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変な戦士との激闘


 運がない奴だ。エクスと戦うことになるなんて。三年間の修行を経たエクスはかなり強くなった。変な戦士の魔力を探知したが、それほど強くはなかった。今のエクスと実力を比べると、天と地以上の差があるだろう。今のエクスの敵ではない。この戦い、すぐに終わるだろう。


「うがァァァァァ!」


 変な戦士は叫びながらも、エクスに斬りかかった。だが、どの攻撃もエクスは簡単に受け止めた。


「剣を振り下ろすことしかできないの? こうやって使うこともできるのに!」


 エクスはそう言って、剣を横に振って変な戦士の脇腹に攻撃を放った。攻撃は変な戦士の脇腹に命中。軽鎧を着ているが、剣の刃が軽鎧に食い込んでいる。刃によって肌は傷付かないが、脇腹の内部にダメージを負っただろう。


「グガッ! ガッ……ガガガガガ」


 奴は苦しそうな声を上げている。やはり、相当なダメージを負ったようだ。しかし、奴の動きは鈍らなかった。


「まだ戦うつもりね……」


 エクスは変な戦士を見て、小さく呟いた。変な戦士はダメージを負いながらも、エクスに斬りかかった。


「死ね! エクス・シルバハート!」


「悪いけど、あんたみたいな腕じゃあ私を斬り殺すことなんて一生できないわよー」


 エクスはそう言って変な戦士の攻撃をかわし、ダメージを与えた脇腹に向かって蹴りを放った。蹴りを受けた変な戦士は悲鳴を上げながら地面に倒れ、しばらくその場で悲鳴を上げていた。


「痛そうね。でも、私に襲い掛かったあんたが悪いんだからね。さ、覚悟しなさい」


 戦いを終わらせるつもりだろう。エクスは変な戦士の両腕両足を見ながらこう言った。斬り落として戦意があっても戦えないようにするのだろう。だが、エクスの考え通りにならなかった。変な戦士は立ち上がったのだ。


「まだ立ち上がるのね。もう動かない方がいいのに」


「殺す! エクス・シルバハート! お前を殺す!」


 そう言って、変な戦士は剣を持って再びエクスに斬りかかった。何度攻撃を仕掛けても結果は変わらない。このことを学ばないのか? 俺は呆れてそう思った。


(エクス、そろそろこいつの両腕両足を斬って戦いを終わらせるんだ。こんな戦いを長引かせても意味がないぞ)


(そうしたいんですが、何か様子がおかしいんですよね。さっきから、私を殺すしか言わないし……私の予想ですが、こいつはストッパーブレイクを受けた改造戦士かもしれません)


 改造戦士。ストッパーブレイクを使わされ、異様に強くなったジャッジメントライトの戦士のことか。各地で出没しているかもしれないとバスの中の話で聞いたが、まさかこんなすぐに遭遇するとは思ってもいなかったぞ。


(とりあえずこいつを再起不能にするまで、戦います)


(ああ。気を付けろよ)


 戦いが終わるまで、その後のことを見ようとエクスは考えているのだろう。だが、そう簡単にうまく行けばいいのだが。




 改造戦士はあまり強くはない。闘争心は強いけど、肉体や魔力は強化されていないようだ。もしかしたら、こいつは改造に失敗した奴かもしれない。私はそう思うと、なんだか目の前にいる変な戦士が哀れに思った。


「エクス! シルバハート! 殺す! 殺す殺す!」


「女の子に向かって殺すって言葉を連呼しちゃダメよ。そういう子は……お仕置きするわよ」


 私は魔力を解放し、変な戦士を睨んだ。修行の結果、私は魔力も強くなった。魔力を解放するだけで、剣聖の森に住むモンスターたちはビビって逃げるほど強い。さて、こいつはどうだろう。そう思いながら、私は目の前で立ち尽くす変な戦士を見た。最初は動揺している様子を見せていたけど、しばらくして再び私に対して殺意を放った。


「殺す! 絶対に殺す!」


「私への殺意が爆発しているようね……仕方ない」


 私は剣を抜き、迫って来る変な戦士を睨んだ。そして、奴の攻撃に合わせて剣を振るった。攻撃の後、上に舞った奴の右腕が地面に落ちた。


「ガッ……ガァァァァァァァァァァ!」


 右腕を斬り落とされた変な戦士は、痛さのあまり大きな声で叫んだ。ストッパーブレイクを使っても、感覚はあるようだ。


「さて、これで戦いは終わりよ。観念して私の言うことを聞きなさい」


 私は腕を失って叫ぶ変な戦士に近付いてこう言ったが、変な戦士は左腕を私に向けて伸ばした。まだ戦うつもりか?


