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大男との戦い


 かなり大きな男が私とティノちゃんに向かって走り出した。奴の武器は斧。私と同じくらいの長さだ。重さも相当あるはずなのだが、体がでかい分力もあるのだろう。あの大男は、あの斧を片手で持っていた。


「ティノちゃん、周りにギルドの戦士はいる?」


 私の声を聞いたティノちゃんは急いで周囲を見回し、戦士がいないか確認した。そして、戦士を見つけて声を出した。


「いました!」


「急いでアチーナさんを守ってと伝えて! こいつはかなりの強敵よ!」


 私の言葉を聞き、ティノちゃんは茫然とした表情で私を見ていた。私が焦っている表情を見て動揺したのだろう。私はティノちゃんの方を見て、声を上げた。


「ティノちゃん! 早く!」


「わ……分かりました!」


 ティノちゃんは急いで近くにいたギルドの戦士にアチーナさんを任せるように伝えた。戦士は慌ててアチーナさんの近くに移動し、魔力のバリアを張った。他のギルドの戦士も駆け付け、バリアを作った。これでアチーナさんに被害が出ないだろう。


「生意気なことをする!」


 大男は私に接近して斧を振り下ろした。あの攻撃は剣では防げない。そう思った私はティノちゃんを抱え、横に飛んだ。振り下ろされた斧は地面に命中し、刃は地面に深く突き刺さった。刺さった時の衝撃で、周囲に砂煙が舞った。


「うわ……すごい威力……バリアを張っても壊されそう」


「防御は無理ね。だけど、奴の動きが鈍いのが救いよ。動きが鈍ければ鈍いほど、隙が大きい」


 私は大男の今後の動きを見るため、奴を観察した。攻撃がかわされたと判断した奴は周囲を見回し、近くにいたジャッジメントライトの戦士の頭を掴んだ。


「うわっ! 何をするんだランドロム!」


「投げて攻撃するんだよ。行って来い!」


 あいつ正気か! ランドロムと言われた大男は仲間を投げて私たちに攻撃をしてきた。ティノちゃんは飛んで来たジャッジメントライトの戦士を見て、バリアを張って受け止めた。


「あ……あが……」


 バリアに激突した衝撃で、その戦士は気を失った。私はランドロムを見て、奴が魔力を解放していることを把握した。


「こーんーどーは逃がさないぞォォォォォ!」


 大きな声を出しながら、奴は斧を地面に向かって振り下ろした。次の瞬間、地面は割れ、割れ目から雷が上へ発した。私とティノちゃんは割れ目から離れたが、近くにいたギルドの戦士やジャッジメントライトの戦士が電撃を浴び、悲鳴を上げていた。


「ランドロム! 貴様ァァァァァ!」


「私たちを巻き添えにして……攻撃するとは!」


 ランドロムの電撃を浴びて感電しながら、ジャッジメントライトの戦士はランドロムを罵倒した。その罵倒を聞き、ランドロムは笑いながらこう言った。


「オイラの攻撃に巻き込まれて文句言うなよ。加減ができないんだからさー。それに、弱っちい奴は死んじゃえばいいんだよ」


 この言葉を聞き、感電するジャッジメントライトの戦士はランドロムを睨んだ。だが、その顔は徐々に生気を失っていき、感電する戦士は白目を向いた。しばらくして電撃は収まったが、この攻撃でギルド、ジャッジメントライトの戦士たちが命を落とした。


