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ただひたすら、己の目的のために


 ジャッジメントライトの戦士共は私に斬られる覚悟で戦いに挑むようだ。戦士たるもの、敵には背を向けず突っ込んで戦わないと。


「うおあァァァァァ!」


「エクス・シルバハート! ここがお前の死に場所だ!」


「覚悟しろォォォォォ!」


 奴らは叫び声を上げながら私に迫ってきた。バルンシとの戦いがあったから、私が疲れているとでも思っているのだろう。だが甘い。私はあの時、本気を出して戦っていなかった。なので、体力も魔力も十分に残っている。そんな私を相手に戦ったらどうなるか、教えてあげないといけないわね。


 私は奴らの攻撃をかわし、後ろに下がった。奴らは私を睨んでおり、何が何でも一発攻撃を当てるつもりだ。さっきの攻撃をかわして分かったことがある。やはり、あいつらは私の敵じゃない。


「鬼さんこちら。私はここよ」


「貴様……ふざけやがって!」


 戦士の一人が声を荒げながらこう言った。簡単な挑発に引っかかるなんて。精神がまだおこちゃまね。


「うォォォォォ! お前を殺してやる!」


「分かったわ。無駄だと思うけどやってみなさい」


 私は迫ってくる戦士に向かってこう言った。あいつは私を殺すことしか頭がなくて、今の言葉が聞こえていないだろう。ひたすら声を出して迫って来た。そんな状態で私を倒すことなんてまず不可能。私は奴の攻撃をかわし、剣を振るった。剣を振る音で奴ははっとした表情で私を見たがもう遅い。奴の両手は地面に落ちた。


「なっ……ぐあああああ!」


「次は誰が斬られたいの?」


 私は剣を構えて奴らにこう言った。少々奴らは後ろに下がったが、すぐに私に向かって一斉に走り出した。


「数の力で攻めても、どうしようもないってことがあるのに」


 迫ってくる敵の大群を見て、私は小さく呟いた。


(かなりの人数だが、相手にできるのか?)


(はい。全員倒さなくても、半数ぐらい倒せば奴らの戦意が落ちると思います)


(そうだな。じゃあ頑張れよ、エクス)


 ヴァーギンさんも少し心配していたようだ。だが、私の腕を信じているようだ。それに応えないといけないね。


「隙あり!」


 後ろから斧を持った戦士が私に襲い掛かった。私は素早く攻撃をかわし、反撃で剣を振るってその戦士の右肩を斬り落とした。鮮血が舞う中、私は奴の近くにいた二人の戦士に接近した。


「う……うわっ!」


「いつの間に!」


「油断していると、足か腕がなくなっちゃうわよ」


 私はそう言って二人の戦士の腕と足を斬り落とした。悲鳴を上げながらその戦士は倒れたが、背後から別の三人の戦士が飛び上がりながら襲い掛かって来た。


「三人同時に襲い掛かればどうしようもないだろう!」


「これで避けられるもんなら避けてみやがれ!」


「覚悟しろ、我らの敵!」


 どうやらあいつらは私がこの攻撃をかわすことができないと思っているようだ。さて、その予想を裏切らないと。私は最初の攻撃をかわし、二撃目を後ろに下がってかわし、三撃目に飛んで来た弾丸を剣で弾いた。


