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アジトへ乗り込め!


 いよいよジャッジメントライトとの決戦が始まる。私はそう思いながら、山道を歩いていた。道中ジャッジメントライトが仕掛けた罠があるのではと思ったが、それらしい物はなかった。


(罠はなさそうだな。あいつらのことだ、俺たちがアジトに到着した時、攻撃を仕掛けるかもしれないな)


(かもしれませんね。今、あいつらは追い詰められています。やけになって変なことにならないといいんですが)


 と、私は心境をヴァーギンさんに伝えた。追い詰められた人ほど、何をするか分からない。爆発物を体に巻いて私たちを道連れにして爆発するかもしれないし、ストッパーブレイクを大量に使って戦うかもしれない。ありとあらゆることを考えながら、私は山道を歩いた。


 数分後、ジャッジメントライトのアジトと思われる廃墟の前に到着した。遠くから見えたため、近くで見るとかなり大きいのだろうと私は思っていた。予想通り、あいつらのアジトはかなりでかかった。そして、門の前には銃や剣をもったジャッジメントライトの戦士が立っていた。


「来たな、愚かなギルドの戦士共よ!」


 ジャッジメントライトの戦士は私たちを見て、武器を構えて走り出した。ギルドの戦士たちは銃を構え、一斉に引き金を引いた。無数に放たれる弾丸がジャッジメントライトの戦士を撃ち抜き、その後ろにある門に弾痕を付けた。威力の高い銃だ。人の体を撃ち抜き、その勢いで後ろの門に命中するんだから。


「が……がぁぁ……」


「クソッたれが……」


 体を撃ち抜かれた以上、生きることは不可能だ。少しやりすぎだろうと私は思い、ティノちゃんと共にジャッジメントライトの戦士の死体を見ないように視線を動かした。


「行きましょう、エクスさん」


「あなたの戦いのルールは我々も把握しています。ですが、奴らは命を懸けて我々を殺しに来ています。我々も死にたくないため……銃を使うしかないのです。我々の愚かな考えを……理解してください」


「大丈夫。理解できているから。誰だって、死にたくないからね。ただちょっと……私がまだ甘いだけ」


「エクスさんだけは、その甘さを……優しさを捨てないでください。非情になるのは……我々のような奴だけでいいんですから」


「そう……分かった」


 私はそう答えながら、ギルドの戦士と共にジャッジメントのアジトへ乗り込んだ。この銃撃音は周囲に響いただろう。だとしたら、連中は私たちがここに来たことを把握したはず。何が起こるか分からない。気を引き締めて行こう。




 アジトに到着したが、周囲には何もない。だが、これはいつものジャッジメントライトが使う手だ。奇襲。何もないと相手に錯覚させ、油断した時に攻撃を仕掛ける。だが、今の俺たちは違う。敵の奇襲があるだろうと察し、武器を構えている。


「いいか? 気配を感じたらすぐに攻撃を仕掛けろ」


「はい」


 ギルドの戦士のリーダー格が部下にこう言った。エクスはネメシスソードを手にし、ティノも杖を持って周囲を見回している。そんな状態の中、エクスたちはゆっくりと歩いていた。すると、ギルドの戦士の一人が声を上げた。


「何か引っかかった」


「なっ! すぐに離れろ!」


 リーダー格の声を聞き、エクスたちは後ろに下がった。その瞬間、突如周囲に火が放たれた。


「これは……」


「敵の罠だ。目で見えない糸を使ったんだ。触れたら、火が発するように作ったんだな」


「罠があるとしたら、敵が動く可能性がある。皆、気を付けて!」


 エクスの声を聞き、ギルドの戦士たちは各々の武器を構え、周囲を見回した。すると、周囲の窓が割れ、外にいたジャッジメントライトの戦士たちが中に入って来た。


「罠にかかったな!」


「マヌケ共が! ここがお前らの死に場所だ!」


 ジャッジメントライトの戦士はそう言いながら、俺たちに近付いて攻撃を始めた。ギルドの戦士たちは応戦したのだが、足元にはさっきの罠によって火が発生している。こんな状態の中、まともに戦うことはできない。


