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空の上での無双


 ティノちゃんのおかげで、私の骨折は無事に治った。これで奴らと戦える! 私は外に飛び出し、負傷したソセジさんたちにこう言った。


「残りの敵は私が片付けます。皆は早くヘリの中に戻って、治療を受けてください!」


「分かった。一人で多勢と戦うようですが……無茶をしないでくださいね」


 ソセジさんは苦しそうな声でこう言った。奴らから受けた傷が大きいのだろう。エンカは悔しそうな顔をしたが、私の顔を見てため息を吐いた。


「俺がお前を越えるまで死ぬんじゃねーぞ」


「私は死なないわ。安心して」


 私がこう言うと、エンカはにやりと笑い、ギルドの戦士と共にヘリの中へ戻って行った。


 さて、周りにいるのは雑魚しかいないようだ。だが、ギルドの戦士と同等の強さのため、油断しないようにしよう。


「現れたな、エクス・シルバハート! 我らの仲間の仇を討ってやるぞ!」


 ジャッジメントライトの戦士の一人が、剣を持って私に斬りかかった。私は剣を振り、そいつの右腕を斬り飛ばした。その時、斬り飛ばした奴の右腕が、他のジャッジメントライトの戦士に命中し、バランスを崩して後ろに転倒した。


「うわァァァァァ!」


「うわっ、俺の手に捕まれ!」


 一人の戦士が落ちそうになったため、敵はてんやわんやの騒ぎになっている。右腕を斬り飛ばされた戦士も、その場に倒れて悲鳴を上げていた。


「誰か……誰かぁ……助けてくれぇ……」


「ちょっと待ってろよ! 今すぐに助けに行ってやるからな!」


 斬られた戦士を救うため、別の戦士がそいつの元へ近づこうとした。そうはさせるか。私はジャッジメントライトの戦士たちに向かって無数の火の玉を放った。


「うわァァァァァ!」


「追い打ちを仕掛けるつもりか! 汚いぞ!」


「そんな手を使うのかお前は!」


 攻撃を受ける奴らは、私に向かって卑怯とか卑劣とか言っている。ま、そんなことを言われても苛立ちはしない。悪党の罵倒なんて聞く価値もない。


「うっさいわねー。お望みならもっと大きな一撃を放ってもいいのよー」


 私はそう言って、巨大な火の玉を作って奴らに向かって投げた。奴らはそれを見て悲鳴を上げて驚いたが、これは脅しだ。火の玉を爆発させたら下のギルドのヘリに被害が及ぶし、奴らがぶっ飛んで地面に激突して死んでしまう。敵だろうが何だろうが絶対に殺さない。自分自身で決めたルールを破るわけにはいかない。奴らは火の玉が消えたことを察知できず、そのまま気を失ってしまった。


「さて、とりあえずはどうにかなったわね」


 私は目の前の雑魚共の全てが倒れたことを察すると、前を見た。まだ奴らのヘリがこっちに向かって飛んで来ている。まだ私と戦うつもりか。


「目標、エクス・シルバハート!」


「狙いを定めろ!」


「準備できました!」


「よし! 撃てェェェェェ! エクス・シルバハートをハチの巣にしてやれェェェェェ!」


 どうやら、奴らはヘリに付いている機関銃で私を狙い撃つつもりだ。そんなことをされたら、下にいるギルドの戦士たちやティノちゃんにも被害が及ぶ。あいつら、仲間が倒れているのに攻撃するつもりだ。


「仲間のことを大事にしない連中は、私が叩き斬るわよ」


 私はそう言って魔力を解放した。それでも、奴らは機関銃を撃ち始めた。しょうがない。私は魔力のバリアを張り、奴らの機関銃の攻撃を防御した。


「あいつ、バリアを張りました!」


「魔力切れを狙って撃て!」


 奴らは私の魔力切れを狙っているのだろう。魔力切れを狙えるほどの弾丸があるようだ。厄介だ。いくら私でも魔力を使い続けたら疲れてばててしまう。どうしようかと思った時、ティノちゃんが外に出てきて、私の横に立った。


「バリアを張るなら私に任せてください!」


「ティノちゃん」


 ティノちゃんは立派になった。自分から危険な所へ飛び出し、私を守ってくれる。勇敢な子になった。ティノちゃんのおかげでバリアは強くなり、奴らが放つ機関銃はほぼ無効化された。


「ティノ・オーダラビトが現れました! 奴のせいでバリアが壊せません!」


「こうなったらあのヘリに接近しろ! 特攻しても構わん!」


 うわっ! 特攻して道連れにするつもりか! そんなことはさせない。させてたまるか!


