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ラリネットでの出来事


 私とティノちゃんが食事をしていると、一人のギルドの戦士が近付いて来た。一体何の用なんだろう?


「どうかしましたか? 私とティノちゃんのサインか写真が欲しいんですか?」


「いえ、違います。ラリネットで起きていることを話しておこうと思いまして」


「アソパがいる以外に何かあるの?」


 私は水を飲んでこう言った。ギルドの戦士は持っていた資料を私とティノちゃんに見せた。


「ラリネットで起きた暴行事件の資料です」


「暴行事件? どうしてそんな事件を……」


「まるで、ストッパーブレイクを使ったジャッジメントライトの戦士が起こしたって言いたいようね」


 私がこう言うと、ギルドの戦士は頷いた。

「その通りです。ラリネットのギルドもその線で捜査をしていますが、情報がなかなか集まらないのです」


「そう。もしかしたら、アソパを探しているとそいつらに出くわすかもしれないわね」


「はい。それと、その件に関してもう一つ聞いてほしい話があります」


「何?」


「ラリネットで起きている暴行事件の容疑者は、かなり強いです。魔力を使わないのに二階建ての建物を飛び越すくらいのジャンプ力。車と同じ速度で走り、素手でコンクリートと鉄でできた壁を殴って貫通させる。とんでもない化け物です」


 ふーむ。普通の人間が化け物並みの力と運動神経を手にするのははっきり言って異常だ。ストッパーブレイクを使ったに違いない。ただ、私が今日戦った奴はそこまで強くなかったような気がするが。


「話ありがとう。ラリネットに向かったら気を付けるわ」


「はい。英雄の役に立てて光栄です」


 ギルドの戦士はそう言って私に頭を下げた。私は英雄じゃないのにな。




 部屋に戻った私とティノちゃんは、ラリネットで発生した暴行事件について話をしていた。


「ストッパーブレイクを使ったと思いますが、かなり強くなるなんて思いませんでしたね」


「私の予想だけど、ストッパーブレイクをたくさん使ったら、その分戦闘力も上がるんだと思う。副作用も強くのしかかると思うけど」


 私はそう言いながら着替えをしていた。そんな中、ヴァーギンさんはため息を吐きながら私にこう言った。


(エクス、俺もいることを忘れないでほしい。剣になったとしても、周りを確認できるんだからな)


(おっと。すみません)


 私は笑いながらこう言った。ティノちゃんは何か考えているのか、うなり声を上げていた。


「強い戦士がいるということは、まだアソパはラリネットにいるんでしょうか?」


「いる可能性は高いわね。あいつがあの町に潜伏しつつ、ストッパーブレイクを使った戦士を作ったり、強化するための実験でもやっているんでしょう」


「だとしたら、被害が……」


「早くあいつを止めないと大きな被害になるわ。明日にはラリネットに到着して、ささっとアソパを見つけて斬るわ」


「簡単にアソパを倒すことができたらいいんですけど」


「そのために修行をしたのよ。今の私なら、あいつを倒す自信がある」


「期待しています。エクスさん」


 話を終えて、私はパジャマに着替えて軽くストレッチをした。ティノちゃんも着替えを終え、歯磨きを始めた。寝る支度をした後、私とティノちゃんはすぐにベッドの上で横になった。




 翌朝。私とティノちゃんは朝食を食べた後で旅立つ支度をし、すぐにギルドから旅立った。再びバスを使った移動になる。世話になったギルドからラリネット近くまでは、一時間かかった。


「ふぅ。やーっと到着したわねー」


「いろいろありましたね」


 私とティノちゃんはラリネットの入口の前で背伸びをした。一時間バスに揺られて移動したものだから、体が少しだるい。背伸びをした後、門番に話をしてラリネットの町の中に入った。


