表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

139/149

ザムの実力


 グッ! ザムが放つ雷は強い……強すぎる! 剣となった俺でも激痛を感じる。奴の雷を浴び続けていたら、壊れてしまう!


「この……クソ野郎!」


 エクスは魔力を解放して飛び上がり、雷から逃れた。そして、俺に魔力を溜めて風の刃を放った。エクスが放った風の刃は、天井と床を斬り裂くほどの大きさだった。そして、動く速度もかなり早い。これなら奴を斬ることができるか?


「ほう。剣の腕も素晴らしいが、魔力の質も素晴らしい。私たちの仲間になれば、すぐに幹部になれるというのに……残念だ」


 ザムは飛んでくる風の刃を見てこう言った。すると、ザムは風の刃に向かって左手を出した。何をするつもりだ? 左手を自分で斬り落とすつもりか? 俺はそう思っているが、予想は外れた。


「カァッ!」


 周囲に激しいザムの声が響いた。その瞬間、エクスが放った風の刃は大きな音を立てて破裂した。


「く……」


(あの強い魔力を持って放たれた風の刃が……あんな簡単に破壊されるなんて……)


 俺は驚き、エクスは悔しそうな顔をしていた。強い魔力を使って放った攻撃でも、奴には通用しないのか。ザムはエクスの顔を見て、笑みを浮かべていた。


「さぁ、どうした? かかって来ないのか?」


 この言葉を聞いたエクスはため息を吐き、俺を構えてこう言った。


「それじゃあお望み通り来てやるわよ」


 その後、エクスはザムに向かって走り出した。


「てあああああ!」


 エクスは声を上げながら俺を振り回したが、ザムは攻撃を回避していた。しかも、隙もなく動きの無駄もない。これじゃあ攻撃を続けるエクスの体力が消耗するだけだ。


「いい太刀筋だが。この程度なら私に傷一つ付けることはできないぞ」


「あっそう」


 と言って、エクスは笑みを浮かべた。ザムはもちろん、俺もこの笑みを見て不思議に思った。すると、ザムの足元から無数の氷の棘が現れ、ザムを貫いた。


「ガッ……ああ……」


 魔力を感じなかった。ティノはいつの間にか、攻撃の支度をしていたようだ。エクスはこれを狙っていたのか。俺は感心しながら苦しそうにあえぐザムを見た。




 作戦通り! 私がわざとザムに目立つように行動し、隙を見てティノちゃんが攻撃を仕掛ける。いつものコンビネーションがザムの奴にも通用した! さて、そろそろ終わりの時間が近付いてきた!


「これでジャッジメントライトもおしまいね!」


 私はそう言って力を込めてヴァーギンさんを振り下ろした。攻撃は確かにザムに命中した。だが、ザムは攻撃が当たる寸前に体を動かした。そのせいで、大きなダメージを与えることができなかった。あと少しで終わるはずだったのに! 私は悔しそうにしていたが、攻撃を受けたザムは気持ち悪い笑みを浮かべていた。


「私が血を流している……ははは……初めてだよ。私を傷付けたのは」


 と言って、ザムは魔力を解放してティノちゃんが発した氷の棘を吹き飛ばした。この衝撃で、私は少し後ろに吹き飛んだ。着地した私は血を流すザムを見て、ヴァーギンさんを構えた。


「ふぃー、ダメージを負うのがこれだけきついのがようやく理解した気がするよ」


「そりゃーよかったですね。だったら次はそれ以上のダメージを与えてやるわよ」


 私はそう言ってザムに接近した。この時、ザムは余裕の笑みを浮かべていた。また私の攻撃をかわすつもりなのだろう。だけど、今から放つ攻撃は違う。さっきの攻撃はティノちゃんの攻撃の時間を作るために、わざと避けやすいように放っていた囮の攻撃! 今度の攻撃は本気だ!


