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魔力の弾丸がティノを襲う


 あいつは私が鎖の破片を手にしていることを把握していない。私が戦っている相手、ベムプーは鎖を使って私と戦っている。私は奴の鎖を破壊し、叩き落としたが、奴の鎖は魔力に反応する特殊な鎖。破壊しても、中に魔力があれば動かすことができる。だけど、誰かが手にしている状態なら、反応しない。


 私の予想通り、奴は私を始末できると思い、火の玉を発して私に近付けている。確実に倒せる自信があるから、かなり余裕があるようだ。


「さて、最期に言い残す言葉はあるか?」


 奴がそう言うと、私はにやりと笑って奴の問いに答えた。


「あんたみたいなチンケ野郎に焼き殺される私じゃないわよ」


「は?」


 私の返事を聞いた奴は、目を開けて驚いた。今のうちだ! 私は隠し持っていた奴の鎖の破片に魔力を込め、奴の顔面に向けて放った。


「何! ぐわっ!」


 私が放った鎖の破片を見て、奴は反射的に顔を動かした。この選択が間違っていたようだ。鎖の破片は奴の右目に命中してしまったのだ。動かなければ額か鼻の下に命中するだけだったのに。


「があああああ! うわっ……ああ……」


 目から血を流しながら、奴は後ろに下がった。奴が大きなダメージを受けたおかげで、私を拘束していた鎖がほどかれた。


(今だエクス! 奴を斬るなら今のうちだ!)


(了解です!)


 ヴァーギンさんの声を聞き、私は剣を持って奴に近付いて力を込めて剣を振り下ろし、奴の左腕を斬り落とした。


「なっ……あっ……ギャアアアアア!」


 奴は悲鳴を上げながら後ろに下がった。その時、奴は私を睨んで右手を前に出した。


「このクソ女がァァァァァ!」


 奴の右手から火の玉が発し、私に向かって放たれた。私は避けようと動いたのだが、私に当たる寸前に火の玉は破裂し、腰に携えていたヴァーギンさんを吹き飛ばしてしまった。


「ああっ! しまった!」


「ふ……フハハハハハ! 貴様も動揺することがあるんだな! その顔、両の眼で見たかったぞ!」


 私の慌てふためく顔を見て、奴は笑いながらこう言った。その時、私は奴の後ろを見て叫んだ。


「バカ! それ以上下がると危険よ!」


「は?」


 私の言葉を聞いた奴は、後ろを振り向いた。だが、遅かった。奴の後ろにはプロペラがあった。猛スピードで回るプロペラに気付かなかった奴は、そのまま回るプロペラに巻き込まれてしまった。それを見た私は空しい気分となった。ヴァーギンさんが話しかけてくると思ったが、奴の火の玉で弾き飛ばされたことを思い出し、急いで探した。




 まさか、奴の攻撃で吹き飛ばされるとは思ってもいなかった。早くエクスが俺を探し出してくれればいいが。そう思っていると、近くで足音が聞こえた。エクスだと俺は思ったのだが、足音の主はティノだった。周囲には小さなバリアが浮かんでおり、銃を使うグレンサーと言う男の攻撃にそのバリアで対処しているのだと俺は思った。


(ティノ。余裕があったら俺を拾ってくれ)


(え? ヴァーギンさん?)


 ティノは俺の声に気付き、足元を見た。落ちている俺に気付き、左手で拾った。


(エクスさんの身に一体何が?)


(攻撃で爆風が起きて、ここまで吹き飛ばされた。気を付けろエクス、攻撃が来るぞ)


(はい)


 ティノは俺の言葉を聞き、グレンサーが放つ弾丸を防御した。グレンサーは銃を構えながらティノを睨んだが、引き金を引いて驚いた表情をした。


「クソッ、もう弾切れかよ」


 奴はそう言って、急いでリロードを始めた。ティノはその隙を突いて、氷の刃を放って奴に攻撃を仕掛けた。奴は飛んで来る氷の刃を見て、地面から氷の壁を発して攻撃を防いだ。


「チッ、リロードさせろっての」


「させません!」


 ティノは巨大な風の刃を放って攻撃を仕掛けた。奴は悲鳴を上げながら驚いたが、四つん這いになって風の刃をかわした。だが、その時にリロードのために用意した弾丸が床に落ち、そのまま転がって行った。


