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アソパとの戦いへ


 突如現れたのは三幹部の一人、アソパ。私が追っている奴だ。そいつが目の前にいる。だけど、アソパは私のことを無視してロツモの顔を掴んでいた。


「待ってください! 私はまだ……あなたの役に立ちたいんです!」


「悪いけど、俺は役立たずに厳しいんだ。俺は常に完璧を求めるからな。だから、仕事を失敗したら役に立たないとして判断する」


 と言って、アソパは持ち上げたロツモをヘリの外に向かって投げ捨てた。ロツモの叫び声が、プロペラオンに混じって響き渡る。だが、その声は次第に聞こえなくなった。


「さてと、お邪魔虫はいなくなった。君の相手をしよう」


 アソパはそう言って、私の方を向いた。




 まずい。今のエクスの状態では奴に勝てない。ロツモとの連戦がなくても、エクスは勝てないだろう。奴はエクスより強い。


(エクス。あいつはお前より強い。確実に勝てないだろう)


(確かにそうです。今、どうやって立ち回ろうか考えています)


(そうか……だが、考えはすぐにまとめるんだ。奴は時間を与えてくれないぞ)


 エクスも勝てないことを把握している。この状況をどう打破するか考えているようだが、すぐにまとめないと行動ができない。そう思っていると、奴は俺の予想通り、エクスに向かって突っ込んで来た。


「エクス・シルバハート。ここで死んでもらおう!」


 アソパはそう言うと、エクスに向かって手刀を突いた。エクスは奴の手刀をかわしたが、頬の部分がかすり、そこから血が流れた。


「運がいい。それか、勘が鋭いだけか……」


「勘が鋭いのよ。運だけじゃ戦いには勝てないからね」


 エクスは反撃で俺を奴に向けて振るった。だが、攻撃を受ける寸前に奴は魔力を解放し、左腕を固くして攻撃を防御した。


「グッ!」


 流石のエクスも硬化した奴の腕を斬るのが難しいのか、苦しそうな顔をして後ろに下がった。


「おや、逃げるのか? 英雄と言われているけど、やっぱり俺には勝てないのか?」


 奴は笑いながらそう言った。本当に戦う気があるのか? そうだ、ティノが足止めをしてくれれば一瞬でも隙が作れるだろう。俺はそう思ったが、ティノは奴の気迫に負けてその場で動けなかった。


(ティノ、お前だけでも逃げろ!)


 俺はティノにこう言ったが、ティノは震えるだけで何も返事もしなかった。気迫負けをしているのか。まずい、ティノは戦えない!


(エクス! 今すぐティノを連れて逃げろ! このままじゃ、俺たちは全滅する!)


 俺はエクスに届くように叫んだ。だが、エクスは目の前のアソパの攻撃を対処していた。それに集中しているのか、俺の言葉に返事はしなかった。


「それそれそれ! まだまだ俺は本気を出していないぞ!」


 奴はそう言いながらエクスに攻撃をしていた。手刀は両手、無数の素早い攻撃がエクスを襲っている。防御はできているため、致命傷を避けることはできた。だが、軽い切り傷がエクスの体にできた。


「グッ……この……格闘バカが!」


 エクスは俺を両手で持ち、伸びた奴の右腕に向かって振り下ろした。だが、奴は右腕を硬化し、防御した。さっきの防御と同じ方法か。


「グッ……うう……」


 エクスは苦しそうな声を上げ、後ろに下がった。そんなエクスを見たアソパは、ため息を吐いてこう言った。


「俺たちジャッジメントライトの敵だと思って、強い奴だろうと俺は思っていたんだが……実際は俺より弱いのか。残念だ」


「うっさいわね無情筋肉バカ」


「今度は幼稚な罵倒か。そんな言葉を聞いても、俺の心には響かない。そもそも、品のない言葉に価値はない。価値のある言葉だけ、俺は耳にする」


 エクスの罵倒を聞き、奴は笑顔でこう言った。だが、エクスはアソパより弱い。それは事実だ。もし、俺が生きていた状態でこの場にいても、こいつに勝てる自信はない。まさか、ジャッジメントライトの中にこんな化け物みたいに強い奴がいるとは思ってもいなかった。