「私の本気を受けなさい」


 と言って、私は魔力を解放して素早く剣を振るった。私の太刀筋を見たザムは驚いた表情をしていた。


「何……」


 ザムは小さくこう言った後、体中に血が流れた。私は攻撃を止め、後ろに下がった。ザムは私に襲い掛かろうとしたのだが、後ろからティノちゃんが放った風の刃がザムを斬りつけ、上空から炎の拳が降って来て、ザムを押し潰した。


「ぐ……がぁ……」


 ティノちゃんの連撃を受けたザムは、苦しそうな声を上げていた。その直後、魔力を解放したザムが無理矢理炎の拳を消し、私に襲い掛かった。


「私を傷付けたのは褒めてあげよう! だけど、これ以上に傷つけるのはよくないなァァァァァ!」


 ザムは叫びながら私に攻撃を仕掛けた。攻撃が来るだろうと予測していたが、私が予想していたよりもザムの攻撃速度が速かった。私は防御しようとしたのだが、遅かった。


「グゥゥゥゥゥ!」


 攻撃を受け続けた私は傷だらけになっていた。ザムは私の体から血を流しているのを見て、にやりと笑っていた。


「お前もいいダメージを受けているようだな。だけど、これ以上にダメージを受けてもらうぞ!」


 と言って、ザムは私に向かって剣を突き刺した。攻撃までに間があったため、私は防御する余裕があった。だけども、ザムの剣は私の腕を貫き、少しだけ腹に貫いた。


(エクス!)


 脳内でヴァーギンさんの悲鳴が聞こえた。ザムの突きが両腕を貫いた。動かすことができないくらいの痛みが私を襲うが、私は叫び声を上げながら、頭を後ろに下げ、ザムの顔面に向かって頭突きを放った。


「ガァッ……」


 予想外の攻撃だったのか、頭突きはザムの顔面に命中した。ザムは剣を私の両腕と腹から引き抜きつつ、後ろに下がった。この時、ずっと鼻を手で覆っていた。


「なかなかやるようだな……グウッ!」


 突如、ザムは苦しそうな声を上げた。顔を見ると、鼻から血が流れていた。さっきの頭突きで鼻にダメージを負って、そのせいで鼻の中が切れたか、鼻が折れたのだろう。ザマーミロ。


「両腕が使えない状況なのに……よく笑えるな」


「まーね。あんたの無様な姿を見ることができたからね」


 ザムの言葉に対し、私はそう返事を返した。返事を聞いたザムは小さく笑い、魔力を使って鼻を治療した。私も受けた傷を瞬時に魔力を使って治療し、ヴァーギンさんを構えた。


「さて……私を本気にさせたんだ。死ぬかもしれないと思え」


「あんたみたいな奴が、私を殺せると思わないでよ」


「悪は殺す。何が何でもな」


「悪? 悪はあんたでしょ。裏ギルドのリーダーさん」


 私の言葉を聞いたザムは、私に向かって殺意を放った。私はザムを小バカにするような笑みをして挑発したが、ザムは周囲を見回した。恐らく、奴はティノちゃんを狙っている!


「ふん。私の狙いを察したか。だが、襲い!」


 ザムはティノちゃんに向かって猛スピードで移動した。だが、間に合った。私はティノちゃんの前に立ち、剣を振り下ろそうとするザムの攻撃を受け止めた。


「エクスさん……」


「大丈夫、ティノちゃん?」


 私はティノちゃんにこう言ったが、ティノちゃんは悲鳴に似た声を上げた。


「まだザムの攻撃が続いています! 気を付けてください!」


 この言葉を聞いた私はザムを見た。ティノちゃんを守るために集中していたせいで、ザムがどんな攻撃をするか気にしていなかった。ザムは剣の刃に雷の魔力を纏っていた。そして、その雷はヴァーギンさんの刃に命中し、激しい音を発しながら私たちを襲った。




 エクスとティノは悲鳴を上げる間もなく倒れてしまった。俺も……かなりダメージを負った。アソパのせいで受けた傷が痛む。


「フン。私を本気にさせたのは褒めてあげよう」


 と言って、ザムは倒れているエクスに近付いた。まずい、奴は右手に剣を持っている。魔力を感じると、まだ奴から強い魔力を感じる。あれだけの強い攻撃を放っても、余裕があるのか!


「ですが、私を倒せるまでにはいかなかった。少々楽しめたよ。では……ごきげんよう」


 まずい……まずいまずい! エクスが殺される!


(エクス! 起きろ! 起きるんだエクス! ザムが殺そうとしているぞ! 起きろ、エクス!)


 俺は何度もエクスに起きろと叫んだ。だが、エクスは目を覚まさない。ザムは余裕の笑みを浮かべ、剣をエクスに向かって振り下ろした。


「死ぬがいい。我らの怨敵、エクス・シルバハート!」


「言わなかったっけ? あんたみたいな奴が私を殺せると思うなって」


 突如、エクスが目を覚ましてこう言った。そして、振り下ろされたザムの右腕に向かって俺を振るった。


 この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