「殺す! エクス・シルバハート! お前を絶対に殺す!」


「左手だけで何ができるの? あんたは私を倒すことは絶対にできないわよ!」


 私はそう言って剣を振るった。私が放った斬撃は奴の体に命中し、斜めに傷を付けた。それでも、奴は私に向かって攻撃を仕掛けた。


「呆れた。これだけの殺意を放っても、私を倒せるってことはできないのに……」


 私は呆れながら攻撃をかわし、奴に向かって蹴りを放った。それでも奴は立ち上がり、私に向かって突進を仕掛けた。私は反撃で剣を振るい、突進を仕掛けた奴を一閃した。奴の傷口から、鮮血が宙を舞う。それなりの量だ。だが、奴は受けた傷を気にしないのか、私に近付いてきている。


「エクス……シルバ……ハートォ……」


 奴はまだ私の名前を叫んでいる。しかし、何度も私の斬撃を受けたせいでダメージを負っているようだ。殺意はあっても、体がダメージを負いすぎて言うことを聞かないのだろう。そりゃそうだ。右腕を斬り落とされ、体中切り傷だらけだ。普通の人ならもう倒れている。


「もう諦めなさい。あんたは私に勝てないのよ」


「殺す……殺す……」


 私が戦いを止めるように言っても、奴は殺意を抑えない。本当に仕方がない。追い打ちを仕掛けるような形だからやりたくないけど、あいつの片足を斬り落とそう。


「私を恨まないでね。戦いを挑んだあんたが悪いんだから」


 と言って、私は奴に向かって突進を仕掛け、奴の左足を斬り落とした。私の移動速度、攻撃速度を見切れなかったのか、奴はただその場で立ち尽くしていた。


「な……あ……」


 驚きの声を上げた後、奴はゆっくりとその場に倒れた。




 流石にこれで奴も立ち上がることはないだろう。何度も斬撃を受け、エクスの手によって片腕片足を失った。これで戦う気はないだろう。


(終わったな、エクス)


(私としては、弱い者いじめの用であまりいい気がしませんが)


(確かにそうだな。だが、奴は相当ダメージを負っていた。それでも、お前を殺そうとしていた)


(私の推測ですが、ストッパーブレイクを使って異常なパワーアップを果たした後、私を殺すように催眠のような技で操ったと思われます。もう一つは、ストッパーブレイクを使ったせいで痛覚が鈍り、それを利用して何が何でも私を殺そうとした)


(操られたか、元からお前を殺したいほど憎んでいたのか……)


(どっちの可能性もあります。それと、もう一つの考えがあるんですが)


(もう一つの考え?)


 エクスはもう一つの考えがあるようだ。聞こうとしたのだが、俺とエクスはとんでもない光景を目の当たりにした。変な戦士は片足を失っても、立ち上がろうとしていたのだ。


(おいおい、あいつ……片足を失っても立ち上がるつもりだぞ!)


(それ以上動いたら死ぬのに!)


(気を付けろエクス! あいつから多少の魔力を感じるぞ!)


 俺がエクスにこう言った直後、変な戦士は魔力を解放してエクスに飛びかかった。エクスは舌打ちをし、剣を構えた。


「本当に本当に……バカな野郎ね! これ以上どうなっても、私は知らないからね!」


 エクスは叫びながら、飛んで来る変な戦士に向かって剣を振るった。エクスが放った斬撃は命中した。斬られた変な戦士は血を流しながら宙を舞い、少し離れた場所で倒れた。


「はぁ……はぁ……ティノちゃん、あいつの治療をお願い」


「はい」


 エクスは呼吸をしながら、ティノに変な戦士の治療を任せた。その後、精神的に疲れたのか、エクスはその場で座った。


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