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援軍到着


 アジトの入口にいた雑魚共は全員私が対処した。これでしばらく安心できる。私はヘリの中に戻り、ティノちゃんの様子を見た。


「あ、エクスさん。あれだけの人数を一人で何とかするなんて、本当にすごいです」


「ティノちゃんもすごいわよ。一人で強いバリアを張ってアチーナさんを守っているんだから」


 私は少しだけ疲れた表情をしているティノちゃんにこう言った。長い時間、硬度の高いバリアを張るには、それなりの魔力と技術、根性が必要だ。他のギルドの戦士がへばっている中、ティノちゃんは一人でバリアを張り続けていた。


「とりあえずバリアを解除してもいいわよ。しばらく奴らは来ないと思うから」


「分かりました……疲れました……」


 ティノちゃんはそう言うと、張っていたバリアを解除した。それと同時に、その場に座り込んだ。ギルドの戦士がティノちゃんを支えたおかげで、倒れずに済んだ。


「少しティノちゃんを休ませてあげて。それとあなたたちも根性を入れて。もし、敵の援軍が来たらあなたたちがバリアを張るんだから」


「分かりました。ですが、エクスさんはどうするのですか?」


「まさか、援軍が来ても一人で対処するつもりですか?」


 ギルドの戦士がこう聞いた。もちろん一人で対処するつもりだ。


「そうよ。一人でどうにかなる相手だから大丈夫よ」


「いやいや、相手は多数ですよ。もしかしたら、さっきより多い人数で攻めてくる可能性もあります」


「さっきの雑魚共の相手は準備運動にもならなかったわ。雑魚がいくら集まっても所詮雑魚。私の相手じゃないわ」


「ですが……」


「あなたたちは自分のするべきことに集中して。まだ敵の援軍は来ていないから、もう少し休んでいなさい」


 私はそう言うと、アチーナさんの方を向いた。アチーナさんは心配そうな顔をして私を見ているが、安心させるために笑顔を作った。


「私のことは気にしないでください。私の予想ですが、ギルドの方も援軍が来るかもしれないので」


「私もそう思うが、君の体が心配だ」


「あははははは! 気にしないでくださいって言ったじゃないですか。雑魚の相手なんて秒で終わりますって!」


 私は笑いながらこう言った。多数の敵を倒したにも関わらず、余裕の態度をとっている私を見て、ギルドの戦士もアチーナさんも驚いていた。そんな中、後ろから魔力を感じた。どうやら、いい方向に状況が動いたようだ。




 私は外を見て、ギルドの援軍が到着したことを自分の目で確認した。ギルドの戦士たちは剣や槍の他にも、アサルトライフルやスナイパーライフルなどの銃も持っていた。しばらくすると、隊長らしき人が私に近付いて敬礼した。


「お疲れ様です! アチーナさんと他のギルドの戦士は無事ですか?」


「無事よ。あのヘリの中にいる。中に敵もいるけど、私が倒して戦意とプライドをボッキボキにへし折ったから気にしないで。そうだ、余裕があったらそいつらを確保して」


「分かりました。おい一班、私と共にヘリの中に行くぞ」


 その後、一班と呼ばれた戦士たちがヘリの中に乗り込み、アチーナさんの安全を確保し、中にいたラペローラのおばさんたちを捕まえた。


「さて、とりあえずあとは中にいる連中だけか」


 私は背伸びをしながら奴らのアジトを見た。改めて見るとまぁ立派な建物だ。ピアノタワーよりも小さいが、塔のように大きいため、それなりに迫力はある。黒幕は多分アジトの最上階にいる。バカは高い所が好きと言う言葉を聞いたことがある。まさにその通りだ。自分が偉いと思って、高い所から見下す様子はバカと言ってもいいだろう。そう思っていると、エンカが私に近付いた。


