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恨みを持つ者


 剣となった俺でも、あの女から放たれる敵意と殺意を強く感じる。刃が震えているかもしれない。


(エクス。あの女は気を付けろ。どんな手を使っても、お前を殺すかもしれないぞ)


(かもしれませんね。あれだけ強い敵意と殺意、初めて感じました)


 エクスもあの女から狙われていると察しているようだ。ティノは恐怖のあまり、泣いている。これじゃあ戦えないな。


 そう思っていると、あの女が高く飛び上がり、エクスに向かって剣を振り下ろしてきた。エクスは剣を使って女の攻撃を防いだが、女は盾を使ってエクスの顔を殴った。


「グフッ!」


「エクスさん!」


 エクスはティノの叫び声を聞いたのか、転倒する直前に受け身を取って立ち上がった。


「痛いわね。いきなり殴るなんて酷くない?」


「お前はそれ以上に酷いことをした」


「酷いこと? ああ、ジャッジメントライトの戦士の中にあんたの連れがいたのね。わるーござんした」


 おいおい、エクスはふざけながら頭を下げ、わざとあの女を怒らせている。舌を出して、その上両手でやってはいけない挑発のジェスチャーをやっていた。元の態勢に戻ったら、小声であの女に向かってアバズレクソ女と言った。小声で言ったと思うのだが、その言葉はあの女に聞こえていた。


「これ以上私を怒らせない方がいいわよ……私はあんたに対して怒りをぶちまけたいのよ、分かる?」


「ジャッジメントライトのバカ共の怒りなんて分からないわよ。テロ行為をやっているあんたらを理解しろなんて言われたら、絶対に拒絶するわね」


 と言って、エクスは再び両手でやってはいけないジェスチャーをやってしまった。これはあの女も怒るだろう。


「私をバカにするのはどうでもいいわ。私があんたに怒りをぶつけているのは……私の旦那を倒したからよ」


「旦那? あんたの旦那を倒した記憶なんて一切ないけど」


「私の名前はディガク。アチーナ暗殺事件の主導者、イーハツの妻よ!」


 イーハツの妻だと! アチーナさんが暗殺されそうになった事件の首謀者で、ジャッジメントライトのアジトでエクスと戦ったあの男の妻なのか! そうか、旦那が倒されたから、エクスに対して怒りを爆発させているのか。理由は分かったぞ。


「あんたの旦那? イーハツ? 雑魚は一杯倒したから、いちいち倒した奴の名前なんて覚えていないわよ。私はそこまで細かい性格じゃないし」


 エクスは鼻で笑ってこう言った。この態度を見たディガクは、怒りの形相でエクスに斬りかかった。


「エクス・シルバハート! お前だけは……お前だけは! この私が殺す!」


 エクスに対しての殺意が爆発してしまった。ディガクは強い魔力を発し、エクスに斬りかかった。まずい、この女の剣技は一流と言ってもいい。確実にエクスを狙って剣を振るっている。


(とんでもない奴を怒らせたぞ。あの女、いい剣の腕を持っている)


(怒りに飲み込まれるようでは、一流とは言えません。隙を見て、奴の腕を斬り落とします)


(ああ……だが気を付けろ。嫌な予感がする)


