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次なる目的地、モツアルト


 私たちがバッハから旅立ち、一週間ほど経過した。頻繁に凶暴な野生のモンスターが襲って来ては返り討ちにしながら先に進んでいたが、時折私たちのことを倒そうとしたジャッジメントライトの手下が襲ってきた。だが所詮雑魚レベル。そんな奴らに倒される私じゃない。返り討ちにした後、ジャッジメントライトのことを聞き出そうとしても、奴らは口を開かなかった。強情な奴らだ。


「私たちのことが、ジャッジメントライトの中で広まっているのでしょうか?」


「恐らくね。私がピアノタワーで活躍したことで、私があいつらにとって脅威であると考えているわ。元々目を付けられていたし、ピアノタワーの事件の後で危機感が増したんだと思う」


 私はティノちゃんの質問に対してこう答えた。ウラガネの事件、ピアノタワーのテロで奴らは私に注目している。まぁ、向こうからやって来るのであれば、わざわざ探す手間が省けるからいいんだけど。そう思いながら、私はティノちゃんと旅を続けた。




 バッハから旅立って十日後。私は立ち寄った宿屋で店主と話をしていた。


「まさか、ピアノタワーのテロで活躍した英雄さんが俺の宿に泊まるなんて思ってもいなかったよ」


 と、店主は笑いながらこう言った。


「いえ、活躍したとはいえ、ピアノタワーは消滅してしまいました。活躍したとは言えません」


「そんなことを言うなよ。あんたが頑張ってくれたおかげで、俺の知り合いの親戚の息子が無事に生き残ることができたんだよ。その知り合いの親戚の息子、ギルドの戦士やってんだよ」


 店主は安堵した表情でこう言った。そうか。確か、あのテロで命を失ったギルドの戦士はいない。ピアノタワーは守れなかったが、人の命を守ることができたんだ。


「あんたの言う通り、ピアノタワーは消滅したが、人がいればまた建て直すことができるんだ。命より大事な物なんてないよ」


 店主の言う通りだ。建物は時間をかけて建てればいい。命は失ったら、もう二度と元に戻すことはできない。


(主人の言う通りだ。エクス、お前は人の命を守ったんだ)


 と、ヴァーギンさんも励ますように言ってくれた。この言葉を聞き、少し気が和らいだ気がする。そんな時、主人が話を続けた。


「にしても、結局テロを起こした連中は一体どんな奴だったんだろうね? 英雄さん、何か知っているかい?」


 主人が私にこう聞いて来た。そうか、ジャッジメントライトが悪行を働いているのは他の人は知らない。このことを知っているのは、ギルドの人間だけだ。ジャッジメントライトとつながっている政治家や権力を持つ人間が、メディアにこのことを話すなと脅しているのだろう。


「すみません。今回のテロに関しては、あまり深く言えないんです」


「そうかい。深く言えないとなると、難しい事情があるってことだね」


「そうです。結構難しいんです」


 いろいろと察知してくれた主人はこの話を止めてくれた。物事が分かりやすい人でよかった。このことに関して、深く聞き出そうとする人もいるからな。そう思いながら、私は主人と話を続けていたが、ティノちゃんが私の服の裾を引っ張った。


「あの、そろそろ食事の時間ですよ」


「あっ。そうだった。では、また今度」


「おう。ゆっくりしていきなよ!」


 私は主人に手を振りながら、ティノちゃんと共にキッチンへ向かった。




 翌朝。私とティノちゃんは宿屋から出て、バス停へ向かった。朝、宿屋の主人から少し離れた所にある町、モツアルトに行くにはバスを使った方がいいと言われたからだ。多少お金がかかるが、倒してきたモンスターの毛皮や爪や牙を武器屋に売却したおかげで、それなりに資金はある。だけど、鍛えることも考えてなるべく歩きたいけど。まぁ、少しは楽することも必要だ。


