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アソパの居場所


 アソパの部下、スタネートを倒した私たちは、ラリネットのギルドへ向かった。ギルドから出発してすぐにジャッジメントライトの戦士を連れて戻って来たためか、ギルドの皆は驚いていた。


「こいつ、アソパの部下らしいの。今すぐに取り調べを行いたいから、支度してもらってもいいかしら?」


「わ……分かりました。どうぞ、こちらへ」


 役員の案内を聞き、私とティノちゃんはスタネートと連れの戦士を連れて取調室へ向かった。


 取調室に到着し、私はスタネートの首を引っ張りながら部屋の中央の椅子に座らせた。


「酷いことをするな……お前によって、怪我人にされたんだぞ」


「怪我人? 私の目の前にいるのはバカな犯罪者よ。怪我人じゃないわ」


「酷いことを言うな……」


「犯罪者がそんなことを言わないの。で、いろいろと質問をするから嘘、偽りなく答えなさい。嘘だと思ったら、その首を斬り落とすわ」


 私は剣を持ってこう言った。スタネートは小さく笑い、ため息を吐いた。


「命は大事だ。捨てたくない。いいだろう、答えられる範囲なら答えてあげよう」


「自分が答えられる範囲を指定できる立場だと思う? 質問には全部答えなさい」


「分かりましたよ。で、最初の質問は?」


「アソパはどこにいるの?」


 私の問いを聞き、スタネートはため息を吐いてこう言った。


「いきなりアソパ様の居場所を聞くのか」


「当たり前でしょ。それがメインなんだから。で、あいつはどこにいるの?」


「町外れのボロ小屋だ。誰も使っていなかったから、ちょっとだけ借りて改造して、ストッパーブレイクを製造、実験をしている」


 スタネートは私の目を見て答えを言った。この答えに嘘、偽りはないだろう。


「よし! アソパの居場所が分かったぞ! 攻め込むぞ!」


 答えを聞いていたギルドの戦士たちが、大きな声で叫んだ。私は静かにと言い、ギルドの戦士に続けてこう言った。


「奴は強いわ。私が奴に負けたことを忘れたの?」


「あ……そうか。我々では奴には……」


 ギルドの戦士は私が三年間修業することになったきっかけを思い出し、静かになった。私はスタネートを見て、もう一つ質問をした。


「ストッパーブレイクの研究はどこまで進んだの?」


「量産化に成功しただけだ。ストッパーブレイクを使ったデメリットをなくすことはできていないし、メリットである肉体強化もできていない」


「増えただけか……それでも厄介ね。今後、ストッパーブレイクを使った戦士が増えるわ」


「フフフフフ……もっと困るがいい。ジャッジメントライトに歯向かったことを後悔しろ」


 あの野郎がむかつくことを言ったため、腹が立った私はスタネートの鼻に向かって力を込めて殴った。


「あがが……私の鼻が折れた……」


「折るように殴ったのよ。質問はまだ続くわよ」


「その前に鼻血を止めてくれ」


「自分でどうにかしなさい」


「両腕がないのに」


「根性があるでしょうが。それじゃあ質問行くわよ。あんたらは今のギルドのことをどれだけ把握しているの?」


 私がこう聞くと、鼻血を止めるために上を向いているスタネートが苦しそうにこう言った。


「ギルドに忍ばせた……スパイたちは皆……処分されて捕まったことは知っている……そして……中央であるベトベムのギルドが再び立ち上がったことも……それよりティッシュを使って鼻血を止めてくれ」


