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デリートボンバーを守る者


 さっさとこのアジトの主を倒して騒動は一件落着……というわけにはいかなくなった。このアジトにデリートボンバーを作る施設があるようだ。それを壊せばこの周辺で奴らは暴れることができなくなるだろう。それを壊して、周囲を安心にさせるのを忘れてはいけない。


「さて、腹ごしらえも済んだし、上へ行くわよ」


「デリートボンバーを作る部屋を壊すんですね」


「その通り。奴らにとって重要な場所だから、強い奴がいるかもしれないから気を付けて」


「はい。エクスさんもそいつと戦う時は気を付けてください」


 ティノちゃんと話をしながら、私たちは上の階へ向かった。上の階へ到着すると、アサルトライフルを持った雑魚共が私たちを出迎えてくれた。


「下からうるさい音が聞こえてきたと思ったが、やはりお前だったか。エクス・シルバハート!」


「この人数を相手に勝てるかな?」


「勝つわよ。雑魚相手が何人来ようとも、私の相手じゃないわ」


 私は奴らにそう言うと、あっという間に全員倒した。ちょっと魔力を解放しただけなのに、自分がこれだけ早く動けるとは思いもしなかった。


(エクス、かなり強くなったな)


 と、ヴァーギンさんも驚きの声を上げている。私自身も自分の成長速度に驚いているのに。まぁそんなことを考えるよりも、一番重要なのはデリートボンバーを作る部屋を壊滅させることだ。


「ねぇ、デリートボンバーを作る部屋はどこ? この階にあるって聞いたけど」


「お……教えたら殺されます……」


「ばれなきゃいいのよ。それに、どうせ私がこの階を隅々まで調べるからどれだけ口を固くしても無駄よ」


「そ……そんな……ぐぅ」


 雑魚はそう言って気を失った。あらま、ちょっとやりすぎたか。他の雑魚からも話を聞こうとしたけど、他の雑魚は全員気を失っていた。


「うーむ。自力で探すしかないわね」


「エクスさん、あの部屋が怪しいです」


 と、ティノちゃんが目の前の大きな部屋を指差した。私の勘が叫んでいる。あそこでデリートボンバーを作っていると。


「それじゃあ行くわよ。サクッと行きましょう。サクッと」


「分かりました。魔力も解放しておきます」


 ティノちゃんもやる気のようだ。やる気満々の私たちは、デリートボンバーを作る部屋へ向かった。




 部屋に近付くと、異臭が鼻に入った。うげぇ、気持ち悪い。ティノちゃんは嫌そうな顔をして、鼻を抑えていた。


「変な臭いがします。デリートボンバーって一体何で作られているんでしょうかね?」


「爆薬と危ない薬品で作られていると思うわ。ピアノタワーを木端微塵にさせる威力があるんだから、それ相当の危険な薬を使っているわね」


「ピアノタワーの二の舞になる可能性もありますね。それをここで潰しましょう」


「ティノちゃんも私と同じようなことを考えるようになったわね。それじゃ、行くわよ」


 私は部屋の扉を蹴り飛ばし、中にいた連中を驚かせた。その隙にティノちゃんが風と水を使って中にいた連中を捕らえた。


「うわァァァァァ!」


「何だ急に! 体が動かなくなっちゃった!」


「いきなりこんなことが起こるなんて聞いてないよ~」


 奴らは情けない声を上げながら宙に浮いていた。だが、ティノちゃんの攻撃を避けた奴がいた。


「オイオイオイオイ。いきなり攻撃を仕掛けてくるとは酷い人たちですねぇ」


「危ない爆弾を作ってる奴の方が酷いと思うんだけど」


 私はそいつに剣を向けてこう言った。こいつは背中に大きな剣を背負っている。それと、私が殺意を放ってもこいつは動じない。かなりの強者だ。


「さて、私に向かって敵意を放っているようだね……なら、やるしかないようだ」


「御託はいいからさっさとかかって来なさいよ。そのデカブツの剣で勝負するつもりなら、止めた方がいいわよ」


「そんなことはしないさ。こいつが私の相棒なのでね」


 奴はそう言って私に迫ってきた。走る速度はかなり早い。あっという間に私との距離を詰めてきた。


「エクスさん! バリアを張るので……」


「バリアを張る時間はない! 避けるわよ!」


 私はティノちゃんを抱きかかえ、横に飛んだ。奴が大剣を振り下ろし、その衝撃で私たちは吹き飛んだ。


(エクス! ティノ! 大丈夫か!)