 私とティノちゃんはモツアルトへ向かうバスに乗り、後ろの方の席に座った。


「バスなんて久しぶりに乗るなー」


「私もです。前のギルドに所属していた時は、移動でよく使っていました」


「費用ってギルド持ち?」


「いえ、給料から使った分の費用を引かれました」


「確かティノちゃんがいたギルドってファストの村のギルドより大きいよね。ギルドのおごりじゃないの?」


「そうなんですよ」


「大きい所なら、出してくれてもいいよね」


「その通りです」


 そんな感じでティノちゃんと話をしながら、バスは進んだ。モツアルトへ向かう理由は、この辺りでバッハに次ぐ大きな町。もしかしたら、ジャッジメントライトの危険分子がこの町にいるかもしれないと私は考えたからだ。それと、この町のギルドでも奴らの悪行に関して何か情報を持っているかもしれない。それを聞きたいからだ。


 私たちを乗せたバスは順調に走って行った。時折バス停に止まり、いろんな人を乗せて行った。そんな中、黒いパーカーの三人組がバスの中に入った。三人とも同じ服を着ているため、度を越えた仲良しトリオだと私は思ったが、こいつらの正体を私は見破った。奴らはパーカーの腹部分に両手を突っ込んでいるが、それにしては異様に膨らんでいるのだ。


「ティノちゃん、あいつらのことをちゃんと見てて」


 私は小声でティノちゃんの耳元でこう言った。この言葉を聞いたティノちゃんは驚き、私の耳元に顔を近付けて、小声で喋った。


「あの変な三人組ですよね?」


「そう。パーカーのポケットの所に武器がある。多分、銃か何かを隠し持っているわ」


「じゃ……じゃあすぐに止めないと……」


「あいつらが動かないと私たちは動けないわ。とにかく様子を見るわよ」


 そんな話をしていると、バスは発車した。発射してしばらくすると、三人組は立ち上がって運転手の元に近付いた。


「このまま走り続けろ! 止まると乗客を撃つぞ!」


 と、三人組の一人が銃を手にし、運転手に向けてこう言った。別の二人は私たちの方を向き、銃を構えた。銃を見たほかの乗客は悲鳴を上げ、一斉に身を守るために行動をとった。運転手は慌てた声を出しつつも、この状況を外に伝えようとした。だが、その時に発砲音がした。


「ひ……ひぇぇ……」


 運転手の声が聞こえた。これは悲鳴ではなく、驚いた声だ。奴が撃った弾丸は運転手に命中していない。よかった。そう思っていると、私たちに銃を向けている二人組が口を開いた。


「俺たちはある組織の人間だ。俺たち組織に歯向かおうとする奴がいると聞いたため、ここにやって来た」


「今からお前たちの顔を確認する。隠しても無駄だ。俺たちは探す奴の顔をしっかりと記憶しているからな!」


 そう言って、奴らは前の席の乗客から調べ始めた。ティノちゃんは私に近付き、小声でこう言った。


「あいつらが捜しているのって、もしかして私たちですかね?」


「そうかもね。だとしたら、奴らはジャッジメントライトの下っ端。私たちを始末するためにバスジャックをしたんだと思う」


「どうして私たちがこのバスに乗ったことを奴らは把握したんでしょうか?」


「ジャッジメントライトは大きな団体。陰で私たちのことを見張る奴がいたんでしょう。だとしたら、優秀な奴ね」


「ど……どどどどうしましょう」


「落ち着いて。奴らが捜しているのは私たちじゃない可能性があるわ。それに、奴らはジャッジメントライトの人間ではないかもしれないわ」


「もし、私たちを探していたらどうしましょう……いや、やることはもう決まっているんですよね?」


「その通り。奴らがジャッジメントライトだったら斬り倒すまで」


 私がこう言うと、私の顔を見た二人は私に近付いた。


「お前……まさか……」


「ああ、間違いない! エクス・シルバハートだ!」


 どうやら奴らはジャッジメントライトの人間のようだ。奴らは私を見て、すぐに銃を構えたが、その前に私は小さい剣を手にし、奴らが持つ銃の銃口を斬り落とした。


「な……」


「そんな小さな剣で銃を斬り落とすとは……」


「覚悟しなさい。今度はあんたらの手足を斬り落とすかもしれないわよ」


 私はにやりと笑いながら、奴らに近付いた。


 今回から新しい話が始まります。どんな騒動が起きるか、どんな風に解決するのか想像しながら読んでください。この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします。

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