「それなりの情報を持っているのね。答えてくれたから、こいつの鼻にティッシュを詰めてくれる?」


 私がこう言うと、ギルドの戦士がティッシュを丸めてスタネートの鼻の両穴に入れた。


「ありがとう……それともう一つ、情報を与えてあげよう」


「何?」


「エクス・シルバハートが再び動いたことはジャッジメントライト全体が把握しているぞ」


 どうやら、私が修行を終えて再び動いたことを奴らは把握しているようだ。私はため息を吐き、どや顔をするスタネートにこう言った。


「知っているなら結構。かえってそっちの方がいいわ。私を見つけたら、襲い掛かって来るでしょう?」


「返り討ちにするつもりだな。今のジャッジメントライトはお前が考えている以上に強い存在になっているぞ」


「両腕を斬られたあんたがそんな言葉を言っても、説得力がないわよ」


 私はため息を吐いてこう言うと、取り調べを追えるように告げた。スタネートは連行される前、私を見て笑いながらこう言った。


「ジャッジメントライトに歯向かったことを後悔するがいい。何をやったか知らないが、お前が負けるのは目に見えている」


「予測で未来を語るんじゃないわよ。あんたら組織は私が潰す。跡形もなく潰す」


 私がこう言うと、スタネートは笑いながら連行された。




 取り調べは終わった。とりあえず、欲しかったアソパの居場所が把握した。ギルドの部屋に戻った私とティノちゃんは、お茶を飲んでリラックスしていた。


「結構簡単にアソパの情報が分かりましたね」


「私が動き始めたってことを奴らは把握しているから、わざとアソパの元に来るように誘っているかもしれないわ」


「わざと? どうしてそんなことを? 幹部だというのに」


「一度、私を追い込んだからまた勝てるって思っているのよ。腹が立つけど」


 私はお茶を飲み終え、ティーポットの中のお茶を注ぎながら話を続けた。


「奴らは私がどれだけ強くなったか多分分からないわ。スタネートを倒して捕まえても、今のアソパにはスタネート並の強さの戦士がいるから、一人減っても気にしないと思うわ」


「仲間のことを何だと思っているんでしょうかね?」


「コマとしか思ってないわ。でなければ、あの時戦った奴の部下、確かロツモって言ったわね。そいつを殺さないわ」


「確かに」


 ティノちゃんもアソパの部下だった男、ロツモがアソパによって命を奪われることを思い出しているのだろう、怒りで少し体が震えていた。


「さて、あの時のことを思い出すのは止めましょう。明日、奴がいるボロ小屋へ行くわ。今回は、私たち以外にもギルドの戦士たちも行くって言ってたわ」


「大丈夫ですかね? ストッパーブレイクを使った戦士を相手に皆さん勝てるでしょうか?」


「いざとなったら私たちで暴れましょう。それに、ギルドもただやられるだけじゃないと思うし」


 私は期待を込めてこう言った。ギルドの戦士も私とティノちゃんに重荷を背負わせるわけにはいかないだろう。それなりのプライドがあるだろうし、きっと何かとんでもない武器を用意するはずだ。


「とにかく明日は死なないように頑張ろう。アソパのことだから、何か仕掛けを用意しているかもしれないわ」


「はい。エクスさんも、修行したと言ってあまり無茶しないようにお願いしますね」


「分かってるわ」


 まるでお母さんのように私を注意するティノちゃんを見て、私は笑いながらこう言った。




 翌朝。私とティノちゃんとギルドの戦士たちは戦う支度をして、ギルドから出発した。


「目的地は町の外にあるボロ小屋! ジャッジメントライトの幹部、アソパが潜伏していると思われる! 奴らは我らが動いたことを察し、ストッパーブレイクを使った戦士を送り付けてくる可能性が高い! 手段は一つ、戦うだけだ! 皆、死ぬ気で戦うな、勝つ気で戦え!」


「おう! ジャッジメントライトの連中は皆倒してやるさ!」


「俺たちギルドの敵、ジャッジメントライトに負けてたまるか!」


「何が何でも奴らを倒すぞ!」


 ギルドの戦士たちは、威勢のいい声を上げてやる気を上げていた。私とティノちゃんは耳を塞ぎ、小声で話をしていた。


「やる気を出すのはいいですけど、ここまでやると行動がばれると思いますが」


「もうばれているわ。スタネートが戻って来ないことを察して、奴らはきっと動いているはず」


 私は周りを見ながらティノちゃんにこう言った。この瞬間に奴らが襲ってくるかもしれないと考えたけど、奴らが出てくる気配はなかった。


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