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立てこもり事件に巻き込まれたエクスとティノ


 会議から抜け出してテロが起こるであろうアマデウス公園へ向かい、園内の様子を見ようとしていた。その前に小腹を満たすためにコンビニに寄ったが、買い物中に銃を持ったバカな連中が入って来た。そのうちの一人は私とティノちゃんに近付き、銃を向けていた。私はため息を吐き、立ち上がってバカに近付いた。


「悪いけど、私とティノちゃんの話の内容をあんたに話さないわ。話したとしても、バカの脳内じゃあ理解できないだろうし」


「何だと……この女!」


 バカは叫び声を上げながら私に銃口を向け、引き金を引いた。だけどまぁ、下手な鉄砲が私に当たるわけがない。私はすぐに顔を動かして弾丸をかわした。奴が放った弾丸は後ろの棚のおにぎりに命中し、そのおにぎりは跡形もなく吹き飛んだ。吹き飛んだ時、お米と中に入っていた具材が私の顔に当たった。んー、この具は昆布か。


「バカなことをするわねぇ。流石バカ。食べ物を粗末にするんじゃないわよ」


「うるさい、死ね!」


 そう言って、奴は焦りながら何度も私に向けて銃を放った。だが、私は剣を手にして飛んでくる弾丸を斬り落とした。


「な……あ……ああ……」


「これで分かった? あんたじゃ私を倒せないって」


「た……助けてェェェェェ!」


 バカは入口の方にいる味方へ向かって助けを求めた。だけど、ティノちゃんが水の魔力を奴に発し、凍らせて動きを止めた。


「ティノちゃん、ナイスアシスト」


「ありがとうございます。残りの人も動きを封じますか?」


「んー。それは私がやるからいいわ。ティノちゃんはさっき動きを封じたバカを見張ってて」


「分かりました。エクスさん、暴れるのもほどほどにしてくださいね。暴れたら、ここのコンビニがぐちゃぐちゃになっちゃいますので」


「分かってるから安心して。私も場所を考えて加減はするから」


 私はティノちゃんにそう言ってバカの仲間へ向かった。さっきの騒動を奴らは聞いていたようで、近付いてくる私に向かって銃を向けていた。


「おい女! そこで止まれ!」


「バカの言うことを聞くと思う?」


 私はそう言って鞘から剣を抜いた。奴らは驚きの声を上げつつも、私に銃口を向けて発砲した。私はさっきのように飛んでくる弾丸を斬り落とし、一気に奴らの元へ近づいた。


「他の人に当たったら大惨事でしょうが」


 私はそう言って近くにいたバカに向かって剣を振り下ろし、奴の右腕を斬り落とした。攻撃を受けた奴は悲鳴を上げながらその場に倒れ、それを見た奴の仲間は動揺しているのか、冷や汗をかきながら後ろへ下がった。こんな時に仲間の無事を確認している余裕があるのかしら? 私の攻撃は終わっていないのに。