「で、次はどんな攻撃をしてくるの?」


 私は剣を持って三人の戦士にこう聞いた。奴らは私が攻撃をかわす光景を見て、かなり動揺していた。


「嘘だろ……俺たちのコンビネーションが破られた」


「偶然じゃ……ないよな」


「そんなバカな……」


 奴らは小さな声でこう呟いていた。さて、攻撃をされたんだから、こっちも攻撃しないとね。私は猛スピードで奴らに接近し、腕を斬り落とした。


「この野郎! 私たちの仲間を次々と傷つけやがって!」


「こうなったら、私たちが相手だ!」


 と、大きな声を出す二人組が私の前に立った。他の戦士はこの二人組を見て、歓声を上げていた。


「あいつらはサユウとジョウゲ! ジャッジメントライトの戦士の中でも、優秀な部類に入る魔力使い!」


「魔力が相手なら、剣士は歯が立たないはず!」


「頼むぞサユウ! ジョウゲ! 仲間の仇を取ってくれ!」


 どうやら、あの二人組は魔力を使って戦うようだ。他の戦士もこの二人を見て応援しているから、それなりに腕はあるようだ。


「では参る!」


「あの世で私たちに歯向かったことを後悔するがいい!」


 サユウとジョウゲは同時に魔力を解放し、大きな風を発した。


「つ……強い! 何ですかあの風は!」


 アチーナさんを守っているティノちゃんが、驚いている様子を見せていた。確かに強い風だが、あれは二人で発しているから強いだけ。だが、ただ風を出しただけで終わりじゃないだろう。


「攻撃は始まったばかりだ! ジョウゲ、あれを頼む!」


「任せろ!」


 ジョウゲは右手を上に上げ、巨大な火の玉を作って風の中に入れた。その瞬間、巨大な火を纏った竜巻が発生した。


「魔力の合体技、バーニングトルネード!」


「この技を受けた者は塵と化す! これを避けられるか?」


 奴らの合体技、バーニングトルネードは私に迫って来ていた。だが、所詮はただの火と風だ。強い魔力をぶつければ相殺できる。私は剣を高く上げ、魔力を解放した。


「何をしても無駄だ! 私たちの魔力とお前の魔力を比べたら、圧倒的に私たちの魔力の方が上だ!」


「お前が行おうとしているのは、悪あがきだ! いい加減諦めて死ね!」


 奴らはこの技に絶対的な自信を持っているのだろう。あいつらみたいな自信家のプライドや自信を打ち砕くのは……嫌いじゃない。


「じゃあ見てなさい。あんたらの自慢の合体技が、たった一人の少女によって破られる瞬間を!」


 私はそう言って剣を力強く振り下ろした。剣の刃が地面に落下した瞬間、巨大な刃の衝撃波が発生してバーニングトルネードへ向かって行った。


「巨大な……刃の衝撃波だと!」


「バカな! 我らの技より魔力が強いだと!」


 私が発した刃の衝撃波を見て、奴らは驚いた様子だ。私はにやりと笑い、奴らにこう言った。


「あんたら、視野が狭いのね。世界にはまだ強い奴がたくさんいるわよ」


 私がこう言った直後、私が放った刃の衝撃波はバーニングトルネードを打ち破り、そのまま奴らに接近し、近くで破裂した。


「うおおおおお!」


「グワアアアアア!」


 衝撃波の破裂に巻き込まれた奴らは、悲鳴を上げながら後ろへ吹き飛んだ。他の戦士は私を見て、動揺する様子を見せていた。そんな奴らに向かって、私は叫んだ。


「斬られたい奴は前に出てきなさい!」


 その言葉を聞いた奴らは、情けない声を上げて逃げて行った。




 とりあえず雑魚は散った。だが、相変わらずこの状況が危険なのは変わらない。とにかくアチーナさんを安全な所へ移動させないと。


「移動手段とかないかしら?」


 私がこう言うと、アチーナさんは思い出したかのようにこう言った。


「私がここへ来る際、ヘリコプターを使った。それが無事ならいいのだが」


「ヘリコプターか……」


 私は周囲を見回しながらこう言った。ヘリで逃げるのもいいのだが、奴らがバズーカを持っていたら狙われる。もし、奴らがバズーカを持っていなければそのままこの場から逃げたい。ティノちゃんのバリアがあるが、戦いが始まってかなり時間が経っただろう。ティノちゃんの魔力もそろそろなくなる。


 うーん……見た限り奴らはバズーカを持っていない。逃げるならヘリ一択ね。


「アチーナさん。ヘリが着地した場所は覚えていますか?」


「ああ。ここから左の方向だ。移動すればプロペラが見えるはず」


「了解です。では早速行きましょう。ですがその前に、スムーズに逃げられると思わない方がいいです」


 念のために私はこう言った。奴らは私たちがヘリで逃げることを想定しているだろう。ヘリの近くに、強い戦士の一人や二人待機させているかもしれない。まぁ、どんな奴が来ようとも私が斬ってやるんだけどね。


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