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空の上での大乱闘


 どうやら奴らは多数で私に挑むようだ。ラペローラのおばさんは強いが、他の連中はそうでもない。私は力の差があっても私に戦うのかと思って呆れていたが、大きな揺れを感じた。


「ん? なんかあったかな?」


「大変ですエクスさん! ヘリコプターが動き出しました!」


「奴らの仲間が、パイロットを脅しているのだろう! 気を付けろ!」


 ティノちゃんとアチーナさんの慌てる声が聞こえた。こんな状況の中でヘリを動かせと奴らは命令したのか。まぁ、雑魚やおばさんをさっさと片付けて着陸させるしかないわね。


「さ、状況が状況だし、ささっとやるわよ。私に斬られても、文句言わないでね」


 私はそう言って雑魚の群れに近付き、素早く剣を振るった。この攻撃で五人の雑魚の両腕を斬り落としただろう。


「な……え?」


「嘘……早い」


 斬られた雑魚は私の動きに驚き、目を開けていた。だが、その直後に斬られた後の激痛を感じたのか、悲鳴を上げた。


「もう逃げ場はないぞ。戦うしかない!」


「戦うしか選択はない! 腹くくれ!」


「やけくそだ! いざとなったら道連れだ!」


 雑魚共はやけくそ気味に私に襲い掛かった。だがまぁやる気はあっても所詮雑魚。武器の使い方がなってない。その上、この状況を理解していない。狭い空間の中、大きく武器を振り回すと仲間に当たるのに。


「バカ野郎! 斧を振り回すな!」


「仕方ねーだろ! 狭いんだから!」


「いだァァァァァ! 誰だ、俺のケツに矢をぶち込んだのは!」


「邪魔だよ前の奴ら! エクスの奴を狙えねーだろうが!」


「おわっ! 槍を振り回すなバカ野郎!」


「仕方ねーだろ、これしか武器を持ってないんだから!」


 あーあ。雑魚共が言い争いを始めちゃったよ。私は呆れながらこの光景を見ていたが、ラペローラのおばさんが魔力を解放した。


「あんたらいい加減にしなさい。黙らないとあんたらを殺すわよ!」


 威圧を発しながら出す声にはそれなりに迫力はあった。雑魚共はおばさんの声を聞いて冷や汗を流している。


「雑魚をまとめるのにも大変ねぇ」


「あんたに言われたくないわよ」


 おばさんは私の方を振り向き、ナイフを投げた。私は魔力のバリアを張ってナイフを身から守り、そのままバリアを発射した。


「何! バリアを飛ばしただと!」


 あのおばさんは私がバリアを放つことを考えていなかったのだろう。かなり動揺していた。その隙に私はおばさんの背後に回った。


「ラペローラさん! あいつが後ろにいます!」


「何!」


 おっと、雑魚の一人が私の存在をおばさんに知らせた。隙を見ておばさんの腕か足を斬り落とそうとしたんだけど、これは無理だ。おばさんは私の方を振り向きつつ魔力を発したナイフを振るっていた。さっきのようにナイフの周りに水が発している。凍らせて攻撃することも可能か。


「仕方ないわね」


 私はそう呟くと、攻撃の目標をおばさんが持つナイフに変え、右手に持つ剣を振るった。おばさんは攻撃の狙いがナイフであることを察し、すぐに水を凍らせて私に反撃をしてきた。そう来ると考えていたわ。私は左手にナイフを持ち、おばさんの腹に向かって投げた。


「なっ!」


 私がナイフを投げて攻撃するなんておばさんは考えていなかったのだろう。ナイフが刺さった時にかなり驚いた表情をしていた。


「あ……あんた……武器は剣だけじゃ……」


「ナイフも使うわよ。狭い場所で戦う時に使っているけど、今回のように投げて使う時もあるわ」


 私は血を吐くおばさんに近付き、無理矢理ナイフを引き抜いた。ダメージは与えられないだろうと私は考えていたが、その予想は外れていた。ナイフはそれなりに深く刺さり、おばさんが動けない程度にダメージを受けていた。


