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エクスの怒り


「キャアアアアアアアアアア!」


 ティノちゃんの叫びが私の耳に響いた。イーハツの奴! 弱ったふりをして魔力の水を操り、ティノちゃんを捕まえた!


「ククククク……形勢逆転だねぇ……大事な相棒がどうなってもいいのかい?」


 奴はこの時を狙っていたのか? いや、狙っていないだろう。これは奴のアドリブだ! 状況が運良くあいつに味方しただけだ。冷静に考えろ。今の奴は左腕を失っている。片腕でできることは限られている。だが……奴は右手で剣を持っている。攻撃できるということには変わりない!


「エクスさん! 私に構わず奴を倒してください!」


「口うるさいちび助だねぇ! うるさい奴はこうだ!」


 と言って、奴はティノちゃんの口を魔力の水で塞いでしまった! あのままでは、ティノちゃんが窒息してしまう!


「エクス・シルバハート、相棒を助けたかったらどうするか……分かるよな?」


 奴は下種な笑みを浮かべて私に近付いた。調子に乗っている以上、今の奴は左腕を失った痛みを感じていないのだろう。私は歯を食いしばりながら、奴を見ていた。


(エクス! 奴の言葉に乗るんじゃない! 冷静になれ、落ち着くんだ! 俺もこの状況を打破する方法を考える!)


 ヴァーギンさんもこの助教に焦っている。く……どうしたらいい? そう思う中、奴が私の目の前にやって来て、剣を使って私の服の胸部分をちょっとだけ切り裂いた。


「へぇ、着やせするようだね。乳の谷間が見えるよ」


「スケベ野郎。正義マンって正義って言葉とエッチなことが好きなのね」


「私は自分の欲に従順なだけさ。ま、今は性欲よりも……お前を殺したいって気持ちが上なんだけどねぇ!」


 と言って、奴は私の腹に蹴りを入れた。だが、大した蹴りではなかった。


「よくも私をここまで傷つけたな。今からお前を調教してやる」


「それで、その後でティノちゃんを助けるつもりなの?」


「どうなるかはお前次第だ」


 奴の答えを聞き、私は察した。奴は私を殺した後、ティノちゃんも殺すつもりだと。


「さて、もう少しセクシーな格好にしてやろう」


 そう言うと、奴は下種な声を上げながら私の服を再び切り裂き始めた。この野郎、好き勝手やりやがって! そう思った私はヴァーギンさんを手にし、居合のような形で奴の右腕を斬り落とした。


「な……あ……」


 動揺する奴を見て、私は奴の腹に蹴りを入れた。蹴られた奴は情けない声を上げて地面に倒れた。


「グッ! この娘がどうなってもいいのか!」


 奴は私を脅すようにこう言ったが、ティノちゃんが殺される前にこいつをどうにかすればいいだけ。今思えば簡単なことだ。私は奴の股間を強く蹴り、続けて股間を強く踏みつけた。


「あっ……」


 小さい悲鳴を上げた後、奴は大きく口と目を開いてその場で悶絶した。女の私に男の子の痛みを理解することはできない。だから、奴の両足を斬り飛ばした。


「な……ああああああああああ!」


「これでダルマになったわね。クソ野郎」


 私は剣を持ち、奴の腹に剣を突き刺して動けないようにした。その後、奴の止血を行った。


「し……止血? どうして……」


「出血死を防ぐためよ。これで死んだら楽になっちゃうじゃない。あんたみたいなクズで下種な野郎は、痛めつける必要があるのよ」


 私は奴の腹に突き刺した剣を抜き、治療して奴の体を蹴り始めた。しばらくして、ティノちゃんを拘束する水が消滅し、ティノちゃんが解放された。


「無事でよかったわティノちゃん。動けるようになったすぐで悪いけど、こいつを吊るすことってできる? 魔力でフックみたいな物を作れない?」


「サンドバッグを吊るすような物なら何とか再現できますが……」


「それじゃあお願い。このクソ野郎をしばきたいの」


「分かりました。すぐに作ります」


 その後、ティノちゃんはあっという間に氷でサンドバッグを吊るすような道具を作った。私はクソ野郎をそれに吊るした後、何度も殴る蹴るを繰り返した。




 数分後、奴の体は腫れあがっていた。元の顔が何だか分からないくらいになっていたため、ちょっとやりすぎたかと思った。だが、服に傷つけられた分と、ティノちゃんを殺そうとした分の怒りがこれで収まったわけじゃない。そう思いながら、私は奴の股間を強く蹴った。


