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ザムとの戦い


 いよいよジャッジメントライトのボス、ザム・ブレークファートとの戦いが始まる。シク、レパンとの連戦があったけど、この時のために魔力も体力を取ってある。十分に戦うことができる!


 ザムは私とティノちゃんを戦うための場所に案内した。場所というのは、アジトの屋上。かなり広く、隠れる場所もない。真剣勝負を行うとしたら、うってつけの場所だ。


「ここがお前たちの墓場だ」


「何言ってんのよ。私とティノちゃんがあんたみたいな奴に殺されるわけがないじゃない」


 私はヴァーギンさんを構え、ザムを睨んだ。ティノちゃんも杖を構え、魔力を解放する支度をしていた。だがその前に、私はギルドの戦士たちに連絡をした。その時、ザムが私の方を見ていた。


「何をした?」


「後で分かるわよ」


 私がこう言った直後、下から爆発音が響き、煙が発した。ザムは驚いた表情をしたが、何かを察した表情になった。


「そうか、ギルドの戦士が下がったのはデリートボンバーとストッパーブレイクを作る部屋を攻撃するためか……下種なことを考える」


「あんたの方が下種よクソ野郎。あんたが今までやってきたことを思い出しなさい」


 私がこう言うと、足元にひびが入った。おっと、ここは廃墟。長年放置された館だ。爆発させたらこうなることを予測するのを忘れていた。まぁ、あんまり気にしないから大丈夫だけど。


「フン。正々堂々と戦ってお前たちを殺そうとしたのだが……」


「悪党相手に正々堂々と戦うつもりはないわよ。それに、口ではそう言っているけど、真面目に戦う気ないでしょあんた」


「私はお前と違って、真面目に戦うさ」


「口喧嘩は止めましょうエクスさん。そんなことより、地面が割れますよ」


 ティノちゃんがこう言った後、床が割れた。私とティノちゃんは下の部屋に着地し、前を見た。ザムは勢いを付けて下の部屋に着地し、私とティノちゃんを睨んでいた。


「せっかくいい戦いの場を選んだというのに。残念だな」


「余計なお世話よ。どこで戦おうが結局は同じよ」


 私は落ちてきた瓦礫をザムに向かって蹴り飛ばした。ザムは腰に携えてある剣を手にし、蹴り飛ばされた瓦礫を一閃した。ほう。元ギルドの戦士というわけあって、太刀筋は見事だ。


「あまり私に剣を抜かせない方がいいぞ。この瓦礫みたいに斬ってしまうぞ」


「斬られるのはあんたよ」


 私はヴァーギンさんを持ち、ザムに接近した。ザムは私の接近を察し、反撃の態勢を取っていた。


「てあああああ!」


「うおおおおお!」


 私とザムは大声を上げながら、攻撃を始めた。


(グッ! 強い……早い! ザムがこれだけ強いとは……)


 ヴァーギンさんが苦しそうな声を上げている。ヴァーギンさんの言う通り、ザムの太刀筋は確実に私を狙っていて、受け止めた際に感じる重さもかなりある。あいつの攻撃を受けたら死ぬか、大きなダメージを負うだろう。


 だけど、私にはティノちゃんがいる。一人で戦っているわけではない。後ろにいるティノちゃんは魔力を解放し、ザムの死角から魔力で作った雷の矢を放った。


「むっ!」


 ザムはティノちゃんが攻撃を仕掛けたことを知り、周囲を見回した。


「面倒なことを!」


 そう言いながら、ザムは剣を振り回して雷の矢を落とした。その隙を狙い、私はヴァーギンさんを構え直してザムに接近し、振り下ろした。だが、ザムは素早く雷の矢を落とし終え、私の攻撃を防御した。