「で、これで終わり? 一応言っておくけど、これ以上治療せずに戦ったらあんたは死ぬわよ」


「ぐ……うう……」


 おばさんは私を見て悔しそうに唸り声を上げ、そのまま項垂れた。周りの雑魚は私を睨んでいたが、私が睨み返すとすぐに大人しくなった。




 とりあえず戦いは終わった。だが、ヘリはまだ空の上。アチーナさんの安全が確保できる場所に着陸させないと。私は操縦席に向かい、扉を開けた。


「おーい、パイロットさーん。どっか安全な場所に移動してー」


「いえ……それは……」


 パイロットは震えながら私の問いに答えた。何かあったのだと私は察し、周りを見た。パイロットの近くには銃を持ったジャッジメントライトの戦士がいた。そうか、こいつがパイロットを脅して無理矢理ヘリを動かしたんだな。


「お前はエクス・シルバハート! まさか、ラペローラさんがやられたのか!」


「まぁそんな感じね。これ以上あんたらが頑張っても無意味だから、すぐにパイロットさんを開放しなさい。でないとあんたを斬るわよ」


 私が剣を抜くと、ジャッジメントライトの戦士は持っていたアサルトライフルの銃口を操縦士のこめかみに当てた。


「動いてみろ。こいつがどうなってもいいのか!」


「ひ……助けてくださァァァァァ!」


 いつものパターンだ。パイロットを人質にして私を脅したつもりだろう。


「別にどうなってもいいわよ。このパイロットが実はジャッジメントライトの人間でしたーって可能性もあるかもしれないし」


「は……はぁ!」


 私の言葉を聞き、ジャッジメントライトの戦士もパイロットも驚いた表情をした。その隙に私は素早くジャッジメントライトの戦士に接近し、奴の両腕を斬り落とし、奴を蹴り飛ばした。


「ざーんねん。そこで倒れていなさい」


 私は気を失ったジャッジメントライトの戦士に向かってこう言った。その後、怯えるパイロットをなだめてこう言った。


「で、今すぐ安全な場所に避難して」


「それが……できません。あいつらの中にヘリコプターの操縦が詳しい人がいて、その人がコクピット内にあるコンピューターを操作していました!」


「操作? じゃあ今は……」


「オートパイロットです。今、このヘリは自動で動いています」


 ふむ。少々予想外の展開になったぞ。奴らは自動操縦でこのヘリをどこまで飛ばすつもりなのだろう。考えられるのは、奴らのアジト。アマデウス公園でアチーナさんを捕まえられなかったから、第二の計画としてアジトに連れ去ってそれから殺すって考えたのかしら。まぁ、あれこれ考えても答えは見つからない。自動操縦だから、後でどんな場所に到着するか分かる。


「とりあえず今は落ち着いて。もし、ヘリコプターがどこかに着陸しても、絶対に外に出ないでね。危険だから」


「は……はい」


 と、パイロットは怯えた様子で返事をした。その後、私はティノちゃんたちがいる場所に戻り、このことを伝えた。


「自動操縦でどこかに向かっているのですか。一体どこへ向かうのでしょうか?」


「考えられるのは奴らのアジトね。今、アチーナさんがいるから、アジトで始末するつもりなのよ」


「なんだかすごい手間だと感じますが……」


「ジャッジメントライトって頭のネジがぶっ飛んだ自称正義野郎の集まりだから、変なことでも考えていると思うわ」


 私はティノちゃんにそう言うと、ヘリコプターがどこかに着陸するまで昼寝でもしようと寝ころんだ。だが、ナイフが刺さった場所に包帯を巻いているラペローラのおばさんがこう言った。


「私に勝ったご褒美で教えてあげるわ。このヘリコプターが向かっているのは私たちのアジトの一つ。ジャッジメントライトの存在を反対するアチーナをそこで始末すれば、士気が上がるからね」


「教えてくれてありがとね。でも、あんたらはアチーナさんを始末することはできないよ。私が必ず守るからね」


 私はおばさんに向かってこう言った。何か言いたそうな顔をしたおばさんだけど、しばらくして小さく笑った。


「余裕を持つのは今のうちよ。きっと、あなたはいずれ私たちと戦ったことを後悔する」


「刑務所から出所して帰る場所がないからって言って泣かないでよね」


 私はおばさんに対し、小さく笑ってこう言い返した。


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