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アジトへ攻め込み


 予想はしていたけど、奴らはアチーナさんを連れ去り、自分たちのアジトで始末しようと企んでいた。だけど、そこに予想外のお客さんがいるとはアジトにいる連中は思ってもいないだろう。


 しばらくヘリは空を飛んでいたが、急に落ちるような感覚を覚えた。降下中だね。


「ティノちゃん、他の戦士さん。しばらくしたら敵のアジトのど真ん中よ。気合を入れてアチーナさんを守って」


「エクスさんはどうするんですか? まさか、一人で攻め込むつもりですか?」


「そのつもり。ま、アチーナさんがヘリでどこかに逃げたってことをギルドは知っているだろうし、今頃私たちの後を追っているわ。とりあえず、援軍が来るまで耐えて」


「分かりました。そのつもりで頑張ります」


 ティノちゃんの意を決した顔を見て、私は笑顔で答えた。


 数分後、ヘリコプターは完全に着陸した。窓を見ると、ジャッジメントライトの紋章が入った盾を持っている大群がこちらを見ている光景が見えた。こっそり見たから、奴らは私の存在に気付いていないだろう。


「い……今、開けますね」


 と、パイロットの怯える声が聞こえた。その言葉を聞いたラペローラのおばさんは、慌てながら叫んだ。


「バカ! このまま開けたらエクスが飛び出るだろうが!」


「すみません! もう扉を開くボタンを押してしまいました!」


 さて、戦いの幕が開いた! 扉が完全に開く前に、私は剣を持って外に飛び出し、前にいた数人に向かって剣を振るった。


「なっ! ギャア!」


「何が起きた!」


「分かりません! 気づいたら斬られていました!」


 私の存在を知らない奴らは、いきなり攻撃されてかなり慌てている。面白い光景だ。だが、そんなことを思っている場合ではない。奴らが私の存在に気付くのも、時間の問題だ。


「なっ! お前はエクス・シルバハート!」


「ヘリコプターの中にいたのか! なんてことだ!」


「皆の者! エクス・シルバハートを始末するのだ!」


 おっと。やっと奴らが私の存在に気付いたようだ。私は武器を持ったジャッジメントライトの戦士共に向かって、かかって来いとジェスチャーした。それを見た戦士の一人が、槍を持って私に近付いてきた。


「私の名はヤラレータ! お前をこの槍で突き刺してやる!」


 と言って、ヤラレータは私に向かって槍を何度も突いた。だけど、こいつの槍の技はすぐに見切ることができた。槍の技に関して自信はあるようなことを言っていたが、実力はど素人だ。


「そんなんじゃあ私を貫くことはできないわよ、ど素人さん」


 私はそう言って奴の両手を斬り落とした。その時、後ろから四人の男が襲い掛かった。


「私の名はマーケタ!」


「我の名はハイボック」


「僕はクロボッシー」


「そして俺はマケフラグ! 俺たち四人のコンビネーション、受けるがいい!」


 奴らはそう言って私と取り囲み、魔力を解放した。奴らから感じる魔力は水。奴らは周囲に水を張り、私を氷漬けにするつもりだろう。だけど、私より魔力は劣っている。


「四人でかかってきて、それでこの魔力? 弱すぎるわよあんたら。せめて四人で挑むなら、あっという間に私を凍らせないと意味がないわよ」


 私は魔力を解放し、奴らを吹き飛ばした。そして、近くにいた奴から順に斬った。


「そんな……マーケタたちが簡単にやられた」


「ヘリコプターの中にも仲間がいるぞ。だけど……全員戦意を失ってる」


「おいおい、ラペローラさんは大きな傷を負ってるぞ。これもしかして……全部エクス・シルバハートが一人で……」


 どうやら、私が戦っている時に他の連中がヘリコプターの中に入ったようだ。それで、中の惨事を目撃した。私はため息を吐き、そいつらに近付いて剣を振るった。攻撃を受けた奴は私を睨んだが、私はそいつの眼先に剣先を向けた。