「早い……」


「私を幹部の連中と一緒にするなよ」


 ザムはそう言うと、素早く剣を振るった。まずいと察した私は後ろに下がり、攻撃をかわした。


「フッ、間一髪避けたか」


 後ろに下がった私を見て、ザムはこう言った。私は呼吸を整え、ザムを睨んだ。




 ザムは予想より強かった。俺が生きていて、奴に挑んだら……やられていたかもしれない。


「どうした、エクス・シルバハート。二人がかりで挑んでも私を傷付けることはできないのか?」


 ザムは得意そうな顔でこう言った。少々腹立つが、本当のことだ。エクスは俺を構え直し、にやりと笑った。


「あんたも強い割に、私に傷付けてじゃないじゃない」


 と、エクスはこう言い返した。ザムは一瞬驚いた表情をしたのだが、すぐに笑みを浮かべた。


「くだらない反論か。まぁいい。最初に傷付くのはお前の方だ!」


 そう言って、ザムは剣を構えてエクスに接近した。その途中、ティノがザムに向かって氷柱を放った。


「氷柱による攻撃か。無駄なことを!」


 ザムは飛んでくる氷柱を剣で振るって破壊した。この時、ザムは氷柱の方に視線が行っていたため、大きな隙ができていた。エクスはこの隙を突き、ザムに接近して俺を振るった。


「ふん。この隙を狙ったか」


 エクスが接近してくることを察していたかのように、ザムはエクスの攻撃を受け止めた。だが、まだティノが発した氷柱は残っている。この状態で戦うつもりか?


「この程度で私を倒せると思うなよ!」


 この時、俺はザムから物凄い気迫を感じた。ザムは素早い動きでエクスの攻撃に対処しつつ、周りにある氷柱を破壊した。エクスはこの速さを見て、驚いていた。


「は……早すぎる。氷柱が一瞬で……」


「私はお前より剣の鍛錬を続けている。まだまだ私を倒すまでにはいかないなぁ!」


 と言って、ザムはエクスに向かって剣を振り下ろそうとした。その時、破壊された氷柱の破片がザムに向かって飛んで行った。


「何!」


「ただの氷柱だと思わないでください。この氷柱は、私の魔力で作られたんですからね!」


 流石ティノ。氷柱が破壊されることを前提に考えていたのか。破壊しても、魔力があればその欠片を使って攻撃ができる。ザムはそのことを予測できていなかった。


「グッ! こざかしい手を!」


「そんな手に引っかかった自分の運のなさを呪いなさい」


 エクスはそう言って、俺を振り下ろした。ようやくザムに一撃与えることに成功した。俺の刃はザムの右胸から左の脇腹に向けて命中した。だが、あいつは中に軽鎧を装備しているのか、そこまでダメージを与えてはいなかった。


「グッ……フフフフフ……」


 ダメージを受けたせいか、何故かザムは大きな声で笑い始めた。笑い声を聞いて、エクスもティノも驚いていた。


「何がおかしいのよ。斬られて頭がおかしくなった? あ、元から頭がおかしかったわね」


「私は正気だ。初めてだ、私に一太刀与えた奴は」


 どうやら、さっきの一撃が人生最初のダメージみたいだ。だとしたら、あいつはギルドの戦士時代から無傷で戦っていたということか。恐ろしい奴。


「二人がかりだが、私に一太刀与えた褒美として、どうしてジャッジメントライトを作ったのか教えてやろう」


「興味ないわよ、そんなこと」


「じゃあ戦いながらでも聞くがいい」


 と言って、ザムは無理矢理過去のことを話し始めた。俺自身、あいつがどうしてギルドを辞め、こんな組織を作ったのか気になる。とりあえず、ザムの話を聞くとするか。




 私は田舎村の出身だ。貧乏な家で生まれた。だが、死んだ両親はしっかりとした人物だった。母から聞いたのだが、私は生まれた時、村中に響き渡る鳴き声を放ったようだ。その声を聞いた村の人は、私は大物になると言っていた。生まれた後、私は半年で立ち上がり、一歳になる前に言葉を発したと言われている。それだけ、他の連中と違うと言われていた。つまり、何かしら天才的な素質があると言うわけだ。


 生まれて四歳ぐらいになる時には、他の四歳児と比べてかなり大きく、二歳上に見られたものだ。その位私は成長が早かった。そして、力も体力もあり、村の保育園で行われた運動会の全ての競技で一位を取った。他の年上の連中もいたが、そいつらをも任してしまうほど、

私は強かった。これを見た村長は驚きの声を上げた。その言葉を今でも覚えているぞ。


「この村から歴史に名を刻むような大物が生まれたかもしれない」


 この時の私はまだ未熟。村長が発した言葉の意味を理解できなかった。だが、この言葉は他の連中と違い、大きく褒められていると理解した。その後、成長した私は学校に入ることになった。


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