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アジトの奥へ


 あらゆる手を尽くして、私たちはアジトの奥へ進むことができた。きっと、強い奴が奥にいるだろう。私は油断しないように動いていたのだが、だが、一部のギルドの戦士は怒りで我を忘れていた。仲間が目の前で殺されたから、怒りで我を忘れるのも分かる。


「出て来い、ジャッジメントライトのクズ共!」


「俺たちが始末してやる!」


「ビビっているのか? 隠れてないで出て来い腐れ陰キャ!」


 などと、ギルドの戦士は罵倒しながら移動している。中には、ギルドの戦士が発言していいのだろうかと思うような言葉も出てくる。まぁ、あいつらに対して大きな怒りを爆発させているのは分かるけど、もう少しオブラートに包んでほしいと思う。そう思った直後、目の前から武器を持ったジャッジメントライトの戦士が現れた。


「出たかクソッたれ共!」


「全員殺してやる!」


 ギルドの戦士たちは銃を構え、タイミングをずらして引き金を引いた。ジャッジメントライトの戦士はジグザグに走って弾丸をかわそうとしたのだが、バラバラなタイミングで引き金を引かれるため、どのタイミングでどの銃弾が飛んで来るか分からないだろう。そう思っていると、一部のジャッジメントライトの戦士が弾丸を受けて後ろに吹き飛んだ。


「うっしゃ! 当たった!」


「ザマーミロ!」


「あの世へ逝きやがれイカレ野郎!」


 ギルドの戦士たちは攻撃が当たったことを察し、嬉しそうにガッツポーズをとった。私とティノちゃんは冷静にこの様子を見て、話をした。


「ティノちゃん、魔力を解放しているわね」


「はい。エクスさんもあのジャッジメントライトの戦士の様子を察したようですね」


 私とティノちゃんだけが、今出てきたジャッジメントライトの戦士がストッパーブレイクを使って強化されているのだと把握できていた。私とティノちゃんは急いで倒れたジャッジメントライトの戦士の前に立ち、追撃を放った。私が目の前に出てきたためか、ギルドの戦士は私の行動を見て驚いていた。


「え……エクスさん!」


「そこまでやらなくても。あいつらはまともに弾丸を受けたんですよ?」


「見てくださいよ、あいつらの体から血が出てるんですよ。とどめを刺さなくてもほっとけば死にますって」


 私とティノちゃんが動いたのに、ギルドの戦士たちはまだ気付いていないのか。呆れた私は大声で怒鳴った。


「弾丸が命中したからって油断しないで! こいつらは、ストッパーブレイクを使って強化されているわよ!」


 私の怒鳴り声を聞き、ギルドの戦士たちはようやく敵の様子を把握したようだ。遅すぎる。私はネメシスソードを持って後ろに下がり、ジャッジメントライトの戦士の様子を見た。ティノちゃんが風の魔力で攻撃をしてくれたおかげで、さらに傷を付けることができたんだけど、ストッパーブレイクを使っている以上、どんな傷を受けてもあいつらは立ち上がるだろう。


「エクスさん、あいつらが立ち上がります」


 ティノちゃんがこう言った。弾丸を受け、私とティノちゃんの追撃を受けたはずなのに、ジャッジメントライトの戦士は立ち上がろうとしていた。


「来るわよ皆、構えて!」


 私の言葉を聞き、ギルドの戦士たちは武器を構えた。




 アジト内にストッパーブレイクを使った戦士たちが現れるのは予測していた。俺が不安なのは、あの戦士たちが使ったストッパーブレイクの効能が強くなっているかどうかだ。もし、アソパとの騒動で使われたストッパーブレイクより強くなっていたら、ギルドの戦士たちが手に追えるかどうか不安だ。


「エクス……シルバハート! 殺す! 絶対に殺す!」


「ついでにギルドの戦士共も殺す! 血祭りにあげてやる!」


 ジャッジメントライトの戦士の殺意がこもった声を聞き、ギルドの戦士たちはにやりと笑った。


「かかって来いよジャンキー共」


「薬で得た力なんて無意味で価値がないってこと、俺たちが教えてやるぜ!」


 ギルドの戦士たちはそう言って銃の引き金を引いた。放たれた弾丸は一直線にジャッジメントライトの戦士に向かったが、ジャッジメントライトの戦士は弾丸を受け止めてしまった。


「何! 弾丸を受け止めやがった!」


「威力、速度があるはずなのに!」


「今俺たちが使っている銃は……最新型だぞ!」


 ギルドの戦士たちは驚き、その場で固まってしまった。その隙に、ジャッジメントライトの戦士が反撃のため動き始めた。今の奴らの目標はギルドの戦士たち。一瞬だけ、エクスとティノの方から目をそらした。


(エクス。今なら奴らを斬ることができる)


(ええ! すぐに動きます!)


