アジト内の工場
ソセジさんとエンカが来てくれたおかげで、幹部の最後の一人であるレパンを倒すことができた。レパンはストッパーブレイクを使って我を失ったため、どうしようもない状況になってしまった。そのため、レパンの命を奪ったことで戦いは終わったのだが……仕方のないことだ。そう割り切るしかない。ソセジさんとエンカはレパンとの戦いで戦闘不能になり、後ろに下がることになった。あとは私とティノちゃんが頑張るしかない。
レパンとの戦いの後、私とティノちゃんは奥へ向かった。後ろを見ると、武器を持ったギルドの戦士たちが走っていた。
「我々も行きますよ!」
「あと少しでジャッジメントライトを潰すことができるんです! じっとしてなんかいられませんよ!」
「もうひと踏ん張りです! 頑張りましょう!」
ギルドの戦士たちは、私とティノちゃんに向かってこう言った。彼らの言う通り、あと少しでジャッジメントライトは完全に滅ぶんだ。もうひと踏ん張り、頑張ろう!
走っていると、目の前からジャッジメントライトの戦士たちが現れた。
「見つけたぞ、エクス・シルバハートとギルドの連中だ!」
「シクさんとレパンさんの仇だ! お前たちを必ず殺す!」
「命を懸けて戦うぞ! 必ず奴らを始末しろ!」
ジャッジメントライトの戦士たちは、シクとレパンが倒されたことを把握しているようだ。武器を持って私に襲い掛かって来ているのだが、たとえ戦った後でも雑魚を倒すことはできる。そこまで体力と魔力を使うことはない。
「連戦で私が疲れていると思ったの? 雑魚を倒すくらいの力は十分に残っているわよ」
私はジャッジメントライトの戦士の手足を斬りながらこう言った。私の言葉を聞いたジャッジメントライトの戦士は悔しそうに呟きながら、倒れて行った。普通ならあっさりと散って行く仲間を見た他のジャッジメントライトの戦士は動揺し、逃げるか戦意を失っているが、この場にいる連中は違った。
「アジトを守れ、ジャッジメントライトを守れ!」
「我々がやられたら、ジャッジメントライトは滅ぶ!」
「踏ん張るのだ! 幹部たちがやられた今、戦うのは我らしかいない!」
かなり追い詰められた状態だろうか、ジャッジメントライトの戦士は死ぬ気で私たちに戦いを挑んで来た。必死に戦っているようだが、所詮雑魚は雑魚。私の敵ではない。数分後、ジャッジメントライトの戦士はあっという間に全滅した。私の戦いぶりを見ていたギルドの戦士たちは、目を丸くして驚いていた。
「流石エクスさん。あっという間にジャッジメントライトの戦士を全滅させるなんて……」
「俺たちじゃあできないよ。あんなこと」
「すごい人だ。敵にエクスさんみたいな化け物がいなくて助かった……」
と、次々と驚きの言葉をかけた。
「さ、ボーっとしている場合じゃないわよ。早くザムの所に行かないと」
私はそう言ったが、ギルドの戦士の一人がこう言った。
「何か聞こえませんか?」
「何って……」
「コンベアが動くような音です。あの奥から聞こえてきますよ」
私はその言葉を聞き、奥に何があるか気になった。
「調べてみましょう。皆、武器を構えて」
私はそう言って、前を歩いた。
このアジトには一体何があるのだろう。俺はそう思いながら、周囲を見回した。奥に行くたび、戦士の一人が言っていたコンベアが動くような音が徐々に大きく聞こえてきた。あいつらはここで何を作っているのだろう?