「なあっ! 弾が落ちた!」


「残念でしたね」


 そう言うと、ティノは右手で杖を構え、ガトリング砲のように火の玉を発した。


「おいおい、そんなもんで攻撃しても俺には通用しないっての!」


 奴は分厚い氷の壁を出し、火の玉の連続攻撃を防御した。奴はその隙にリロードを再開し、銃に弾を込めた。奴の銃はマガジン式、およそニ十発の弾丸が込められるだろう。次に攻撃の隙ができるのは、奴がニ十発弾を打った後。


「クソガキよぉ。これ以上俺を甘く見るんじゃねーぞ!」


 と言って、奴はティノに狙いを定めて引き金を引いた。だが、奴が放った弾丸はティノからずれていた。


「は……外したのかな?」


 ティノは狙いがずれたのだと思い、魔力を解放して反撃を行おうとした。だが、奴はわざと狙いを外して撃ったんだ。奴は何も気付いていないティノを見て、にやりと笑っている!


(ティノ! 後ろを見ろ!)


(後ろ?)


 ティノは後ろを振り返り、自身に向かって飛んでくる弾丸を見て、すぐにバリアを張った。


(え? え? どうして後ろから弾丸が……)


(あいつ、弾が飛んで行った方向に氷の壁を作ったようだ。弾丸はそれに命中して反射し、お前に向かって飛んで来たんだ)


(ビリヤードみたいですね。そんな技が使えるなんて)


(とにかく気を付けろ。奴はどの角度で弾を撃ち、どの角度で氷の壁に当てればお前に飛んで来るか計算しているぞ)


(はい)


 ティノは返事をすると、周囲にバリアを張った。これで弾丸を防げるとティノは思ったのだが、俺はそう思わなかった。ティノが放つバリアはかなり強い。奴もそのことには気付いているはずだ。だとしたら、バリアを破壊する何かの手段を持っているはずだ。


「またバリアか……仕方ねーな」


 奴は小さく呟くと、先ほどの技でティノに襲い掛かった。だが、どれだけ弾を撃っても、ティノのバリアを破壊することはできなかった。あいつ、一対何がやりたいんだ? そう思っていると、奴はマガジンを手元に置いた。どうやら、再び弾切れを起こしたのだろう。


「今です!」


 ティノは雷の魔力を発し、槍のような大きさに作った。そしてそれを奴に向けて放った。だが、奴の様子がおかしい。奴から魔力を感じている!


「ケケケケケ~。弾が無理なら、魔力で弾を作ればいいんだよ。俺の氷の弾丸、じっくりと味わいな」


 奴は魔力を解放し、マガジンに入れている。何か仕掛けをしているに違いない。その後、奴は飛んでくる雷の槍に銃口を向け、発砲した。


「見せてやるよ、俺の氷の弾丸の威力をよぉ!」


 奴が放った氷の弾丸は、刃のように鋭かった。その鋭さは、ティノが発した雷の槍を二つに裂いてしまったのだ。


「なっ……あ……」


(バリアを解除して横に避けるんだ!)


 雷の刃が裂かれたのを見たティノは、驚いてしまったが、俺の言葉を聞いて我に戻り、横に裂けた。間一髪攻撃をかわすことができたが、奴の攻撃はティノの右の頬を少しかすっていた。そのせいで、ティノの右の頬から血が流れた。


(血が……あいつの弾丸、切れ味が鋭いです)


(ああ。だが、どんな技にも弱点がある。とにかく今は反撃の隙を見て攻撃するしかないぞ)


 俺はティノにこうアドバイスをした。だが、ティノは奴の動きを見て何かを察した表情をした。


(確かにヴァーギンさんの言う通り、どんな技にも弱点があるようですね)


(なっ、もうあの技の弱点が分かったのか?)


(はい。あいつは水の魔力を使っています。氷の弾丸を作るために、銃の中を一気に凍らせています。普通、銃は火薬を使う物です。よく、魔力を使って銃を撃つ人がいるのですが、その人たちは特殊な銃を使っています。ですが、奴は安物の銃を使っています。無理矢理変な使い方をすると、銃は壊れます)


(使い方の問題か。そうか……確かにそうだな)


 使い方か。どんな道具にもちゃんとした使い方がある。それに適した使い方ではないと、物は壊れる。基本的だが、道具を使っているとその基本を忘れるということか。だが、これで勝機が見えた。あとはどうやって勝つかだ。


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