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フィーラとの戦い


 奴らはこのテロのことをゲームと言った。くだらない。ふざけるなと思ったが、奴らは私が負けると思ってご丁寧に爆弾の解除方法を教えてくれた。私が負けると思っているのだろう。そんな簡単に負けてたまるか。


 私はフィーラと言う劇場の爆弾を守る男と戦っている。奴はナイフを投げて攻撃し、私はそれを弾いたが、奴が放ったナイフの周りに魔力の渦が発して私の方へ飛んで来ていた。そう来るだろうと予測していた。簡単に武器を投げ捨てて攻撃するとは思ってもいない。私は飛んでくるナイフを見て、剣を振り上げた。


「おおっ。ナイフの動きを予測していたとは」


 フィーラは驚きながらこう言った。そして、褒めているつもりで手を叩いた。


「話に聞いていた通り君は素晴らしい剣士だよ。是非、ジャッジメントライトに入って一緒に戦ってもらいたい」


「狂信者の仲間になるつもりはないわ。あんたらが行っているのはテロ行為、犯罪よ」


「犯罪ではない。世界を元の姿に戻すための正しい行為だよ。つまり、正義のために我々は動いている」


「正義? あんたらの頭は子供と変わらないわ。正義と言う言葉に価値はない」


 私はそう言うと、フィーラは小声で笑いだした。


「じゃあ君は何のために戦っているのか……まぁ、そんなことを聞くのはどうでもよくなった。本気を出そう!」


 と言って、奴は上着を広げた。上着の裏には無数のナイフがあり、どれも魔力の渦を発生させていた。


「まさか、それを使って戦うのか?」


「すでに魔力を解放しています。気を付けて、エクスさん!」


 後ろにいるティノちゃんとソセジさんの声が聞こえた。奴はすでにナイフに魔力を入れている。さっきのナイフと同じように、操ることができるだろう。


「これが私の技、リモートナイフ。どれだけ君がその剣で私のナイフを弾いても、襲ってくるぞ!」


 奴は大量のナイフを魔力で操り、私に向かって飛ばした。


(エクス、対策法はあるか?)


 心配したのか、ヴァーギンさんも声をかけてきた。


(大丈夫です。大量に飛んで来ても、所詮は安物のナイフ。弾いても動くのなら、壊すまで)


 私はそう答え、魔力を解放して剣に入れた。私が持つ剣の刃の周りに、渦を巻く風が発生した。


「ほう。君の魔力は風か。だが、それを使って私のリモートナイフを崩せるかな?」


「崩せるわよ。まぁ見てなさいな、三下君」


 私はそう言って、大量のナイフに向かって剣を振り下ろした。剣の刃の周りで動いていた風は動きに合わせて巨大な刃の形を作り、大量のナイフへ向かって飛んで行った。


「風の刃か!」


 流石の奴も、私が発した巨大な刃を見て驚きの声を上げた。巨大な刃は奴のナイフを吹き飛ばしながら飛んで行き、奴に命中した。


「ガハァッ!」


 奴に命中したと同時に巨大な刃は破裂した。最初にダメージを与えたのは私だが、この攻撃を受けた奴は苦しそうに立ち上がった。


「はぁ……はぁ……」


 この一撃が重かったのか、奴は口から血を吐き、体勢を崩しそうになりながらも立ち上がった。


「この私が……」


「やっと立ち上がったわね。ま、この一撃を受けて立ち上がる根性は認めてあげるわ」


 私がこう言うと、奴は私を睨んだ。まだ戦うつもりなのか?


「私はまだ負けてない。ナイフを弾いたと思うなよ? 魔力がある限り、ナイフを操ることはできるんだ!」


 奴は魔力を発し、地面に落ちていたナイフを操って私に襲わせた。だが、風の刃による一撃が大きかったのだろう、ナイフの動きは最初の時より遅くなっていた。


「動きが見えるわよ。それで攻撃のつもり?」


 私はそう言いながら奴に向かって歩き始めた。接近して斬ると考えた奴は、慌てて私に攻撃を仕掛けたが、大きなダメージを負って、慌てた状態じゃあまともな攻撃ができない。あっさりと奴に近付くことができた。