「ブッ!」


 股間を蹴った直後、奴は変な悲鳴を上げて気を失った。


(エクス、これ以上この男の股間を攻撃するのは止めてくれ。見てると痛々しい……)


 と、ヴァーギンさんが私を止めた。男の人がこの光景を見ると、どうも痛々しく感じるのだろう。私は気を失った奴を殴り、無理矢理目を覚まさせた。顔中腫れているから、目が開いているのかどうか分からないけど。


「おい、起きなさい」


「ぐ……うう……」


「今からあんたを拘束するから、大人しくしなさい。魔力を使おうとしたら、その場であんたの腹を剣で突き刺すから」


「ふ……ふざけ……るな……」


「股間を潰してやるわよ」


 私がこう言うと、奴の顔面が青く染まった。その後、私たちは下の階に降りようとした。だがその時、目の前から雑魚共が現れた。


「い……イーハツさん! どうしてこんな……」


「エクス・シルバハート! お前の仕業か!」


「イーハツさんの敵討ちだ! あの世へ逝って、イーハツさんに謝って来い!」


「いや……私はまだ生きているが……」


 倒された奴を見た雑魚共は、闘志を燃やして私に襲い掛かった。だが、私はボロボロになった奴を前に出した。それを見た雑魚共は動きを止めた。


「斬りかかってもいいわよ。その瞬間、あんたらの大事な上司がどうなるか分かるわよね?」


 私は笑みを浮かべながらこう言った。上司を盾にされたら、攻撃できる人はいない。多分。ジャッジメントライトは上下関係が意外としっかりできているようだ。雑魚共は上の連中を親のように信頼している。そのせいか、私が奴を盾にしてかなり動揺している。


「く……クソ……」


「これじゃあどうしようもない」


「ど……どうすればいいんだ?」


 奴らは動揺している隙に、私たちはこのアジトから脱出しようとした。だが、私たちが動いたことを察した奴らは慌てながらも私たちの後を追いかけた


「エクスさん、あの人たち追いかけて来ますよ」


「ほっとけばいいわ。何かあればこの盾があるから大丈夫」


 私は心配するティノちゃんに奴を見せてこう言った。私は奴を背負うようにしているから、雑魚共が狙撃した瞬間に奴が命中する。盾として利用すれば、奴らの動きを封じることができる。それを利用し、私たちはアジトの三階に到達した。


「いたぞ! エクス・シルバハートだ!」


「まずい、イーハツさんを抱えている! あいつらが倒したのか!」


「もしかしたら、イアラーゴさんたちも倒されたのか?」


「クソ……俺はエクス・シルバハートを追尾する! 他の奴らは倒されたイアラーゴさんたちを保護して来い!」


「分かりました!」


 前からくる雑魚共は、私たちの姿を見て、襲い来ることもなく追いかけることと、私が倒した奴らの保護のために動いた。


「いいんですかエクスさん? さっきより雑魚の数が増えましたよ」


「捕まえる奴の数が増えるだけよ。一気にこれだけジャッジメントライトの戦士を捕まえれば、エンカのギルドの立場の上に立つわね」


「ほとんどエクスさんがやっつけたような感じじゃないですか」


「私は手柄とかどうでもいいの。奴らを倒すことと、お金をもらうことができれば文句はない」


「エクスさん、クレジットカードとか使わないんですか?」


「盗まれたら最悪だし、落としても最悪だからね。私は現金主義。必要な分だけ使えればそれで十分よ」


 と、私とティノちゃんは呑気に会話をしていた。そんな中、後ろからついて来たジャッジメントライトの戦士が転倒し、私が背負っているイーハツのズボンに手が触れた。その時、スイッチのような物が動く音が聞こえた。その音を聞き、イーハツの顔面がまた青く染まった。


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