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発動せよ、サウンドウェーブ


 サウンドウェーブ? いつの間にギルドはそんなデリートボンバー用対策の道具を作っていたのだろう? 名前からして音が関係してそうな気がするが、こんなスピーカーが役に立つかどうか分からない。まぁ、ギルドの技術者たちが自信を持っているのなら、頼るしかない。


 サウンドウェーブの電源が入ったと同時に、耳に違和感を覚えた。ティノちゃんも違和感を覚えたようで、耳の穴をいじっている。


「耳が変な気がします。虫でも入ったのかな?」


「私もなんか変な気がするわ。特殊な超音波でも流しているのかしら?」


「エクスさん、ご名答」


 私の言葉を聞いた技術者が、どや顔で私の方を見た。どうやら、耳に聞こえにくい超音波が出ているようだ。


「この超音波が何の役に立つの?」


「音が発する時、振動が起きます」


「科学の時間? 私、化学は苦手なの。簡単に説明して」


「分かりました。簡単に言うと、音でデリートボンバーを破壊します」


 音でデリートボンバーを破壊する? 科学のことは全然わからないけど、本当に超音波でデリートボンバーを破壊することができるのかしら? そう思っていると、突如上空にあったデリートボンバーが爆発した。


「大成功。実験でも九割ほどの確率で成功していたので、自信があったんですよ」


「へぇ。すごいわね」


「ギルドの技術スタッフも素晴らしい動きをしますね」


「ヘヘッ。戦士の皆にいろいろと荷物を背負わすことはできませんので。同じギルドの人間だから、協力し合わないと」


 技術スタッフは鼻の下をかきながらこう言った。サウンドウェーブのおかげで、上空にあったデリートボンバーが次々と爆発していった。あまりに強力な爆発は、デリートボンバーの欠片さえも塵にした。そのおかげで、破片が下に落下して人や建物に命中するなんてことはなかった。


「あいつらも焦っているでしょう。私たちがサウンドウェーブを作ったことを、把握していないだろうし」


「極秘で作っていたのね」


「その通り! ギルドに裏切り者がいると言われた時点で、今回の開発は一部のスタッフしか知らない極秘の開発となったのです!」


 私たちが知らない間に、こんなことが起きていたのか。だが、彼らのおかげでデリートボンバーに対する対策ができた。それだけでも十分だ。


 さて、デリートボンバーが片付いたし、私たち戦士も動かないと。私は上を見上げ、奴らがいないか調べた。やっぱりいた。奴らはヘリコプターで上空を飛んでおり、そこからデリートボンバーを落としたのだろう。かなり高い所を飛んでいる。そのおかげで、サウンドウェーブの音波が届かなかったのだろう。


「あそこまで行くには、ヘリが必要ね」


「今、ヘリコプターってありますかね?」


 ティノちゃんの言葉を聞き、私は言葉を失った。そうだ、ベトベムのギルドが襲撃された際、武器庫もぶっ飛んだって聞いたような気がする。もしかして……ヘリコプターもないのかしら?


「まずい……ちょっと気楽に考えていたわ。今、ヘリコプターってあるのかしら?」


「ありますよ」


 技術スタッフの言葉を聞き、私とティノちゃんは歓喜を上げた。だがその前に、奴らは再びデリートボンバーを落としてきた。


「おっと、またデリートボンバーを落としてきましたね。またまたこいつの出番ってわけか!」


 技術スタッフは意気揚々とサウンドウェーブの電源を入れ、再び落ちて来るデリートボンバーを破壊した。そんな中、別の技術スタッフが私とティノちゃんの元に駆け寄った。


「エクスさん、ティノさん! 私が隠しているヘリコプターの元へご案内します!」


「お願いします!」


 その後、私とティノちゃんはヘリコプターの隠し場所へ向かった。




 私たちは半壊したベトベムのギルドにいた。技術スタッフと共に瓦礫の山を登ったり下ったりすると、私たちは行き止まりに到着した。


「ここ、行き止まりじゃないですか。ただの壁だと思うんですが……」


「隠し場所だから目立たなくて、カモフラージュしやすい場所に出入り口を設置したのね」


「エクスさんの言う通りです。いざと言う時のために、隠し武器庫を作っていたのです」


 技術スタッフは私たちにこう答えながら、壁に手をかけた。すると、何かが外れる音と共に、壁の一部が開いた。そこにあったのは数字が書かれたボタンだった。技術スタッフが順番にボタンを押すと、静かに隠し扉が開いた。


