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最上階へ向かえ!


 やはりデリートボンバーは私たちが止めた五つより多く存在した。それらを止めるには、リーダー的存在であるツデクと言う男を倒さなければならない。奴は私と戦うことを楽しみに待っていると言っていた。喧嘩を売ったつもりだろう。だが、話を聞いていたソセジさんが先に奴の元へ向かうと言っていた。


「ティノちゃん、これから危険だと思うから、他の人と一緒に外で待ってて」


「エクスさん……一人で大丈夫ですか?」


「大丈夫よ。何が何でも戻って来るわ。ツデクって奴を斬り倒して戻って来る」


「私も行きます! 危険ですけど……」


「危険だから外で待ってて。もし、私が傷付いて帰ってきたら、治療をお願いね」


 私はウインクをしてティノちゃんにこう言った。ティノちゃんは少しの間を置いた後、頷いて返事をし、他のギルドの戦士と共に去って行った。これでティノちゃんは安全だ。


(一人で行くつもりか?)


 と、ヴァーギンさんが話しかけた。


(はい。私、敵に対してかなり怒りを覚えています。もしかしたら、敵を斬り刻むかもしれません。悲惨な光景をティノちゃんに見せるわけにはいきませんから)


(そうか。あまりやりすぎるなよ。そして、いざとなったら俺を使えよ)


(もちろんです。ヴァーギンさん、その時は力を貸してください)


(ああ。遠慮せず俺を使え)


 話を終えた後、私は急いで最上階へ向かった。




 ピアノタワーの中間から最上階までどれくらい距離があるのだろう。私はそんなことを考えながら走っていた。すると、窓を突き破って黒マスクの集団が現れた。


「ここから先は行かせるか!」


「お前をツデクさんの元へは向かわせん!」


 もう。こんな時に雑魚が現れるなんて。私はうんざりしながら現れた黒マスクを斬り倒していった。


「あえ……もう斬られた……」


「そんな……早すぎる」


 出てきて秒で斬られた仲間を見て、他の黒マスクは動揺した。だが、すぐに我に戻って私に襲い掛かった。


「何が何でもエクスをここで食い止めるんだ!」


「時間稼ぎだ! デリートボンバーを爆発させるまで耐えるんだ!」


「おおおおおお! 頑張れ俺、踏ん張れ俺!」


 敵は何が何でも私を食い止めるつもりだ。だけど、弱い力で私を食い止めることはできない。絶対に。


「うざい。さっさと消えて」


 私は黒マスクを睨みながらこう言った。この時、私は奴らに対して殺気をぶつけていた。その殺気を感じたのか、敵の一人は気を失った。それから、敵は私には敵わないこと、襲い掛かったら逆にやられることを察して逃げて行った。これだけでかなりの時間を使ってしまった。早く行かないと!




 私は雑魚を追い払った後、走って最上階へ向かっていた。エレベーターは止まっていて動かない。使うとしたら階段しかない。私は階段を駆け上り、何とか最上階へ到達した。扉を開けると、金属音がぶつかり合う音が聞こえていた。私より先にソセジさんが最上階へ到着し、ツデクと戦っていたのか!


「ん? おお、君がエクスか」


 ツデクはよそ見をするような形で私を見た。ソセジさんは剣を振り下ろして奴に攻撃を仕掛けたが、奴は槍を盾にして攻撃を防いだ。


「最初にこいつが来たから驚いたよ。まさかこいつのようなオッサンがエクスなのかと、最初は勘違いしたよ」


「よそ見をするなァァァァァ!」


 ソセジさんは大声を上げながらツデクに斬りかかった。だが、ツデクは槍の矛先を利用してソセジさんの攻撃を受け止めた。


「なっ!」


「君が来るまで、こいつで遊んでいたんだが、あまり面白くない。ゲームも戦いも楽しくないといけないだろう?」


「クソッ! これでも喰らえ!」


 ソセジさんは後ろに下がり、解放した魔力を剣に注いでツデクに斬りかかった。剣が振り下ろされた際、床にぶつかって周囲に衝撃波を放った。周りに煙が発生し、見えなくなった。だが、ツデクが魔力を解放して周囲の煙を吹き飛ばした。


「もう少し待っていてくれ。こいつとのお遊びを終わりにするから」


「まだ私は戦えるぞ。覚悟しろ!」


 ソセジさんは再び魔力を解放し、ツデクに斬りかかった。ツデクは呆れたようにため息を吐き、攻撃を受け止めようとした。だが、ソセジさんはツデクの後ろに回った。


「ほう」


「これで終わりだ」


 と言って、ソセジさんは剣でツデクの腹を突き刺した。まだだ……まだ戦いは終わっていない!


