。あんたみたいな雑魚のために時間を使うわけにはいかないのよ」


 と言って、エクスは剣を振るってパーニーの両腕を斬り落とした。


「なっ! あああああ!」


 両腕を失ったパーニーは、痛みのあまり絶叫した。エクスはパーニーの腹を蹴って後ろに倒し、ギルドの戦士の方を見てこう言った。


「ギルドに待機している人に、こいつらを運ぶように伝えて」


 ギルドの戦士たちは茫然としていたが、しばらくして我に戻り、エクスの言う通りにギルドで待機している戦士にパーニーたちの連行を求めた。


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