「クソ……私はまだ本気を出していないぞ……諦めるんだったら、今のうちに諦めるんだな」


 奴は怯えた表情でこう言った。口にしている言葉と顔の表情が一致していない。と言うか、この状況で諦めろと言える立場と考えているのかこいつは。


「その言葉、そのままあんたに返すわよ」


 呆れた私は奴に向かってこう言った。本気を出していないのは私の方だ。その言葉を聞いた奴は私の言葉の意味を察し、睨んだ。


「本気を出していないだと? 私を見下すつもりか?」


「あんたみたいな雑魚相手に本気を出すつもりはないわ。あんたの強さは、黒マスクの連中と比べてちょーっと強い程度」


「ふ……ふ……ふざけるな!」


 あらま、怒っちゃった。奴は魔力を解放して大量のナイフを操り、手元に引き寄せた。そして、ナイフをまとめて巨大な剣のような形にして両手で持った。


「リモートナイフの応用技、ビッグブレードナイフ! 君が持つ安物の剣で、こいつを受け止めることはできない!」


「勝手に決めつけないで。そんなもん、魔力を使わなくてもどうにかできるわ」


 私は一つにまとまった巨大ナイフに向かって飛び上がり、剣を構えた。そして、剣を強く振るって巨大ナイフを一閃し、バラバラにした。


「な……あ……」


 周囲に散らばるナイフを見て、奴は口を開けて驚いていた。まぁ、ナイフを操る程度で強がる奴だ。魔力を使って物を操ることなんて、初心の魔力使いでもできることだ。魔力を鍛え、コツを掴めば一気に多数の物を操ることもできる。


「初心者にでもできる技をやって、強がらないの」


 私はそう言って剣を振り、奴の両腕を斬り落とした。


「あ……ギャアアアアアアアアアアア!」


 斬られた痛みを感じているのか、奴はその場に倒れて転がり始めた。私は奴の腹を踏んで動きを止め、奴の服を破りながら鍵を探した。


「ねぇ、鍵はどこよ? 喋らないとあんたの服を全部ひん剥いてスッポンポンにするわよ」


「首にある……鍵型のペンダントが……鍵だ……頼む……この痛みをどうにかしてくれ」


「分かったわ。それじゃあ、痛みをどうにかしたら私たちの言うことを聞くこと。もし、何かすれば両足も斬り落とすからそのつもりで」


 私がそう言うと、奴は小声で返事をした。相手のプライドを潰しとしたら、これくらいやらないと。




 私は鍵を手にし、舞台の上にある赤いトランクへ向かい、鍵を外してトランクを開けた。その中にはタイマー式の爆弾、デリートボンバーがあり、最初に奴らのボスが言っていた通りにタイマー停止のボタンを押した。すると、液晶に映っていたタイマーが停まった。


「ふぅ。一つはどうにかなった」


「お疲れ様です、エクスさん」


「君のおかげでどうにかなった」


 私の戦いが終わったのを察したティノちゃんとソセジさんが、私に近付いた。私はティノちゃんにフィーラの傷の手当てをお願いし、ソセジさんにあることを伝えた。


「ギルドの戦士をピアノタワーへ入れてください。これだけ広いと、三人でデリートボンバーを探すのは時間がかかります」


「分かった。すぐに部下たちに命じる」


 その後、ソセジさんは外にいるギルドの戦士たちにこのことを伝えた。それからすぐに大量のギルドの戦士がピアノタワーへ入り、デリートボンバーを探し始めた。


「さて、すぐに見つかるといいんだけど」


 私がそう言うと、フィーラが小さく笑いながらこう言った。


「ヒントをやるよ」


 この言葉を聞き、ソセジさんはふざけるなと言ってフィーラを殴ろうとしたが、私はソセジさんを止めた。


「これから奴が言うヒントは嘘がないと思います」


「何故そう思う?」


「ボスに言われたんでしょう。もし、負けたらヒントをやれとかそんな感じで」


「どうしてそんなことを? 自分たちが不利になるだけなのに」


「奴らはこのテロをゲームと言っていました。それに、他の爆弾も奴と同じくらい強い奴が守っています」


 私はそう言うと、ソセジさんは納得したような感じで声を上げた。さて、奴はどんなヒントを出してくれるのだろうか。


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