「離れてソセジさん! 奴は何か企んでいるわ!」


「何!」


 私の声が聞こえた。ソセジさんは後ろに下がり、腹を突き刺したツデクの様子を見た。ツデクの体は赤く染まって行き、しばらくして破裂した。


「魔力か何かで作った偽物だったのか……では本物は……」


「ここだよ」


 上から声が聞こえた。奴は魔力を使って宙に浮いていた。さっき、ソセジさんが魔力を込めて剣を振り下ろして発生した砂煙を利用して、奴は偽物を作って上空へ飛んだのか!


「君、確かソセジ・ハムベーコンだよね? このバッハの町のギルドで、かなり上の方にいるギルドの戦士って情報があるけど」


「それがどうした?」


「君って、結構間抜けだね。それで、弱い」


 その直後、私は奴から強い魔力を感じた。ソセジさんは身構えていたが……ダメだ、奴の魔力は強すぎる!


「逃げてソセジさん! ここにいたら、敵の攻撃でやられるわ!」


「悪いが逃がしはしない! 君たちはここで死ぬのだからなぁ!」


 ツデクはそう言うと、両手を下にいる私たちに向けて開き、そこから巨大な火の玉を発した。私は扉を斬って開け、ソセジさんの方へ向かおうとした。


「逃げましょう、ソセジさん!」


「ああ!」


 私はソセジさんを連れ、最上階の出入り口へ向かった。しばらくして、奴が放った火の玉が床に命中する音が聞こえ、上から炎が現れた。


「あの炎を受けたら私たちは……」


「消し炭になっていましたね。魔力を使って防御しても、酷い火傷を負っています」


 私は上の方で発する炎を見て、小さく呟いた。しばらくして炎は止まり、私とソセジさんは再び外へ出た。黒焦げとなった床の中央に、奴は立っていた。


「この技の恐ろしさをすぐに探知するとは……エクス・シルバハート。やはり君は素晴らしく、そして恐ろしい剣士だ」


「嘘つき野郎に褒められても嬉しくないわよ。それで、次はどうするの? あんたの炎を利用してバーベキューでもするつもり?」


「バーベキュー? それはいいアイデアだ。目の前に肉はあるから困ることはない」


「私たちを焼くつもり?」


「そうだ。君たちをこんがり焼くつもりだ。だが、私は人の肉を食べる趣味はないから、どこかの森へ持って行って、熊さんにあげるつもりだよ」


「それじゃあ私はあんたを斬り刻んで、森の動物たちが食べやすくしてあげるわ」


「それは結構。やらなくていいよ。この戦いで生き残るのは私なのだから」


 話を終え、私とツデクは睨み合いを始めた。ソセジさんは私に加勢しようとしたが、私はそれを止めた。


「後は私がやります。奴は私と戦うことを望んでいるようなので」


「だが……君は私たちよりこのタワーで戦ったんだぞ。体力的にも魔力的にも問題が……」


「大丈夫です。全然疲れていないので」


 私は笑顔を作ってソセジさんにこう言った。その後、私は剣を持ってツデクに近付いた。


「さぁ、やるわよクソ野郎」


「かかってきたまえ、戦闘狂」


 お互い罵倒すると、同時に武器を振り下ろした。互いの武器が命中すると、周囲に激しい衝撃波が舞った。


「酷いねぇ、魔力を込めていたなんて。その状態で斬られたら、大怪我を負っていたではないか」


「そのつもりで斬ったのよ。それに、あんたも魔力を込めていたじゃない」


「ハッ、お互い様と言うわけだ!」


 そう言って、奴は後ろに下がった。このピアノタワーで戦った敵と比べて、奴は強い。そろそろ本気を出して戦わないときついかもしれない。


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