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ギルドの底力


 ザムは剣を持って高く飛び、私とティノちゃんにとどめを刺すための攻撃を始めた。


「この一撃であの世へ送ってやる!」


 私はザムを見て、歯を食いしばった。ティノちゃんは回復したが、完全には回復しておらず、動けない。それに、私も大きなダメージを負って動けない。まずい、このままだと殺される! そう思った直後、発砲音が聞こえた。


「見つけたぞ! ザム・ブレークファスト!」


「我々ギルドの戦士が相手だ!」


「覚悟しろよ、ギルドの裏切り者!」


 何と、ギルドの戦士たちが現れたのだ。攻撃を仕掛けていたザムはギルドの戦士の方に注目し、私とティノちゃんへの攻撃を止めて床の上に着地し、ギルドの戦士たちを睨んだ。


「この虫けら共がァァァァァ! 私の邪魔をするなァァァァァ!」


 ザムは攻撃を邪魔されたせいか、ギルドの戦士たちに対し、怒りと殺意を放っている。ギルドの戦士たちはザムから感じる禍々しいほどの怒り、殺意を感じて動揺したが、すぐに我に戻って武器を構えた。


「死にたいなら、お前たちから殺してやる!」


 ザムはそう言って、ギルドの戦士に攻撃を仕掛けた。




 攻撃の狙いが変わった。突如、部屋に入って来たギルドの戦士たちにザムは攻撃を仕掛け始めた。


「死ねぇ! 雑魚共が!」


 ザムは剣を振り回しながらギルドの戦士に攻撃をした。攻撃を受け止めるために、ギルドの戦士の一部は魔力を解放して身構えたが、圧倒的な力の差があるのか、ギルドの戦士は真っ二つに斬り裂かれてしまった。


「うわっ! 俺の同期が殺された! いい奴だったのに!」


「仲間の死を見てうろたえるな! 攻撃すなら今だ、銃を構えろ!」


 銃を持ったギルドの戦士はザムに狙いを定め、引き金を引いた。連発で弾丸が放たれるが、ザムはバリアを張って飛んでくる弾丸を防いだ。


「そんな物で私を殺せると思うなよ!」


 と言って、ザムはバリアを破裂させて弾丸を跳ね返した。物凄い勢いで跳ね返された弾丸はギルドの戦士たちを貫いた。


「グッ……魔力で攻撃を仕掛けろ! 何でもいいからザムを止めろ!」


「了解!」


 一部のギルドの戦士たちは魔力を解放し、火や水、雷や風を発して攻撃を仕掛けた。


「フン。その程度の魔力で私を倒せると思っているのか? 愚かだな。ギルドは相変わらず愚かだな!」


 ザムは魔力を解放し、迫って来る魔力の攻撃をかき消した。周囲に煙が舞う中、ギルドの戦士はザムに奇襲を仕掛けた。だが、煙の中からザムの剣が現れ、ギルドの戦士の額を貫いた。


「奇襲を仕掛けるつもりか? なら、殺意と敵意を消すんだな!」


 煙の中からザムがこう言った。その後、剣を振るってギルドの戦士の頭を斬り落とした。そして、近くにいるギルドの戦士を次々と斬っていった。


「クソ! 怯むな! 銃を撃ち続けろ!」


「うおおおおお! クソ野郎、死にやがれェェェェェ!」


「ハチの巣にしてやらァァァァァ!」


 接近戦ではダメ、魔力を使ってもかき消される。そう思ったのか、ギルドの戦士たちはザムに向かって銃を撃ち始めた。ザムは再び飛んでくる弾丸を見て、ため息を吐いた。


「はぁ……弾丸を使っても無駄だとお前たちは察しないのか?」


 と言って、ザムは猛スピードで剣を回した。回る剣の刃に触れた弾丸は、次々と斬り落とされた。


「奴は剣を盾に使っている。このまま撃ち続けろ、奴の剣を壊せ!」


 ギルドの戦士たちは大声を上げながら、銃を撃ち続けた。だが、しばらくして弾が出なくなった。


「銃は不便だな。弾切れになると何もできなくなる」


 ザムは勝ち誇ったかのように笑みを浮かべると、魔力を解放して剣を構えた。そして、近くにいるギルドの戦士に接近し、真っ二つに斬り裂いた。


「まず一匹」


 ギルドの戦士を斬り殺した後、ザムはにやりと笑った。その声を聞いたギルドの戦士は怒りの形相を浮かべ、ザムに向かって叫んだ。


「この野郎! 人を虫のように扱いやがって!」


「お前たちは虫のようなものだ。虫を虫として扱って何が悪い。貴様で二匹目だ!」


 そう言って、ザムはそのギルドの戦士に近付いて腰部分に向かって剣を振るった。ザムの斬撃を受けたそのギルドの戦士の上半身は宙に舞い、しばらくして床の上に落ちた。その後、この光景を見て動揺していたギルドの戦士を見つけ、接近して剣を腹に突き刺した。