 うーむ。絶体絶命。このまま奴に斬りかかっても、反射的な動きで奴は自分の腕を硬化する。ヴァーギンさんの刃でも斬り落とせないのなら、どうしようもない。本当にここは逃げるしかない。私はそう思っていて、ティノちゃんの近くに寄ったのだ。


「ティノちゃん、一度逃げるわよ」


 私が小声でこう言うと、ティノちゃんは驚いた表情をした。奴はティノちゃんの顔を見て、私が何を考えているか理解したような声を上げた。


「やはり逃げるのか。だが、君と一度戦えたことは大きな経験だ。俺がここに来たのは、任務に失敗した奴の処分だからな」


 どうやら、奴は私を始末するつもりでここに来たわけじゃない。だが、魔力を使っても奴は弱った気配を見せていない。


「さて、用は終わったし、俺たちも戻るとしよう。これ以上、部下を失うわけにはいけないからな」


「一人、自分自身の手で処分したじゃない。言葉に矛盾があるわよ」


「あれはもう使えないから処分しただけだ。また、ロツモみたいな強い戦士は育てることができる。それと、作ることもできる」


 奴はそう言うと、驚いた表情をした。


「おっと。今のは失言だ。さっき俺が言った言葉はきれいさっぱり忘れてくれ」


「失言って何よ? 作ることもできるって何のこと?」


「きれいさっぱり忘れてくれと言ったはずだが。ま、お前の相手はもうしない。雑魚と戦っても楽しくないからな。だが、もう一度俺の前に現れるのなら、今度は確実に殺す」


 と言って、奴はヘリの上から飛び降りた。その直後、下から巨大なジャッジメントライトのヘリコプターが現れた。中には奴の姿が見えた。


「どうします、エクスさん?」


 ティノちゃんはこう聞いて来たけど、私はため息を吐いてこう言った。


「逃がしましょう。私たちは一度……ヘリの中に戻りましょう」


 と、私はティノちゃんに言葉を返した。




 ベトベム上空での戦いは終わった。アソパの部下、ロツモを倒すことはできたが、アソパの手によって処分された。アソパを追い詰めたと思ったのに、まさか予想以上の強さを持っているとは思ってもいなかった。


 戦いが終わった後、私は汚れを落とすためにシャワーをすることにした。簡易シャワー室の中、私はシャワーを浴びながら今回の戦いについて思い返していた。ジャッジメントライトの戦士は雑魚だ。そいつらの上司も苦戦することはあるが、倒すことはできる。だけど、幹部クラスのアソパには勝てないと察した。もし、あのまま戦っていたら、私は死んでいた。それどころか、ヘリの中にいる人たちも巻き添えになって死んでいたかもしれない。


「クソッ!」


 自分自身の力のなさ、情けないという感情が爆発し、私は思わず壁を殴ってしまった。隣にいたギルドの女戦士の驚いた声がしたため、私は我に戻って謝罪した。その後、私は考えた。アソパ以外の幹部を追いかけても、きっと他の奴らもアソパ並の強さを持っているだろう。ジャッジメントライトを潰したい。そう思って行動していたが、大きな壁にぶつかってしまった。


 シャワーを浴びた後、私はタオルで体を拭いて着替えをした。その時、慌てて走るティノちゃんの姿が見えた。


「エクスさん! 今、ジャッジメントライトの戦士を取り調べしていたんですが、重要なことを話しました!」


「重要なこと? 一体何のこと?」


「あいつら、テロ以外での活動を始めようとしています」


「テロ以外? 一対何をするわけ?」


「改造戦士計画。奴らは、ジャッジメントライトの戦士を改造、もしくはジャッジメントライトの信者を改造して最強の戦士を作る計画です」


 ティノちゃんの話を聞き、私はアソパが退く前に言った言葉を思い出した。


 ロツモみたいな戦士は育てることができる。それと、作ることができる。


 あの言葉はそういう意味だったのか。強い戦士がいなければ、自分たちの手で作ればいい。ジャッジメントライトの戦士が私に斬られまくった結果、こう考えたのだろう。ふざけた計画だ。とにかく、もう少し詳しい話が聞きたいな。


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