「クッ、足元が!」


「うわっ! 足に火が付いた! 誰か消してくれ!」


「あちちちちち! 燃えちまう!」


 ギルドの戦士たちに火が付着し、それが原因でまともに戦うことができなかった。ジャッジメントライトの戦士はその隙に攻撃を仕掛けた。


「死になさい!」


 ジャッジメントライトの戦士は銃を構え、ギルドの戦士たちに向けて発砲した。


「我々の仲間もこうやって殺したんでしょう? 自業自得と思いなさい!」


 一部のジャッジメントライトの戦士は、外で起きた銃撃戦のことを把握しているようだ。恨みがこもった弾丸だ。俺でも分かる。エクスとティノは周囲に飛び交う火をかわしながらも、バリアを発生させてギルドの戦士たちを守ろうとした。だが、ジャッジメントライトの戦士は周囲にいる。そして、足元には蛇のように動く火。こんな状態の中、まともに動くことも戦うこともできなかった。エクスは死んでいくギルドの戦士たちを見て、歯ぎしりをしていた。


「あなたたち……許せない!」


 エクスは魔力を解放させて火を消滅させ、銃を持つジャッジメントライトの戦士に近付いた。


「エクス・シルバハートだ!」


「構わない、撃ち殺せ!」


 ジャッジメントライトの戦士はエクスに銃口を向けて引き金を引こうとしたのだが、その前にエクスがネメシスソードを振るい、ジャッジメントライトの戦士の手を斬り落とした。


「な……うわあああああ!」


「俺の手が……両手がぁ!」


「痛い! この痛みをどうにかしてくれ!」


 両手を失ったジャッジメントライトの戦士は、動揺し、叫びながら周囲を走り回った。そんな中、何かを知っているジャッジメントライトの戦士が仲間の方を見て叫んだ。


「バカ! そっちに行くな! あれがあるだろうが!」


「あれ? あ……」


 あれと呼ばれる物を思い出し、そのジャッジメントライトの戦士は動きを止めようとしたのだが、無駄だった。宙に浮いていた右足を床に置いた瞬間、爆発が起きた。まさか、この周囲には地雷型のデリートボンバーが埋められているのか!


「クッ、対侵入者用のデリートボンバーが発動しやがった……」


 木端微塵になった仲間を見て、悔しそうにジャッジメントライトの戦士が呟いた。そんな中、エクスがその戦士に近付き、ネメシスソードをのどに近付けた。


「デリートボンバーがどこに埋められているのか教えなさい」


 エクスにこう聞かれ、その戦士は動揺せずこう言った。


「敵に教えるか。お前らはデリートボンバーを踏んで、木端微塵に吹き飛んでしまえ」


「あっそう。それじゃあ……仕方ないわね」


 エクスはその戦士を片手で持ち上げて、周囲の戦士に見せびらかすようにした。


「こいつの命が欲しければ、私の言うことを聞きなさい」


 エクスの声を聞き、他の戦士たちは動揺して動きを止めた。エクスの予想外の行動を目の当たりにしたティノは、慌てながらエクスにこう言った。


「エクスさん、それじゃあこっちが悪人みたいだと言われますよ。他にも何か方法はあるはずです」


「今はこれ以外の方法はないの。ごめんねティノちゃん」


 そう言っているエクスだが、なんだかノリノリのようだ。その様子を見たジャッジメントライトの戦士は、俺たちに手も足も出ない様子だった。




 ジャッジメントライトの戦士を盾にして、私たちはアジトの奥へ進んだ。盾にしている戦士が埋められているデリートボンバーの場所を知っているおかげで、私たちはデリートボンバーを踏むことはなかった。


「で、シクやザムはどこにいるの?」


「分かりません。あの人たちはよく、部屋を変えていますので……」


「あっそう。ま、魔力を探知して進むわ。この辺にデリートボンバーは埋められてる?」


「いえ……ありません。デリートボンバーは一階のロビーにしか埋められていません」


「それじゃあここら辺にはないのね。ならいいわ」


 私はそう言って手にしたジャッジメントライトの戦士を開放した。その戦士は慌てながら、私たちから逃げて行った。ま、逃げる雑魚を追いかけても無駄だし、先に進むことにしよう。


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