「中にはあんたらより偉い人がいるの。その人に傷一つでも付けたら……あんたらを細切れにするわよ」


「ヒッ! ヒィィィィィ!」


 そいつは腰が抜けた状態で後ろに下がって行った。動けない状態だが、何が何でも私から逃げたいという気持ちがあったのだろう。そんな奴を無視してもいいんだけど……今はそんなことを考えている場合ではない。少しでも多く周りの雑魚の数を減らし、相手の戦力を落とさないと。




 ヘリコプターが着陸して数分が経過した。私は目に入る雑魚を片っ端から斬り倒し、何とか数えるまでの人数に減らすことができた。残りの敵の数は十一人。うん。この調子で残りを倒そう。


「そんな……あっという間に私たちの仲間が……」


「エクス・シルバハート。噂通りとんでもない化け物だ……」


「クソッ! あいつを止める方法はないのかよ!」


「残念ながら、ないんだよねぇ」


 私は素早く移動し、話をしていた三人を斬り捨てた。残り八人。


「うおおおおお! こうなったらやってやるぞ!」


「俺もだ! やられる前にやっちまえば問題ない!」


 別の二人が私に向かって走り出した。私は二人の攻撃をかわし、素早く剣を振るって奴らの両足を斬り落とした。一人はその場に倒れて苦しそうな声を上げだしたけど、もう一人は片足で立ち、私を睨んだ。


「足一本失っただけだ……まだお前を殺すことはできる!」


「その根性だけは認めてあげるわ。でもね、そんな傷で人を倒すのは不可能よ」


 私は剣を振り、そいつの両腕を斬り落とした。これでもう戦えないだろう。残り六人。


「ど……どうする? あっという間に五人がやられたぞ」


「俺たちでエクスを倒すことができるんですか?」


「やってみなければ分からない。だが、無暗に動くと腕か足を失う」


「目的を見失うな。私たちの目的はアチーナの粛清。エクス・シルバハートのことは無視して、アチーナを狙うぞ!」


 奴らは私よりもアチーナさんを倒そうと動いた。そうはさせるか。私は剣から衝撃波を発し、敵の一人の両腕を斬り落とした。残り五人。


「グッ! 俺が奴を食い止める! 他はアチーナを狙え!」


「了解!」


 どうやら、一人が私の前に立ち、残りの四人がアチーナさんを狙うようだ。私は急いでアチーナさんの所へ行こうとしたが、目の前にジャッジメントライトの戦士が現れた。


「覚悟しろ、我らが怨敵!」


「あんたは覚悟が決まっているようだけど、結局は実力で決まるもんなのよ。あんたの腕じゃ、私の足止めはできないわ」


 私は目の前の戦士に向かって剣を振り、両腕両足を斬り飛ばした。残り四人。そいつらはヘリコプターに向かって走っていた。奴らが持っているのは安いアサルトライフル。ティノちゃんのバリアでも防げるが、発射した弾丸がヘリの変な所に命中し、大爆発する可能性もある。最悪の事態にならないよう、動かないと。


 私は魔力を解放し、奴らより先にヘリコプターの前に到着した。


「うわっ! そんな、目の前にエクスがいる!」


「クソッたれ! 奴を撃ち殺せ!」


 奴らは私に向かってアサルトライフルを乱射した。弾丸は私に向かって飛んできたが、私は剣を回して飛んでくる弾丸を全て斬り落とした。


「な……あ……」


 なんて情けない声だろう。奴らは斬られる弾丸を見て口と目を大きく開けて情けない顔になっていた。そんな中、奴らの一人が何度も引き金を引いていた。


「クソッ! もう弾がない!」


「俺もだ。リロードするぞ!」


「バカ野郎! そんな暇があるわけないだろう! あのエクスがそんな時間を与えるわけがない!」


「その通り。私はそんなに優しくない」


 私は奴らの前に移動し、剣を振り上げていた。奴らは私から逃げようとするが、そんなことはできなかった。奴らが動く前に、私は剣を振るったのだ。


「一応、これであんたらは全員動けないわね」


 私は倒れる戦士に向かってこう言った。これで、アジト入口にいたジャッジメントライトの戦士共は全員倒れた。一応安全にはなったが……私の準備運動にはならなかった。


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