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アジトの頂上へ


 アチーナさんは援軍のエンカたち、ギルドの戦士たちに任せ、私とティノちゃんはジャッジメントライトのアジトへ入った。私とティノちゃんのコンビプレイで多数の雑魚は倒すことができたが、まだまだ雑魚は存在する。


「一気に上の階まで行きたいわね。ここってエレベーターとかないのかしら?」


「うーん、それらしい物は見当たりませんね」


「雑魚と戦っていたら時間の無駄だし……うーん。雑魚の相手は面倒だなー」


 私がこう言うと、ヴァーギンさんが話しかけた。


(どうあがいても奴らはエクスたちを追ってくる。仮にエレベーターがあっても、いずれ奴らはエクスたちがエレベーターを使っていることを知り、各階に止めて襲うだろう)


(そうですね。そうなるのなら、雑魚を蹴飛ばしながら先に進んだ方が早いですね)


(近道はないようですね。なら、戦うしかありません。私、覚悟を決めました)


 どうやらティノちゃんが雑魚を相手に奮闘することを覚悟したようだ。面倒だけど、私も気合を入れて雑魚の相手をしないと。


 その後、私とティノちゃんは上の階へ向かった。階段を歩く中、上から雑魚共が現れて私とティノちゃんに襲い掛かった。


「キェェェェェ!」


 変な奇声を上げながら、上から奇襲してくる奴が現れた。私はそいつの顔面に右の拳を入れ、少し離れた床の上へ向かって殴り飛ばした。


「ねぇ、逃げた方がいいわよ。あんたらじゃあ私の相手にはならないし、斬った時に吹き飛ばして真っ逆さまに落ちて死んじゃったら私、気分が悪くなるから」


 私は雑魚共にこう言ったが、この言葉が逆に奴らの闘志に火を付けてしまったようだ。


「そんな脅しが私たちに通じるか!」


「ふざけるなよエクス・シルバハート! 私たちの底力、貴様に見せてやる!」


「念仏を唱えるんだな、エクス・シルバハート!」


 あーあ、せっかく忠告してあげたのに、奴らは私に向かって牙を向いた。こうなったんじゃあやるしかない。


「忠告はしたわ。忠告を聞かなかったあんたらが悪いんだからね」


 私はそう言って、襲ってくる雑魚共に向かって剣を振るった。攻撃を受けた際の衝撃で、奴らは宙を舞った。大半の雑魚は階段に落ちたり、少し離れた床の上に落ちたのだが、一部の雑魚は真っ逆さまに落ちようとしていた。


「た……助け……」


 このままではあの雑魚が死ぬ。そう思った私は反射的に手を伸ばしたが、その手は届かなかった。だが、落ちようとしていた雑魚の体が宙に浮いていた。


「あ……あれ? どうして? 落っこちない」


「落ちそうな人は私が助けます。エクスさん、安心して暴れてください」


 どうやら、ティノちゃんが落下しようとした雑魚を魔力の風を発して浮かしていたようだ。流石ティノちゃん。


「さーてと、これでも私たちとやりあうつもりなの?」


 私は腕組をして雑魚共にこう言った。雑魚共は私の言葉を聞き、悲鳴を上げて逃げて行った。さて、これで楽に先に進めるぞ。




 私が雑魚を相手に暴れたおかげで、上の階から雑魚が来ることはほぼなくなった。私に敵わないことを察して逃げたのだろう。だが、上から強い魔力を感じる。興味本位で私と戦いたいのか、それとも腕に自信があるのか……まぁ、何を考えているのかどうでもいいが、相手となるなら戦うだけだ。