「こっちよ、おバカさん」


 私は入り口のドアの近くに立ち、バカ共を挑発した。だけど、バカ共は私の挑発に乗ってこない。私には勝てないってことを学習したようだ。


「た……助けてください」


「あなたの言うこと、何でも従います」


「ん? 何でも従う? そりゃーいい奴隷を手に入れたわー」


 私は笑みを見せながらバカに近付いた。その前に、私はレジの奥で震えているバイトにこう言った。


「ギルドを呼ぶのもうちょっと待っててー。こいつらのこと、取り調べるから」


「は……はひ……」


 どうやら私の応答に返事をする元気はあるようだ。かなり怯えているけど、返事ができるなら上等。さて、こいつらの取り調べを行おう。




 その後、私はバカ共を正座させ、話を始めた。


「では最初の質問。あんたらはジャッジメントライトの関係者?」


 私の問いを聞き、奴らの肩が一瞬だけ上に上がった。どうやら、ジャッジメントライトが関わっているようだ。


「い……いえ、違います」


「嘘を言っても無駄よー。一瞬だけ、肩が上がったわよ。あんたら、本当のことを言われて動揺したわよね?」


 私はそう言いながら、剣の刃を奴らに見せた。奴らが悲鳴を上げているので、少し脅すのを辞めた。


「その通りです! 私たちはジャッジメントライトの関係者です!」


「あのイカレ宗教もどきが何でこんなバカなことをバカにやれって言ったの?」


「それは……言えません」


「あ、そう。それじゃあ両足切断する?」


 私は剣を持って笑みを見せた。奴らは悲鳴を上げながら、後ろに下がった。それからしばらく奴らは何も答えなかった。どうやら、私に斬られるのが嫌か、ジャッジメントライトの連中にお仕置きされるのが嫌かで悩んでいるんだろう。まぁ、そんなこと知ったことじゃないけど。


「早く答えなさい。五秒以内に答えないとあんたらの両腕斬り落とすわよ」


「分かりました! 言います、言うから斬らないでください!」


「今度やるテロ計画の下見、そしてテロの準備として近くの店に押し入って、寝床と食料と水の確保をしようと思っただけです!」


「やっぱり。最初から金が目的じゃなかったのね」


 今度やるテロ計画。アマデウス公園でのテロのことだ。確かにここのコンビニは公園に近いし、それなりに広いから身を隠す場所もあるはずだ。奴らはそこに目を付けたんだな。


「で、テロで何をするつもりなの?」


「そこまでは何も教えてもらっていないです。ただ、拠点となる場所を探せと」


 バカの一人はこう言った。この言葉に嘘はないだろう。嘘を言ったら私に斬られるのが分かっているから。答えを聞いた直後、外からパトカーの音が鳴り響いた。バイトは首を振るってギルドに連絡をしていないことをアピールした。


「エクスさん。もしかして、銃声を聞いた他の人がギルドに通報したのでは?」


「ああ。そうか」


 私はギルドが来た理由に納得した。それからすぐ、私が倒したバカ共は連行されたが、他の戦士と一緒に来たギルドの重役は呆れながら私に近付いた。


「まさか、会議を抜け出してコンビニに行くとは思ってもいませんでしたよ」


「すみません。会議がどうしても苦手で」


「はぁ……まぁ、今回の騒動を解決してくれたので、何も言いません。会議が嫌いな凄腕戦士か……君はまるで英雄ヴァーギンみたいだな」


 重役がこう言ったのを聞いたのか、ヴァーギンさんの小さい笑い声が私の脳内で響いた。




 バカの後始末はギルドに任せ、私とティノちゃんは本来の目的であるアマデウス公園へ向かった。事件があったせいで時間を使ってしまったが、今の時刻は十六時。夕方前だから帰る前に遊ぼうと一生懸命に動いている子供たちの姿があった。


「これで公園の観察ができますかね?」


「できるわよ。周りを見るだけだからね」


 私はティノちゃんにこう言った。だがその時、ティノちゃんの後ろに忍んでいたアホそうな表情の子供がティノちゃんのスカートをまくり上げた。


「ひっさーつ! スカートめくりー!」


「いやァァァァァァァァァァ!」


 ティノちゃんは急いでスカートを隠し、アホそうな表情の子供を追いかけまわした。私はティノちゃんを落ち着かせようとしたのだが、いつの間にか子供たちが私の目の前に集まって来ていた。


「ねーちゃん。ギルドの人―?」


「すげーかっけー剣だ」


「うわっ、これ重いよ」


「すげーな、ギルドの人って。俺も将来ギルドの人になりてーなー」


 子供たちは私の衣服を引っ張り、剣の鞘を触りながらこう言った。


「あはは。ごめんね子供たち。お姉さん、これから公園で何があるか調べないといけないの?」


「何かある? それって爆弾?」


「こんな所にそんな物を置くわけないだろ。多分、来週のどこかにある変な政治家のおっさんのことじゃない?」


 変な政治家のおっさん? 子供たちが今、こう言っていた。もしかして、奴らの狙いってこれなのでは? そう思った私は子供たちにこの情報を詳しく聞こうとした。だが、相手は子供。政治家の演説なんて分かるわけがないよね……仕方ない。子供たちの相手を終えてこのことを調べよう。


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