 俺はエクスに嫌な予感がすると言った。あの女はエクスを倒すためなら、どんな手でも使うだろう。それがどんな手段なのか分からない。とにかく不安だ……。




 ヴァーギンさんは嫌な予感がすると言った。私も同じ気持ちだ。あの女は何が何でも私を倒すつもりだろう。


「死ね! 死ね死ね! 死ねェェェェェ!」


 奴は感情に任せて剣を振るっている。力強く剣を振れば、いずれ体力が切れるだろう。その隙に奴の腕を斬り落とせばいい。


 それにしても、いい剣の腕をしている。確実に私の首や左胸に向けて剣を振るっている。確実に一撃で始末するつもりなのだろう。私はそう思い、後ろに下がった。


「逃げるなァァァァァ!」


 奴は大声を上げながら、剣を振り上げて私に接近した。私は奴に向かって走り出し、途中でスライディングをかました。


「なっ!」


 私が蹴り技を仕掛けて来るなんて、奴は予想していなかっただろう。スライディングは奴の足に命中し、転倒させることに成功した。


「グッ! ふざけた技を!」


「それで転倒した自分の不甲斐なさを呪いなさい」


 私は魔力を解放し、風の刃を放った。奴は飛んでくる風の刃を消そうとしたのだが、その隙に私が近付いて奴の腹に一閃を放った。


 剣の刃は確実に奴の腹に命中した。しかし、奴の腹からは血が流れない。破けた服の中からは、鎧のような物が見えた。


「服の中に軽鎧を身に着けているのね」


「そうよ。これならあんたの剣を防ぐことができるからね」


「怒りで頭がおかしくなっていると思ったけど、そこそこ考えているのね」


「あんたを殺すためなら、どんな手段でも使うわ。だけどその前に、斬られたらおしまいだからね」


「その通りね」


 私はそう言った後、後ろに下がった。奴も分が悪いのか、後ろに下がって剣を構え直した。


「仕方ないわね……あれを使うしかないわ」


 奴はそう言うと、魔力を解放した。周囲に雷が走ったため、奴の魔力によるものだと私は判断した。だが、雷は私に向かって飛んできてはいない。何をするつもりだ?


「喰らいなさい。私の怒りを!」


 その後、奴は雷を動かした。すると、後ろの方から何かが飛んで来た。あれは、戦意を失って逃げ出したジャッジメントライトの戦士だ! あの女、仲間を飛び道具として利用しているのか!


「グッ! あんた、自分の仲間を武器として使うなんて卑劣じゃない?」


「役立たずをどう利用しようが私の勝手だ!」


 私は飛んでくるジャッジメントライトの戦士をかわしながら、どうにか奴に一撃入れようか考えた。その時、目の前にジャッジメントライトの戦士が降って来て、地面にめり込んだ。その一瞬を奴は見逃さなかった。


「死ね! エクス・シルバハート!」


 私の左右から、ジャッジメントライトの戦士が物凄い速さで飛んで来た。私は挟み撃ちにされるような形で潰された。


「エクスさん!」


(エクス!)


 ティノちゃんとヴァーギンさんの心配するような声が響いた。挟まれただけじゃあダメージはそんなにない。すぐに対処できる。そう思ったのだが、奴はにやりと笑った。


「これだけじゃないぞ!」


 まさか……ジャッジメントライトの戦士を使って私に電撃を流すつもりか! そう思った直後、電撃が私の体内を駆け巡った。


「キャアアアアアアアアアア!」


 これはまずい! 痛みと熱が体中を駆け巡る! しばらくして、奴の攻撃が止まった。私は咳き込みながらその場に倒れた。


「エクスさん! しっかりしてください、エクスさん!」


 ティノちゃんの声が聞こえる。まだ意識はあるようだ。そんな中、私の元に歩いてくる奴の足音が聞こえた。


「うふふ。ザマーミロ。私の愛する旦那を奪った罪よ。その罪、死んで償いなさい」


 その後、奴が剣を構える音がした。うわー、これはまずい。動きたいけど、電撃のせいで手足がまだ痺れる。痛みの方もまだ体の中に残っている。動かすだけでもきついだろう。


(エクス、大丈夫か?)


(生きてます。死んでません。だけど……この状況はちょーっとだけきついですね)


(ちょっとばかりじゃないぞ。動けないだろう?)


(ええ。もう少し時間があれば、動けるまで回復できるんですけど……)


(どのくらい時間がかかる?)


(短くて一分ほど。奴は私が倒れていると思って、余裕の表情をしています。わざとゆっくり歩いてこっちに来ると思います。それまで、時間があれば……)


 私はヴァーギンさんにこう伝えた。体の痺れがなくなれば、何とか体を動かすことができる。痛みは走るが、治療は後でもできる。今したいのは、確実にあの女を倒すこと。あの女が私の元に来るまで、動けるまで回復できればいいんだけど。


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