ゲームの始まり
このテロを考えた奴を倒し、この騒動を早く終わらせる。そう考えた私は急いでピアノタワーへ向かった。向かう際、私の存在に気付いた黒マスクが私の方を向いたが、その隙を突かれて攻撃されていた。普通のギルドの戦士が倒せるなら、黒マスクはあまり強くないだろう。これならギルドの戦士たちに任せて先に進める。
走り続け、私とティノちゃんは何とかピアノタワーへ到着した。
「やっと到着したな」
「ソセジさん」
後ろからソセジさんの声が聞こえた。どうやらソセジさんも私と同じことを考えているようだ。
「私たち三人で中に突入するんですね。中に敵はいますよね……」
と、心配そうにティノちゃんがこう言った。私はティノちゃんを安心させるため、笑顔でこう言った。
「いると思うけど、あまり強くないわ。電車で戦った連中と同じ強さって思えばいいわ」
「そうか。雑魚の相手は私に任せてくれ」
「お願いします、ソセジさん。それでは、中に入ります!」
私は扉を斬って開け、ピアノタワーの中へ入って行った。その瞬間、中に侵入していた黒マスク共が私に向かってアサルトライフルを発砲した。私は剣を振り回して弾丸を斬り落とし、黒マスクを睨んだ。
「ヒッ……ヒィィィィィ!」
「剣一本で銃弾の雨をどうにかするとか……あいつ、化け物だ!」
「逃げろ! 俺たちじゃあ勝てない、あの人たちに任せよう!」
黒マスクたちは自分たちじゃあ敵わないと言って逃げて行った。最後の奴が言っていた言葉が気になる。あの人たちに任せよう。あいつらを束ねる奴がいるんだろう。
「では行きましょう」
とりあえず先に進めるので、私はティノちゃんとソセジさんと一緒に奥へ向かった。
しばらく歩いているが、敵らしき影はない。ピアノタワー一階は劇場になっている。そこら中に階段やエレベーターがあり、上の階へ向かうにはそれらを使わなければならない。だが、今は電気を落としているためエレベーターは使えないけど。周囲に気を付けながら歩いていると、看板が目に入った。その看板には、まずは劇場へ入ってくださいと丁寧に書いてあった。
「敵の罠ですかね?」
恐る恐るティノちゃんがこう聞いた。まぁ確実にこれは奴らの罠だろう。だが、劇場に敵がいるとしたら、向かってさっさと倒してしまおう。そう思った私は劇場へ向かった。
「向かうつもりですね。私も意を決します!」
「それでこそギルドの戦士だ。私もいる、何かあったら戦うぞ」
ティノちゃんとソセジさんはこう話した。二人のやる気を確認し、私は歩いた。
劇場の扉を開け、私は前を見た。電気が通っていないはずなのに、映写機が動いている。敵が何かをしたのだろう。だが、どこを見ても敵の姿は見えない。
「どこにいるの? テロをやる中、かくれんぼで遊ぶつもり?」
と、私は大声でこう言った。その声に合わせるかのように、映像が流れた。
「ようこそ、エクス・シルバハートさん。我々の裏の顔を知るギルドの戦士よ。私はジャッジメントライトのボス……とでも言っておこうか」
スクリーンには、ヴィジュアル系のような天使のアニメが流れた。あいつらが作ったアニメだろうが、絵がダサい。
「エルラの件で君の存在を知り、すぐに君に注目したよ。恐ろしい強さだ。電車の中で君の妨害をしようとしたが、逆に返り討ちにされてテロの情報を手にしてしまうのだから」
「あんたみたいな奴に褒められても嬉しくないわよ。さっさと出てきなさい!」
「そう言うわけにはいかないな。今、私はこの場にいない。この映像は遠隔で動かしている。時代の進歩はすごいな。映写機も、遠くにいる人物を写すことができるのだからな」
「そんなことはどうでもいいわ。このテロを止めないとあんたの仲間の両腕両足を斬り落とすわよ!」
「物騒なことを言う。とりあえず落ち着きたまえ。ゲームでもしようじゃないか」
ゲーム? はっ! くだらないことを言う奴ね。テロのことをゲームだなんて、ふざけている!