「この部屋から聞こえますね」
ティノが近くの扉を調べてこう言った。エクスはドアノブを回して扉を開けようとしたのだが、扉は開かなかった。
「鍵がかかっているわね。しょうがないわ」
と言って、エクスは扉を蹴って破壊した。無理矢理な行動を見たギルドの戦士たちは驚いたが、エクスがどんな行動をするか把握しているティノは動じる様子を見せなかった。改めて部屋の中を見ると、そこには大量のデリートボンバーが置かれていた。
「あ! あれを見てください!」
戦士の一人が指を指してこう言った。指先には、音を立てて動くコンベア。その上には製造途中のデリートボンバーが流れていた。
「この部屋で、デリートボンバーを作っていたようね。破壊しましょう」
エクスは物騒なことを言ったが、ギルドの戦士たちが慌てて止めた。
「ちょっと待ってください。今壊したら、俺たちの仲間にも被害が及びます!」
「壊すタイミングを考えましょう」
「そうね。とりあえず、この部屋を調べましょう。もしかしたら、ストッパーブレイクを作る部屋もあるかもしれないわ」
エクスの言葉を聞き、ギルドの戦士たちは急いで動いた。
それからしばらくして、エクスとティノはデリートボンバーを作る部屋を調べ終えた。
「ジャッジメントライトの戦士はいなさそうですね」
「私たちがアジトに潜入したから、その対応で皆出て行ったと思うわ。部屋に入っても、誰一人来ないんだから」
エクスとティノは話をしながらデリートボンバーを手にし、部屋の至る所に設置していた。その後、エクスはギルドの戦士たちにデリートボンバーを渡し、こう言った。
「一度戻って、至る所にこいつを設置して。それで、ギルドの戦士たちが全員安全な場所に避難したら爆発させて」
「エクスさんはどうするんですか?」
「私のことは気にしないで。爆発に巻き込まれてもどうにかするから大丈夫だから」
「私もエクスさんと一緒にいますが、大丈夫なので爆破しちゃってください」
エクスとティノの話を聞き、ギルドの戦士は戸惑いながらも返事をした。その直後、別の部屋を調べていたギルドの戦士たちがやって来た。
「向こうの部屋はでストッパーブレイクを作っていたぞ!」
「分かったわ。それじゃ、こいつを使って」
と言って、エクスはその戦士たちにデリートボンバーを渡した。デリートボンバーを渡されそうになった戦士は、戸惑いながらこう言った。
「あいつらの使う爆弾ですか……これを使うのは……」
「使えるもんはどんどん使いましょう。アジトが爆発されてあいつらが文句を言うと思うけど、こんなもんを作った奴が悪いのよ」
エクスの言葉を聞き、ギルドの戦士は了解と返事してストッパーブレイクを作る部屋に戻った。しばらくして、戦士たちがエクスとティノの元に集まった。
「あの部屋にデリートボンバーを仕掛け終えた?」
「はい。すぐにでも爆破できます」
「分かったわ。それじゃ、あなたたちは戻って作戦通りにデリートボンバーを仕掛けて。私とティノちゃんはザムの所へ向かうから」
「了解です」
ギルドの戦士たちはそう言って、戻って行った。残ったエクスはティノの方を向き、こう言った。
「ティノちゃん、いよいよ最後の戦いよ。覚悟はできてる?」
「ええ。早くザムの元へ向かいましょう」
「そうね」
「そんなことをする必要はないぞ。私自らが来てやったんだからな」
突如、扉の方で声がした。後ろを振り向くと、ザムの奴が立っていた。ティノは驚いていたが、エクスは鼻で笑って口を開いた。
「あら。ボス自らが来てくれるなんて優しいわね」
「私は紳士的だからな。それよりも、ギルドの戦士はどうした?」
「怖くて戻ったのよ」
エクスはそう嘘をつくと、ザムは小さく笑った。
「そうか。ギルドはいつの間にか、臆病者の集まりになったようだな」
この言葉を聞き、ザムはエクスの嘘を信じたようだ。少し怪しいが……しばらくすると、ザムはエクスを見てこう言った。
「戦場を用意してある。そこでなら、邪魔は入らないだろう」
「あらま。準備をしていたのね」
「いつかお前たちが来ることを察知していたからな。その時のためにな」
「私たちが途中でやられるって考えないの?」
「考えてないさ。部下の連中はお前に勝てないって思っていたからな」
「信じてないのね」
「そうだ。お前が私の部下になるんだったら、信じてやってもいいぞ」
「なるわけないでしょうが」
「そうだろうな。とにかく戦場へご案内しよう。早くジャッジメントライトの怨敵をこの手で始末したいしな」
と、ザムは自信ありそうな顔でこう言った。
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