「ティノちゃん、防御はお願い。私は奴らに反撃するわ」


「お願いします」


 私は剣を鞘に納め、突進してくるヘリを睨んだ。私は敵のヘリが近付くタイミングを見計らい、居合の技で敵のヘリを斬った。


「あれ? へ?」


「そんな……アホな」


「ヘリが真っ二つになっちゃった」


 ジャッジメントライトの戦士たちは私がヘリを斬ったことを察し、マヌケ面になっている。ま、ヘリを斬る剣士なんてあまりいないからね。私がそう思う中、斬られたヘリの中からパラシュートを担いだジャッジメントライトの戦士たちが飛び降りて行った。




 エクスもティノもかなり成長している。危険な空の上、そして危険な武器を持っている敵に対して勇敢に戦っている。英雄と言われた俺よりも強いのではないか?


 そう思っていると、エクスは剣を持って敵のヘリを睨んだ。


(空中戦を挑むのか?)


(ええ。まだ魔力はありますし、空を飛んで攻撃すれば一気に敵の数が減りますので)


(そうだな。だが、無茶はするなよ)


 俺がこう言うと、エクスは頷いて返事をした。そして、魔力を解放して飛び上がり、近くで飛んでいたジャッジメントライトのヘリの上に着地した。


「それっ!」


 エクスは剣を下に突き刺してこじ開けて、上からヘリの中に侵入した。突如現れたエクスを見たジャッジメントライトの戦士たちは、驚きの声を上げていた。


「うわァァァァァ! エクスだァァァァァ!」


「嘘だろ、一体どうやってこのヘリにやって来たんだ?」


「驚いている場合か! とにかく撃て! 撃ちまくれェェェェェ!」


 奴らはエクスに銃口を向けて銃を乱射したが、エクスは飛んでくる弾丸をかわし、近くにいる戦士の腕や足を斬り落としていった。


「ギャアアアアア!」


「そんな……早い……強い……」


「ば……化け物だ……」


 エクスに斬られた戦士たちは、皆こう言って倒れて行った。ヘリに侵入して数分後、あっという間にヘリの中にいたジャッジメントライトの戦士たちはエクスによって倒された。エクスは前にいる操縦士に近付き、剣を構えてこう言った。


「逃げるんだったら今のうちよ。死にたかったら、私に歯向かってもいいんだけどね」


「ヒィィィィィ! いうことを聞きます!」


「いい子ね。それじゃ、私は外に出るから」


 と言って、エクスは斬ったヘリの天井から外に出て、また別のヘリの上に飛び移った。それを繰り返した結果、ジャッジメントライトのヘリの数は戦いを始めた頃よりも少なくなっていた。


「ふぅ、奴らもこれで懲りたかな」


 エクスはジャッジメントライトのヘリの上に座り、周りを見ていた。まだエクスには余裕がある。次に何かが来ても大丈夫のようだ。俺がそう思っていると、大きな音が響いた。


(何かが来るようだな)


(ええ。あれを見てください。でっかいヘリが来ますよ)


 エクスの言う通り、上から巨大なヘリが現れた。前方には、ジャッジメントライトの紋章が描かれている。あいつら、まだこんな手を残していたのか。


(懲りない連中ですね。まだ私と戦うつもりなのでしょうか?)


(お前を怨敵と言っているくらいだからな。何が何でもお前を殺すつもりなのだろう)


(勝てない喧嘩をするもんじゃないのに……ん?)


 エクスは何かを察し、不思議そうな声を出した。この声を出した理由は俺でも理解できる。あの大きなヘリから、とてつもなく強い魔力を感じたのだ。


(とんでもない奴があのヘリの中にいますね)


(ああ。覚悟を決めて戦った方がいいな)


(はい)


 エクスは俺に返事を返すと、俺を鞘から抜いて戦いの支度をし始めた。


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