「テレビゲームなら大歓迎よ。くだらないゲームの御招待は歓迎しないわ。さっさとテロを止めなさい」
「それは無理だな。ギルドの殲滅や都市へダメージを与えるとは別に、もう一つ目的があるのだからな」
「目的?」
「そうだ。今回のテロで使うのは我々が開発した兵器、デリートボンバーだ。魔力を使って作った平気で、爆風に巻き込まれた物質は跡形もなく消滅してしまう。素晴らしいだろう?」
そうか。奴らは今後のためにこのテロを仕組んだのか。デリートボンバーとか言う兵器の威力を自分たちの目で確認し、改良しようと考えているのか!
「今回の実験では、生きた人間を使おうと考えたのだ。だから、ギルドの壊滅と同時に実験をしようと思ったんだ」
「ふざけるな! くだらないことで人の命を使うな!」
怒りが爆発し、私は怒鳴った。この声を聞いたのか、後ろにいたティノちゃんとソセジさんは驚いていた。
「もう一度言う。落ち着きたまえ。君の仲間が驚いているぞ? さて、ゲームの話をしよう。このピアノタワーにはいくつかデリートボンバーを設置した。爆発するのは私が指を鳴らしてから半日後だ。それがゲームの合図だと思ってくれればいい」
「言いたいことが分かったわ。私たちがデリートボンバーを止めるか、失敗するかがゲームってわけでしょ?」
「察しがいい。腕のいい剣士はすぐに相手の行動や考えを察することができるな。ご褒美にデリートボンバーを止める方法を教えよう。それは簡単だ。タイマー停止と書かれたボタンを押せばいい」
「ありがとね。で、そう簡単に行かないんでしょ?」
「その通りだ。デリートボンバーを守る騎士がいる。そいつらは強いぞ? 君たちは無事に騎士を倒し、このテロを止められるかな?」
「止めてやるわ。さっさと始めなさい」
私は相手を挑発するような口調でこう言った。それでも、ジャッジメントライトのボスは冷静に笑っていた。
「すぐには始めないさ。最初の一個のヒントも上げよう。その一個は、この劇場の舞台の上にある。赤いトランクがあるだろう?」
ボスの言う通り、舞台の上に赤いトランクがある。施錠されているため、開けるのに鍵が必要だろう。だが、騎士の姿がない。どこかに隠れているに違いない。そいつを倒してかぎを奪って、扉を開けろということか。
「あるわね。で、それを守る騎士って奴がいないけど」
「後から出てくるさ。待たせてすまないね。それではゲームを始めよう」
と言って、ボスは指を鳴らした。その瞬間に映写機が爆発した。そして、映写室から窓を突き破って誰かが現れた。
「では始めようか、楽しいゲームを!」
そいつはナイフのような物を振るって私に攻撃を仕掛けてきた。殺気を感じた私はすぐに剣を持ち、敵の奇襲を防いだ。
「いい反応だ。君のような剣士が相手なら、楽しい戦いになりそうだ」
「私は戦いを楽しむつもりはない!」
私はそう言って、そいつの腹に蹴りを入れた。敵は左腕で私の蹴りを防御し、後へ吹き飛んだ。
「話通り、君は素晴らしい。自己紹介が遅れたね。私はフィーラ。ここのデリートボンバーを守る騎士だ。よろしく」
ご丁寧な口調で自己紹介をしているが、所詮はクズな組織に手を貸すクズ野郎だ。敵は斬る! 私はそう思い、座席の上に移動して奴に向かって走り出した。
「おいおい、座席を使って走ったら危ないぞ」
「危ないのはあんたの頭の中とあんたが属している組織よ!」
私は奴に接近し、剣を振り下ろそうとした。だが、奴はナイフを投げて私の攻撃を邪魔した。
「クッ!」
私は飛んできたナイフを剣で払い、フィーラを睨んだ。
「エクスさん!」
私のことを心配したティノちゃんの叫び声が聞こえた。払ったナイフの方を見ると、ナイフの周りに魔力の渦が発生し、私に向かって飛んで来ていた。
この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします。




