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暗殺騒動の終幕


 ギルドのヘリが私たちを迎えにやって来た。ヘリは私たちに近付き、着陸した。扉の中から、エンカたちが出て来た。


「すごいな……たった二人でアジトを壊滅させるなんて……」


 エンカは私とティノちゃん、そして戦意を失った雑魚共を見て驚きの声を上げていた。その後、大量の雑魚共を一度に運べないため、新たにヘリを呼ぶことにした。私とティノちゃん、そして私が捕らえたイーハツは先にギルドに向かうことになった。


 ヘリの中。私はボロボロにしたイーハツをギルドの戦士に渡した。かわいそうな姿になったイーハツを見たギルドの戦士は、驚きの声を上げつつ動揺していた。


「お……お疲れ様ですエクスさん」


「ここまでやるとは……流石にやりすぎだと思うのですが」


「こいつが私を怒らすようなことをしたからね。ちょっとやりすぎたわ」


 私は苦笑いをしながらこう言った。イーハツは嘆くような声を上げながら、私を睨んだ。


「覚えていろよ、エクス・シルバハート。ジャッジメントライトやあの人はお前を許さないぞ」


「許さないって? あっそう。文句があるならかかって来なさいよ」


 私はイーハツを見ながら鼻で笑い、連れて行かれるのを見送った。その後、私とティノちゃんはその場に座り、休むことにした。緊張感のせいで疲れを感じなかったけど、緊張感から解放された瞬間どっと疲れが体を襲った。ティノちゃんも同じなのか、疲れた表情をしていた。


「あー……今回は疲れた」


「そうですね……いろいろとありましたし……あの滑り台も結構魔力を使いました」


「そうね……とりあえず……寝ましょう」


「はい」


 私とティノちゃんは会話をした後、しばらく寝ることにした。




 しばらく寝ていたと思ったが、寝ている間に私たちを乗せたヘリはモツアルトのギルドに到着していた。


「うわっ! もう真っ暗! 今何時?」


「ふぁ~あ……ファッ! もう夜ですか? 結構寝ちゃいました~!」


 私とティノちゃんは慌てながらギルドの中へ入った。疲れた顔の役員が私とティノちゃんを見て、お疲れ様と声をかけた。


「結構寝ていましたね。ヘリにいた戦士たちは、あなたたちを起こさないようにこっそりと移動しましたので」


「起こしてくれてもいいのに。まぁ……このおかげで疲れが取れたけど。で、取り調べはやってるの?」


「まずはイーハツと言う男を治療すると言っていました」


 役員はそう言うと、私とティノちゃんを見ながら続けてこう言った。


「とりあえず部屋へ向かったらどうですか? 夜中だから食道は開いていませんが、食事をしたかったら朝一食堂へ向かえばいいと思います」


「そうね。ティノちゃん、一度部屋に戻りましょう」


「はい」


 その後、私とティノちゃんは部屋へ戻り、シャワーを浴びてもう一度寝ることにした。もう一度寝れるのかなと思ったけど、結構あっさりと寝ることができた。それだけ疲れているということか。




 翌朝。私とティノちゃんは食堂へ向かって食事をしていた。周りの戦士たちは驚きの声を上げながら私とティノちゃんを見ていた。


「おいおい、何枚パンを食べるつもりなんだ?」


「昨日、二人でジャッジメントライトのアジトを潰したらしいぜ」


「疲れのせいで腹ペコなんだろう。英雄だから、食う量もすごいな」


 どうやら、私とティノちゃんの食事量を見て驚いているのだろう。確かにそうね、パンをいくつも食べ、その上ステーキも十枚は食べた。サラダが入っていたお皿も十枚以上重なっている。だけど、それだけ食べても腹八文目と言ったところだ。


「ふぅ、ごちそう様」


「食べすぎたかな……でも、魔力が回復しました」


 私とティノちゃんはざわめく戦士たちを見ながら、食べた皿を食道カウンターへ持って行って、部屋に戻ろうとした。そんな中、一人の戦士が私とティノちゃんの元へ駆け寄った。