「おお。ゲームみたい」


「早く行きましょう。裏切り者が来るかもしれません」


「そうですね」


 その後、私たちは急いで中に入り、扉を閉めた。だがその前に、何者かが扉が閉まる前に手を突っ込み、無理矢理扉をこじ開けた。


「へへ。みーつけた。こんな所に隠し部屋があったなんてな」


 こじ開けられた扉の外にいたのは、大柄なギルドの戦士だった。まさかこいつ、裏切り者か!


「あんた、ジャッジメントライトの回し者ね」


「その通り。俺はジャッジメントライトのスパイだ。エクス・シルバハート。お前はここで死ぬ運命なのだ!」


 大柄な裏切り者はショットガンを持ち、私に向けて発砲した。私はバリアを張って弾丸を防御したため、傷を負うことはなかった。


「ティノちゃん! スタッフさん! こいつは私が倒すから先に向かって!」


「分かりました! 気を付けてください!」


 ティノちゃんがこう言うと、技術スタッフの手を取って走り出した。これで二人に被害が及ぶことはない。さて、この雑魚を倒そう。


「逃がすか!」


「あんたの相手はこの私よ」


 私はティノちゃんたちを追いかけようとする大柄な裏切り者の足を蹴り、転倒させた。足元付近に階段があったようで、大柄な裏切り者は情けない声を上げながら階段を転げ落ちた。


「イテテ……クソ……」


「それっ」


 私は階段から飛び降り、大柄な裏切り者の上に着地した。攻撃を受けた大柄な裏切り者は悲鳴を上げ、しばらく立ち上がることはなかった。見た目の割に、あんまり強くないわね。


「ねぇ、それで終わりなの? 見た目の割に弱っちいわねー」


 私は大柄な裏切り者の額を突きながらこう言った。おっ、悔しそうな顔をしている。あんまり怖くないわねー。そう思っていると、大柄な裏切り者は魔力を解放して立ち上がった。


「俺をこけにするなよ! この一撃でぶっ殺してやる!」


 と言って、右手を大きく広げて魔力を発した。奴の魔力は雷か。それで私を平手打ちするつもりだな。そう思っていると、予想通り奴は私に向かって右手を振るった。私は後ろに下がって攻撃をかわし、剣を振るった。


「グッ! なっ……あああああ!」


 奴は自分の右手がないことに気付き、驚いた声を上げた。奴が気付いていないようなので、奴はさっきの私の攻撃速度を目で追えなかったわけだ。


「そんな……俺の右手が……」


「お望みなら、左手も斬り落としてあげるわよ」


「ふざけるな! と……とにかく、俺はもう戦えない! 降参する、勘弁してくれ!」


 これで終わりなの? 情けない。強気なことを言っていた割にはあっさり降参するなんて……何かおかしいわね。こいつ、不意打ちでも狙っているのか? とりあえず、剣を鞘に納めて私は奴に近付いた。


「降参するのね。体を縛るからじっとしていなさい」


 私が魔力の縄を作った瞬間、奴は左手を大きく動かした。やっぱり不意打ちを狙ったか。


「かかったな! そんな簡単に負けを認めるわけがないだろうが!」


「不意打ちするって分かっていたわよ。演技するなら、もう少し練習しなさいよ」


 私はそう言って素早く剣を二回振るった。一回目の斬撃で奴の左手を、二回目の斬撃で奴の右足を斬り落とした。攻撃を受けた後、奴は情けない声を上げてその場に倒れた。だが、私はこの声を聞いた奴の仲間がこの隠し部屋の存在に気付くと考え、急いで奴の口を封じた。


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