(何とか大丈夫です。デリートボンバーを作る部屋だから、何かあってもいいように強い奴を待機させるって敵は考えているって話していましたが、その予想が当たったみたいです)


 私は立ち上がりながらヴァーギンさんにこう言った。そして、ヴァーギンさんを鞘から抜いた。


(俺を使うのか?)


(はい。こいつはかなりの強敵です。速攻で勝負を付けます)


 ヴァーギンさんにこう言うと、私は魔力を解放して奴に向かって走って行った。走る速度ならこっちも早い。そう思って奴に接近したが、奴は私に向けて大剣の刃先を向けていた。


「予想できる動きだ」


「ならこれは予想できるかしら?」


 と言って、私は思いっきりヴァーギンさんを振り下ろして奴の大剣を傷つけた。だが、奴の大剣は傷付かなかった。


「かなり頑丈な剣ね。盾を素材にして作ったの?」


「私用に思いっきり分厚く頑丈になるように作らせたのさ」


 奴との会話を終え、私と奴は後ろに下がった。奴は大剣を構え、口を開いた。


「私の名はイアラーゴ。このデリートボンバー製造部屋の護衛だ」


「私の名前は言わなくても分かるわよね?」


「私たちの怨敵、エクス・シルバハートだな。鬼のような強さだと聞いていたが、まだ小娘じゃないか」


「そこだけ予想を外したわね」


「そのようだ。さて、話はこれで終わりにするぞ。君と遭遇したら、必ず始末しろと上から言われているからね」


「私も有名人になったわね」


「悪い意味での有名だけどな」


 イアラーゴはそう言って、私に向かって大剣を振り下ろしてきた。その時、私は奴から魔力を感じた。この魔力は火。デリートボンバーを守ると言っても、火を使ったらダメだと思う。火種がどこかに着火して、ボン! なんてこともあり得るだろうに。


「どうして私がデリートボンバーのある部屋で、火を使うか疑問に思っているようだね」


「ご名答。あんた、自分で自爆するつもりなの?」


「これでも長年戦って来て、魔力の技術を磨いたのさ」


 奴がそう言うと、私は目の前を見た。小さな火の刃が私に向かって飛んで来ていた。私はヴァーギンさんを振るって弾き飛ばそうとしたが、ここには危険な薬品や火薬がたくさんあると思い出し、すぐにこの攻撃をかわした。


「ふぅ……危なかった」


 私は壁を貫いて飛んで行く火の刃を見て安堵の息を吐いた。だが、安心している場合ではない。奴は大きな武器を使うが、魔力に関しては繊細な技術を持っている。それに、小さな火の刃でも壁を貫くほどの威力がある。なるほど。大きさイコール威力と言う考えは持っていないようだ。


 奴の攻撃方法は分かったけど、どうやって倒すかが問題だ。奴は狭い空間で自由自在に大剣を動かすことができ、魔力の技術も素晴らしいものだ。うーん。予想外の強敵が来ちゃったなー。私はそう思いながら、イアラーゴの方を見た。奴は私が隠れている場所を察知し、飛び上がって来た。


「隠れても無駄だぞ」


「人を見つけることも楽にできるのね。見た目に反して、かなり感も鋭いわねー」


 私はそう言って、奴の攻撃をかわした。この隙に攻撃……とは考えない。奴は私が攻撃を仕掛けると考えていて、反撃の構えをとっている。


「反撃が来ると察して何もしないのか。君も感がいい方じゃないか」


「とりあえずお褒めの言葉で受け取っておくわ」


 私はため息を吐きながら奴に言葉を返した。私が苦戦していることを察してか、奴はにやけ顔になった。


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