「見た感じ、平和な町ですね」


 ティノちゃんの言う通り、ラリネットの町は見た感じだと何もない平和な町に見えた。だが、この町に奴がいるんだ。


 到着してしばらくし、私とティノちゃんはラリネットのギルドへ向かった。


「おお! エクスさんとティノさん! お待ちしていました!」


 ギルドの受付の人が、大きな声を上げながら私とティノちゃんに近付いた。感激している様子なので、それほど今のラリネットが大変な状況なんだろうと私は思った。


「で、今はどんな感じですか? ジャッジメントライトの幹部、アソパがここにいるって話を聞きましたが」


「その件については我々も耳にしています。ですが、我々の仕事を邪魔するかのように変な戦士が現れるのです! あの変な奴らのせいで、うちのギルドの凄腕戦士たちはみーんなやられてしまいました!」


 と、悔しそうに受付の人がこう言った。変な戦士を相手に戦ったが、返り討ちにあったのか。


「じゃあとりあえず私とティノちゃんは荷物を置いた後、町を散策します」


「了解です。いつ、変な戦士が来るか分からないのでお気をつけて」


「ありがとうございます」


 私がそう言うと、別の役員が私とティノちゃんに近付いて客用の部屋に案内した。部屋に荷物を置いた後、私とティノちゃんは町の外に出た。


「変な戦士、いつ現れるか分からないって言っていましたね」


 ティノちゃんがこう言った。私は返事をしながら、周りを見回した。


「いま、こうやって話をしているけど、この瞬間に奴らが襲ってくるかもしれないわね」


「そうですね。それにしても、どうして直接ギルドを叩かないんでしょうか?」


「多分、まだストッパーブレイクの研究が完全に終わっていないと思うわ。研究が不完全なままギルドに攻め込んでも、イレギュラーな出来事が起きて返り討ちにされる可能性があるって考えているんじゃないの?」


「攻め込む時は完全に研究を終えてから……確かにそっちの方が確実に敵を倒すことができますね」


「そう。だから、ギルドに攻め込まないのよ」


「じゃあ、うろついている変な戦士は?」


「実験が失敗したから捨てたんだと思うわ」


「酷いですね……」


 私とティノちゃんが話をしていると、遠くから殺意を感じた。ティノちゃんも遠くの殺意を感じており、探知できないほどの弱い魔力を解放していた。


(二人とも、敵が来るぞ)


(私たちが来たことを察したようですね)


(こっちに向かって来ます。人がいない場所に誘い込みましょう)


(ティノちゃんのアイデアに賛成。さて、行くわよ)


 私はティノちゃんを抱変え、高く飛び上がった。上空から人がいなく、戦いやすい場所を探してそこに降り立った。


「ふぅ。さて、ここなら戦えるわね」


「ええ。敵がいつ追いつくか分かりませんが……支度をして先手を取りましょう」


「もう私は戦う準備をしたわ」


 私は右手に剣を持ち、周囲を見回していた。ティノちゃんは解放していた魔力を強くし、周囲に強い衝撃波を放った。


「ティノちゃんの魔力、強くなったわね。衝撃波が強くなっているわ」


「鍛えました。さて、エクスさん。敵が来ますよ」


 ティノちゃんが私にこう言うと、上空から無数の変な奴らが現れた。その前には、少し派手で変な服を着た奴がいた。


「お初にお目にかかります。あなたが我らの怨敵、エクス・シルバハートとティノ・オーダラビトのようですね」


「その通りよ。で、あんたはジャッジメントライトの犬? 犬なら骨を探しに周辺を駆け回りなさいよ」


「この姿を見て犬と思っているのですか? 残念ですが、私は人です」


「ジャッジメントライトに入った奴はみーんなバカで愚かなへんちくりんにしか見えないわ」


 私はそう言って変な服の奴に斬りかかった。そいつは後ろに下がって攻撃をかわすと、指を鳴らした。すると、奴の周辺にいた変な戦士が大きな声を上げた。


「三年経っても私たちへの殺意は変わらないようですねぇ。いい機会です。このスタネートがあなたを始末してあげましょう」


 と言って、スタネートは両手にかぎ爪を付け、私に接近してきた。


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