「俺も行く。あの塔の中にふざけた野郎がいるんだろ?」


「多分ね。でも、あんたは来ないで。足手まといになるから」


 私がこう言うと、エンカは怒りの声を発した。足手まといと言われたら怒るのは当たり前だけど、本当のことだ。


「ふざけんな! お前一人で行くつもりか!」


「そのつもりよ。あの周りで倒れている連中も私一人でやったし」


 と、私は周囲で倒れている雑魚をエンカに見せつけた。エンカは目を開けて驚き、言葉を失っていた。私はあくびをしながら、エンカにこう言った。


「あんたはアチーナさんを助けてやって。それと、ティノちゃんの保護もお願い」


「おいおい、本当にお前一人で行くつもりか?」


「そのつもりって言っているじゃない。早くして。でないと、奴らの援軍が来るわよ。逃げるなら今しかないわ」


 私がそう言うと、ヘリの中からティノちゃんが現れ、私に近付いた。


「私も行きます。エクスさんのブレーキ役として、付いて行きます」


 ティノちゃんを見たエンカは、驚いた表情を見せた。そして、私の方を見てこう言った。


「このチビも行くなら俺も行く」


「誰がチビですか!」


 ティノちゃんは怒りながらエンカを殴った。私はため息を吐き、ティノちゃんにこう言った。


「それじゃあティノちゃん、私と一緒に来て。エンカ、あんたはアチーナさんをお願い」


 この言葉を聞いたエンカはギャグマンガのようにずっこけた。


「何で俺はダメなんだよ!」


「ティノちゃんは私の相棒だから。ティノちゃんの方があんたより信頼できるの」


「クソ! こうなったら、何が何でもお前について行くからな!」


 と言って、エンカは無理矢理私とティノちゃんの後をついて行こうとした。だが、私はエンカをギルドの戦士たちがいる方に向かって蹴り飛ばした。


「イッテェェェェェ! 本気で蹴らなくてもいいじゃねーか!」


「この程度の蹴りで痛みを感じるのはまだ弱いってことよ。あいつらは本気で私たちを殺しに来るわ。命の取り合いをあんたはできる?」


 私の睨むような目を見て、エンカは返す言葉を見つからないようだ。エンカは大人しくうつむき、下がって行った。


「それじゃあ行くわよ、ティノちゃん。体力は回復した?」


「ばっちりです。ヘリの中でチョコバーを食べたので、魔力の補充は完璧です」


「上等! じゃあ行ってくるわ! アチーナさんをお願い!」


 私はギルドの戦士にこう言って、ティノちゃんと共に奴らのアジトへ入って行った。




 アジト入口、私は扉を蹴り飛ばしてアジトに入った。


「普通、こういう時って慎重に行動すると思いますが」


「わたしたちがいるってこと、奴らは把握しているわ。どんな手を使って中に入っても、結局ばれるから意味ないわ」


 ティノちゃんは倒れている扉を見て、私にこう言った。私は笑って言葉を返すと、目の前を見回した。おー。いるいる。武器を持った無数のジャッジメントライトの戦士共が。


「あいつら、正面から入って来たぞ」


「数は……二人? この人数相手に二人で戦うつもりなのか?」


「待て、アイツはエクス・シルバハート! 入口にいた連中を一人で倒したのか!」


「そのようだ。クソッ! あいつのせいでどれだけ私たちの仲間が犠牲になったのか……」


 などと、奴らの嘆く声が聞こえる。だが、悪党の嘆きなんて聞いても価値がない。私は前に飛び出し、近くにいる奴らから斬りまくった。


「ギャアアアアア!」


「こいつ! 我々が身構える前に!」


「戦う前に一言二言話すのが普通だろ!」


 奴らは斬られながら何か言っているけど、これは戦い。敵を前にしてボーっと突っ立っている方が悪い。


「あんたらが普通を語るんじゃないわよ! あんたらは悪の道に入った腐れ外道! もし、私と対等に話がしたかったら、これまでの罪を償いなさい!」


 私がこう言うと、左手の方にいた三人の敵が私に銃口を向けた。


「異常なのはお前だ、エクス・シルバハート!」


 と言って、奴らは一斉に私に向かって銃を撃った。だが、ティノちゃんが私の足元から氷の台座を発し、押し上げた。これのおかげで、私は弾丸を受けなくて済んだ。


「エクスさん。このまま奴らを倒してください」


「オッケー! それじゃあ任せなさい!」


 私はティノちゃんに向かってニヤリと笑い、剣を氷に突き刺した。剣が氷に突き刺さった瞬間、氷にひびが入り、ジャッジメントライトの戦士共に向かって氷の粒が飛散した。


「うわっ!」


「ギャアッ!」


「イッテェ!」


 氷の粒が飛んで行く速度は弾丸とほぼ同じ。これを受ければそれなりにダメージを受けるだろう。ティノちゃんの策のおかげで、ほぼ半数の敵を倒すことができた。残り半分。相手は雑魚だし、ササッとやっつけて奥へ進まないと!


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