「ふっふぅ~、これで投げられても文句を言う奴はいないよな~」


 あの野郎、わざと仲間を殺したんだ。投げて攻撃するために! 私は奴の行動に苛立ち、剣を構えた。だが、ティノちゃんが私の服の裾を引っ張った。


「冷静になってください。下手に攻撃すれば反撃を貰います」


「確かにそうね……ちょっと怒りで我を忘れそうだったわ」


 私は深呼吸をし、冷静になった。その時、ランドロムは私とティノちゃんの方を向いた。


「あいつら、まーだ生きていたのかよ。今度こそぶっ殺すぞ!」


 と言って、感電死した戦士たちを私たちに向かって投げつけた。私はバリアを張って飛んでくる戦士の遺体から身を守った。そんな中、ティノちゃんが魔力を解放した。


「エクスさん。もうしばらくバリアを張っていてもらえませんか? 起死回生の一撃を放ちます」


「どんな技?」


「風を使ったビームのような物です。一ミリぐらいの風の刃を作り、猛スピードで放って奴に攻撃します。猛スピードで放てば、どんな小さな物でも分厚い物を貫きます」


「それを奴のどの辺に命中させる?」


「両足のどちらか」


「分かった。それじゃあそれまで私はバリアを張るわ。ティノちゃん、準備ができたら風の刃を放って。私のバリアを貫いてもいいから」


「了解です。もう少し耐えていてください」


「うん。お願いね」


 私はティノちゃんの攻撃の支度が終わるまで、ひたすらバリアを張った。飛んでくる戦士の遺体がバリアに張り付いて視界が見えない状況もあったが、バリアの表面はガラスのようになっていて、すぐに滑り落ちる。視界面に関しては問題ない。


「クソッたれー! オイラの攻撃を全て防御しやがってー!」


 ランドロムは自分の攻撃が通用しないことを知り、苛立ちを見せている。新しい戦士の遺体を私たちに向かって投げようとしたが、そこに戦士の遺体はなかった。奴が全て投げ切ったのだ。


「ありゃ? もう武器がない」


 奴は頭を触りながら周囲を見回した。今がチャンスだ!


「ティノちゃん!」


「ええ! 今がチャンスですね! 行きますよ!」


 ティノちゃんは奴の足に狙いを定め、風の刃を放った。ティノちゃんが放った風の刃は私のバリアを貫き、猛スピードで奴に向かって飛んで行った。


「ほえ?」


 奴はティノちゃんの攻撃に気付いたようだ。だが、もう遅い。ティノちゃんが放った風の刃は奴の右足の太ももを貫いた。位置的に、骨も貫いている!


「あ……アンギャァァァァァ!」


 ランドロムは情けない声で悲鳴を上げた。この攻撃で右足が動けなくなったのだろう。狙うとしたら今だ! 私はバリアを解除し、猛スピードでランドロムに接近した。


「な……あ……」


 奴は剣を構える私の姿を見て、激しい動揺を見せた。私はにやりと笑い、こう言った。


「ここで終わりよデカブツ。一生刑務所の中で反省してなさい」


 その後、私は素早く奴の両腕を斬り落とした。奴は地面に落ちた両腕を見て、情けない悲鳴を上げた。私は足に魔力を込め、奴ののどに蹴りを入れた。


「うるさいわよ! 大男がでかい声で泣かないでよね! みっともない!」


 気を失ったランドロムに向かって、私はこう言った。




 ランドロムを倒し、私はすぐにティノちゃんと合流した。周りを見たが、まだ戦いは終わっていない。ジャッジメントライトの戦士はアチーナさんを探しているようだ。


「すぐにアチーナさんの元へ戻るわよ。ティノちゃん、アチーナさんを預けた戦士の顔は覚えてる?」


「はい。あ! あの人です。こっちに向かって来ています!」


 ティノちゃんは前の方を見てこう言った。ランドロムと戦う前にティノちゃんがアチーナさんを託した戦士がバリアを張ったままこっちに近付いていた。私とティノちゃんは急いでその戦士に近付いた。


「ありがとうございます。おかげで何とかなりましたが……」


「ええ……でも、これはあなたのせいではありませんよ」


 ギルドの戦士たちは命を落とした仲間の遺体を見てこう言った。ランドロムのせいで、多数の命が奪われた。そして、無残に扱われた。本当は気を失ったランドロムにもう一発蹴りを入れてやりたいけど、今は感情的になっている場合じゃない。


「すぐにこの場から離れましょう。また、あの大男のような化け物が来るかもしれないわ」


「了解です。バリアは引き続き我々が発します」


「エクスさん、援護をお願いします!」


 と、戦士たちから頼もしい返事が返って来た。このままアチーナさんと一緒に安全な場所へ向かうことができればいいんだけど、そんなことは起きない。とにかく、周りには注意しないと。


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