 私とティノちゃんは階段を登り切った。だが、まだ上の階が存在する。


「どこかの部屋に階段があるようね」


「変な造りの建物ですね」


「奴らがここをアジトにする前は、どこかの国が作った砦だったと思うのよ。敵を惑わすため、ちょっと意地悪な造りになってると思うのよ」


「へー。そこそこ考えますね」


「攻め込んだ敵にあれこれされるよりも、敵を惑わしてその隙に叩くって考えがあるのよ」


 私とティノちゃんは変な造りのこの砦のことを話しながら部屋を調べて行った。


「ここは?」


「ベッドがたくさん。寝室みたいですね」


「次はここね。うっ、臭い!」


「トイレですかここ? うげぇ、ちゃんと掃除していない!」


「ここは……うーわ……」


「休憩室……にしてはエロ本やエッチな道具がたくさん置いてありますね……」


「野郎しかいないのかしら、このアジトには?」


 私は少しうんざりしながら次の部屋の扉を蹴り飛ばした。部屋の中には大量の剣や槍、盾などの武器があった。調べてみると、安物のアサルトライフルと弾丸が大量にあり、火薬の材料がたくさん置いてあった。


(武器庫代わりにこの部屋を使っているようだな。この材料は……簡易的な爆弾の元だな)


(デリートボンバーが使えない時に使うかもしれませんね。それよりも、いろんな道具がありますね)


(似たような部屋があるかもしれない。もしかしたら、デリートボンバーを作る部屋もあるかもしれないな)


(可能性がありますね。騒動が終わった後、もう一度このアジトを調べてみましょう。その前に、剣を拝借)


 私は奴らが使う剣を取り、鞘から抜いた。それなりの手入れはされているようだけれど、多少錆が残っていて、数回使ったら壊れるだろう。


「エクスさん、もしかしてこんな粗末な剣を使うつもりですか?」


「そのつもり。一流の剣士はどんな剣を使っても敵を斬るって教えてもらったの。この剣もあと数回使えば刃が壊れるけど、上手く使えば寿命を長くすることができるわ」


 私はそう言いながら、四本の剣を手に入れた。その他にも何か使える物があれば貰っておこう。そう思い、私は周囲を見回した。だが、武器庫にはこれ以上貰っても得をする物がないと知り、別の部屋へ向かった。


 その後、私とティノちゃんは部屋を調べ終えた。大半がジャッジメントライトの戦士の寝室や武器庫だったが、少しだけ得をする部屋があった。それは食糧庫。


「ふぃー、後は貰えばいいでしょう」


「少し、食べすぎましたね」


 私とティノちゃんは少しお腹が空いていたため、奴らの食料を食べていた。いかれた犯罪者に食われるより、私たちに食べられた方が食材も喜ぶ。そう思っていると、雑魚の一部が食糧庫に入ってきた。


「あっ! お前はエクス・シルバハート! もうこの階まで到達していたのか!」


「おいちょっと待て、あ! こいつら、俺たちの食料をほとんど食ってやがる!」


「本当だ! チクショウ! 俺の大好物のチョコレートバーも食われてる!」


「ごちそーさん。それじゃーねー」


 私はショックを受ける雑魚にこう言って食糧庫から出ようとしたが、奴らが背後から襲い掛かって来た。が、あっという間に返り討ちにした。


「ご飯食べてそれなりに元気が出たわ。あとは、階段を探しましょう」


「ですね。ん……そうか」


 何かに気付いたティノちゃんが、食糧庫で倒れている雑魚に近付いた。私は雑魚がティノちゃんに悪さをしないよう、急いでティノちゃんの元へ駆けつけた。


「教えてください。あなたたちはどこから来たんですか?」


 と、ティノちゃんがこう聞いた。雑魚の一人は反抗的な態度をしてこう答えた。


「教えるかよ……」


「教えなさい。教えないと頭がぶっ飛ぶわよ」


 私は奴の首に剣の刃を押し当てながらこう言った。奴は悲鳴を上げながら口を開いた。


「教えます! この階の奥に次の階へ向かう階段があります! 私たちはそこからこの階まで来ました!」


「上の階には何があるの?」


「アジトの責任者、イーハツさんの部屋と、デリートボンバーを作る部屋です! それと、イーハツさんが頼りにしている戦士の部屋もあります! 私が知っているのは、これだけです!」


 と、雑魚は泣きながらこう言った。どうやら、この雑魚は嘘を言っていない。真実だ。とすれば、この上の階にアチーナさんを殺そうと企んだ奴がいて、デリートボンバーを作る部屋があるってわけか。さて……この騒動も終わりが近付いて来たわね。


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