「三匹目」


 と言って、ザムはにやりと笑った。その時、他のギルドの戦士が剣を持ってザムに襲い掛かった。ザムは三人目の被害者を盾にしてギルドの戦士の攻撃を防御し、被害者の腹から剣を引き抜いた。


「仲間の元へ送ってあげよう。これで……四匹目だ!」


 そう言って、ザムは三人目の被害者と共に攻撃を仕掛けたギルドの戦士を斬り裂いた。


 それから、ザムは次々とギルドの戦士を斬り裂いて行った。ギルドの戦士とザムでは、力の差が違いすぎる。だが、彼らが命を張って攻撃を仕掛けるのも訳がある。正義感もあるが、もう一つの理由……それは、エクスとティノが回復するまでの時間稼ぎ。どこかで戦いを見ていたのだろう。エクスとティノがザムの攻撃を受け、倒れる光景を見ていた。その時、ギルドの戦士はこう思ったのだろう。エクスとティノが命を懸けて戦っている中、自分たちは逃げている。これじゃあギルドの戦士としての誇り、男としての誇りを汚しているではないか。なら、俺たちも戦おうと。エクスとティノのために、命をかけようと。




 一部のギルドの戦士が、私とティノちゃんの治療を行っていた。だが、仲間のギルドの戦士が死んでいくのを見て、悔しそうに歯を食いしばっていた。


「エクスさん……ティノさん……回復を終えたらすぐにあの野郎を倒してください」


「俺たちはこれしかやれません……俺たちの分まで……あの野郎にドでかい一発をかましてください」


 と、悔しい感情を爆発させてこう言った。私はそのギルドの戦士の顔を見て、こう言った。


「ええ。十分わかっているわ。あなたたちの気持ちを込めて、あのクソ野郎に一閃与えるわ」


「私も同じ気持ちです。強い魔力でザムをぶっ飛ばします」


「お願いします。あと少しで治癒が終わりますので、もうしばらくお待ちを……」


 ギルドの戦士はそう言うと、仲間が戦っている様子を見た。私もその様子を見たけど、周囲には大量のギルドの戦士の死体が転がっている。あっという間に倒されたのだろう。ザムの野郎……絶対に許せない。




 ザムは大量のギルドの戦士を殺害し、周囲を見回していた。そして、息を吐いてこう言った。


「やはりギルドの戦士は雑魚だ! 私に一閃の傷すら与えることはできなかった! 相変わらずギルドは愚かだ! 何も変わっちゃあいない! 私にすべてを任せれば、ギルドは素晴らしい組織になっていたのになぁ!」


 と、勝ち誇ったかのように大声でこう言った。まだ戦いは終わっていないというのに、何を言っているのだこいつは? 俺がそう思っていると、ザムはエクスとティノの方を向いた。


「フン。エクス・シルバハートとティノ・オーダラビトを回復させるための時間稼ぎだったわけか」


 ザムの奴は、ギルドの戦士の考えを察したようだ。エクスとティノを治癒しているギルドの戦士は怯えながらも、二人の治癒を行っていた。


「こんなことをしても無駄だというのに……まぁいい。邪魔な奴は処分するだけだ。覚悟しろ、生き残ったギルドのクズよ!」


「クズはあんたよ、クズ野郎!」


 その時、エクスがネメシスソードを手にしてザムに斬りかかった。攻撃を受け、怯んだザムは後ろに下がったが、その隙にティノが炎の拳を放ってザムに攻撃を仕掛けた。


「ぐおおおおお! クソがァァァァァ!」


 ザムは両手で炎の拳を掴み、天井へ向かって放り投げた。その後、ザムは息を切らせながら前を見た。


「貴様らぁ……この短期間で回復を……」


「残念でしたね。ギルドの戦士のおかげで、私たちは復活したわよ」


「あなたが起こした残虐な行為、絶対に許しません」


「半殺しにするけど、勢い余って死んでも恨まないでね。あんたの自業自得、今まで行って来た悪行の報いが来たってことで」


 エクスとティノはそう言うと、魔力を解放してザムに接近した。ザムは剣を持ってエクスの攻撃を防御したが、ティノが上空から風の刃を放った。


「グウッ!」


 ティノが放った風の刃は、かなり鋭かった。ザムは防御して風の刃から受けるダメージを抑えようとしたが、隙ができた。その隙を見計らい、エクスはザムの腹にネメシスソードを突き刺した。


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