「今、イーハツの取り調べを行っていましたが、重要な情報を手に入れたので、すぐに来てください!」


 重要な情報? 私は急いで取調室へ向かった。イーハツの奴が、何か重要なことを吐いたのだろう。


 私とティノちゃんは取調室に到着した。だが、奴の取り調べは終わっており、奴はすでに牢屋の中へ戻っていた。


「取り調べは終わったんですね」


「ああ。ちょっと前にな。それよりも、重要な話をしよう」


 取り調べを行っていたギルドの戦士はそう言うと、深く息を吐いて話を続けた。


「アチーナ氏の暗殺計画は、ジャッジメントライトの幹部からの命令だったそうだ」


「幹部?」


「ああ。ジャッジメントライトにはボスと言われる奴がいる。幹部はそいつの手先だ」


「直接ボスと繋がりがあるってこと?」


「その通りだ。ボスの顔や正体を知っているのは、そいつらだけだ」


 幹部の存在。ボスに近い奴はいるだろうと思ったが、まさかイーハツがそいつらと親しい奴とは知らなかった。奴を倒せたのは運がよかったと言っていいだろう。


「で、幹部は何人いるんですか?」


「三人だ。奴はそのうちの一人に命令されていた」


 と言って、戦士は一枚の写真を机の上に置いた。そこには、三十代くらいの男の顔が映っていた。


「この人は誰ですか?」


「こいつはアソパ。普段は熱い性格の男で、独自で悪人退治をやっていると情報が入っている。だが、それは表の顔で、本性はジャッジメントライトの幹部をやっている」


「こんな暑苦しそうな奴が幹部をやれるのね」


 私がこう言うと、戦士はタブレットを机の上に置き、私たちに見るように促した。どうやら、何かの動画だろう。戦士がタブレットに触ると、動画が始まった。


「これって何の動画ですか?」


「アソパの戦いの様子だ。SNSで、こいつがチンピラと喧嘩をする動画を見つけたのだ」


 戦士がティノちゃんにこう説明した。幹部の一人がチンピラと喧嘩するなんてと私は呆れたが、普段は悪人と戦っていると説明を思い出し、この行動に納得した。


 動画内では、チンピラの一人がアソパに対して挑発している。チンピラは安物のダサいアクセサリーをアホみたいに身に着け、耳だけではなく鼻やあご下、顔の至る所にピアスを付けている。それでかっこいいと思っているのか?


「おいデカブツ! 文句があるならかかって来いよ!」


 チンピラは大声でアソパにこう言っていた。アソパはチンピラより背が高い。そして、奴はタンクトップを着ているため、両肩から腕にかけて筋肉が見えた。鍛えているせいか、かなり大きい。


「おい! 何とか言ったらどうだ? 俺様の威圧でおしっこちびっちゃったんですか~?」


 チンピラはふざけた口調で挑発を続けている。アソパはその言葉に動じることはせず、ただチンピラを見ているように見えた。


「このデカブツ! 何とか言ったらどうだ!」


「愚か者に返す言葉はない」


 ようやくアソパが口を開いた。愚か者と言われたチンピラは、この野郎と言ってナイフを取り出した。


「おい、これやばいって。誰かギルドの戦士を呼んで来い! とにかく強そうな人なら何でもいいから連れて来てくれよ!」


 聞いたことのない声が響いた。どうやら、この動画を録画している人だろう。ナイフが現れた瞬間、周りも驚きの声を上げていた。だが、誰も助けを呼ぼうとはしなかった。動揺して、自分を守ることしたかできないのだろう。


「このデカブツ! お前をぶっ殺してやらぁ!」


 誰も助けを呼ばない中、ついにチンピラがアソパに向かってナイフを突き出した。だが、アソパは左の裏拳でナイフの刃を弾き飛ばした。


「へ? え? あっ!」


 チンピラは刃が折れたナイフを見て、情けない声を上げていた。その隙に、アソパは右手の裏拳でチンピラの顔を殴った。録画している角度が悪いため、殴られたチンピラがどうなっているのか分からない。分かるのは、殴られて倒れた後、チンピラは動かなかった。ここでアソパの動画は終わった。


「これがアソパの動画だ。奴は武器を使わず、己の体だけで戦っているようだ」


「そのようね。ナイフの刃を折った時、多分魔力を使っていないわ」


「私も同じ考えだ。これが幹部の力か……」


「いえ。こいつは本気を出していません。なんとなく、そんな気がします」


 私はタブレットに映るアソパの姿を見て、ギルドの戦士にこう答えた。


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