 エクスはすでにこの状況を察していた。そして、ティノもストッパーブレイクに犯されたジャッジメントライトの戦士を一掃すべく、動きを見せていた。


「これで倒れてください!」


 ティノが放ったのは強力な電撃。この電撃を受けたジャッジメントライトの戦士は悲鳴を上げながら体を動かしていた。感電しているのだろう。激しく体が動いているため、威力が高いのだろう。その隙にエクスがネメシスソードを持って魔力を解放し、物凄い速さで移動しながらジャッジメントライトの戦士の腕や足を斬り落としていった。


「これで終わり」


 エクスはそう言ってネメシスソードを鞘に納めた。次の瞬間、ジャッジメントライトの戦士の腕や足がずれ落ち、それに続くかのように戦士たちの体が倒れた。


「な……何とかなった……」


「死ぬかと思った」


「助かりました、エクスさん、ティノさん」


 ギルドの戦士たちは安堵の息を吐きつつ、エクスとティノに礼を言った。




 さて、ジャッジメントライトの戦士を倒したし、奥へ進もう。私はそう思って先頭に立って歩いた。しばらく歩いていると、強い魔力と殺意を感じた。この魔力は感じたことがある。奥に、シクがいる。


「皆、奥にシクがいるわ」


 私の言葉を聞いたギルドの戦士たちは、とっさに身構えた。一緒に戦ってくれるのだろう。だけど、ギルドの戦士じゃあシクには勝てない。ベトベムが攻撃された時に、私はシクの左腕を斬り落としたが、それでも勝てないだろう。


「私が行くわ。ティノちゃん、もし、私がやられたらシクをぶっ飛ばして」


「そんなことを言わないでください。私はエクスさんが勝つことを信じています」


 私はティノちゃんの言葉を聞き、笑顔を見せた。


「ありがと。それじゃ、すぐに終わらせるから」


 と言って、私は先に前へ向かった。


 一人で歩き始めて一分も経っていないが、広く大きな部屋に到着した。中央にはちょっとした段差があり、周囲にはいくつか柱が立っている。その部屋の中央に、シクが私を待っていたかのように立っていた。


「ここまで来るとは思ってもなかったわ」


 私を見たシクは立ち上がり、羽織っていたコートを脱ぎ捨てた。私はシクの体を見て驚いた。


「あらま。義腕があったのね」


 シクは失った左腕を補うかのように、義腕を付けていた。ベトベムから逃げてアジトに戻る間に、義腕を取り付ける時間があったのか。まぁ、そんなことはどうでもいい。


「あんたのおかげで、これを付ける羽目になったわ」


「よかったじゃない。もしかしてそれ、手の甲からビームとかバルカンとか出るの? 男の子がそれを見たら、目を輝かせるわ」


「そんな武器はないわよ。義腕を付けても、片腕で戦うことには変わりないんだから」


 と言って、シクは小剣を持って私に襲い掛かった。この時、殺意を感じなかった。だが、攻撃の間際に足が動いたため、攻撃するだろうと予測することができた。


「クッ!」


「あらま、剣も新しいのに変わっているじゃない。ベトベムで戦った時の剣よりも、高そうじゃないの」


 私はネメシスソードでシクの攻撃を受け止め、笑いながらこう言った。私にまだ余裕があると察したシクは、後ろに下がって魔力を解放し、再び私に攻撃を仕掛けた。


「うおおおおお!」


 シクは大声を上げながら何度も小剣を振るっているが、何度も戦ったため、大体の動きの癖は理解できた。怪我は治り、義腕を付けたとしても、ベトベムで戦った時とあまり変わりはしない。


「これで本気なの?」


 私はそう言って、ネメシスソードを振るった。シクは攻撃を防御しつつ、後ろに下がって私を睨んだ。


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