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ジャッジメントライトのアジトへ


 ベトベムの襲撃から約一時間後、私とティノちゃん、そしてギルドの戦士たちを乗せたトラックが北西にあるジャッジメントライトのアジトへ向かって走り出した。私とティノちゃんが乗るトラック以外にも、何台ものトラックが前後左右に存在する。恐らく、ベトベムのギルドの戦士のほとんどが無数のトラックに乗っているだろう。


「いよいよジャッジメントライトとの決戦ですね」


 私の横に座っているティノちゃんがこう言った。確かにそうだ。今から始まるのはジャッジメントライトとの決戦。アジトには深手を負ったシクともう一人の幹部、レパン。そしてボスであるザムがいる。あいつらを倒せば、ジャッジメントライトは完全に崩壊する。今日で奴らとの因縁に決着を付けないと!


「そうね。ティノちゃん、厳しい戦いになると思うから、死ぬ覚悟を持って戦ってね」


「はい。覚悟はできています」


 ティノちゃんはそう答えているが、どこか緊張感を持っている。今から始まるのは生きるか死ぬか分からないとんでもなく大きな戦い。緊張感を持つのは当たり前か。他のギルドの戦士を見回すと、やる気のある者、死ぬかどうか分からない戦いを前にしてティノちゃんと同じように緊張感を持つ者と分かれていた。


 私はさっき、シクと戦ったせいか緊張感を持っていない。まだ戦えるためか、緊張感すら感じない。そう思っているなら、まだ私は余裕があるのだと自分で思った。


 しばらく走っていると、突如車が止まった。一部のギルドの戦士は立ち上がり、窓から外を見た。


「おい! ジャッジメントライトの戦士がいるぞ!」


「うげぇ! それも大量にだ! こっちに向かってくる!」


「俺たちが来るってことを察したのか!」


 私はネメシスソードとヴァーギンさんを持ち、外に飛び出た。見回すと、武器を持った大量のジャッジメントライトの戦士がこっちに向かって走っていた。


(傷を負ったシクがアジトに到着して、エクスにやられたことを話したんだろう)


(ええ。それで、ドローンで追尾されたことを奴らは把握した。だから、足止めであの戦士たちをよこした)


(エクス。あいつらは弱い。すぐに片付けて皆でアジトに向かうぞ)


(はい!)


 私はネメシスソードを手にし、迫りくるジャッジメントライトの戦士を睨んだ。




「エクスだ……エクス・シルバハートだ!」


「一人で私たちと戦うつもりか!」


「面白い、返り討ちにしてやるぞ!」


 私の姿を見たジャッジメントライトの戦士は、次々とこう言った。私を相手にして勝てるとでも思っているのだろうか。そう思っていると、目の前に巨大なバイクに乗ったジャッジメントライトの戦士が現れた。


「このスパラ様が一番乗りだ! エクス・シルバハート! お前の首は我が貰う!」


 と言って、スパラとか言った奴は私に向かって大剣を振り下ろした。私はネメシスソードを振るってスパラが持つ大剣の刃を斬った。


「え……えええええ! 我の大剣が!」


「そんなオンボロを使うからこうなるのよ」


 私はそう言いながら、スパラの顔を蹴った。その衝撃で、スパラはバイクから手を放し、地面に激突した。


「うわあああああ! スパラのバイクがこっちに向かってくる!」


「く……来るなァァァァァ!」


 乗り手を失った巨大なバイクは、暴走したまま他のジャッジメントライトの戦士に向かって走って行き、激突して爆発した。これで少しはジャッジメントライトの戦士の数が減っただろう。そう思っていると、私の周りを取り囲むように剣を持ったジャッジメントライトの戦士が現れた。


「エクス・シルバハート! 先に行きたければ我らを倒すことだな!」


「我らテンブレード! ジャッジメントライトを守る十本の剣である!」


「ジャッジメントライトを脅かす悪は、我らが斬る!」


 何か変な奴に喧嘩を売られたようだ。魔力を察知しても、こいつらは他の戦士と同じ実力だ。そんなんでよくもまぁ変な通り名を自分たちに付けること。


「なーにがテンブレードよ。アニメやゲームに影響された思春期が考えそうな名前を付けるんじゃないわよ。それに、あんたらいい歳したオッサンでしょ? それでそんな名前を付けるの? はっきり言ってダサいわよ」


 私が呆れながらこう言うと、十人のうちの一人が苛立ちながら私に斬りかかった。


「我らを侮辱するなァァァァァ!」


 そう叫んだ直後、ティノちゃんが発した雷が攻撃を仕掛けた奴の上に落ちた。


「エクスさん。雑魚の数が多すぎるので、私も手伝います!」


「ありがとう。でも、本気を出しちゃダメよ。あいつら、手を抜いてでも勝てる相手だから」


「はい。ほどほどに魔力を使います」


 私とティノちゃんの話を聞いたジャッジメントライトの戦士たちは、武器を持って私とティノちゃんに向かって攻撃を仕掛けてきた。


「エクス・シルバハート! ティノ・オーダラビト! 我らを侮辱するなァァァァァ!」


「お前たちは絶対に、ここで殺してやる!」


「我らの怨敵は、我らの手で葬る!」


 そう言って攻撃を仕掛けてきたのだが、他のギルドの戦士の攻撃がジャッジメントライトの戦士を襲った。


「へへっ。敵はエクスさんとティノさんだけじゃねーぜ!」


「俺たちのことを忘れんなよ、ジャッジメントライト!」


 ギルドの戦士たちは攻撃を仕掛けた後、外に飛び出してジャッジメントライトの戦士に攻撃を仕掛けた。私とティノちゃんは協力して周りにいるジャッジメントライトの戦士を攻撃し、一気に数を減らすことを考えた。それからしばらく戦いは続いた。


 数分後、ジャッジメントライトの戦士はあっという間に全員倒された。私とティノちゃんが手っ取り早く攻撃したためか、ジャッジメントライトの戦士はストッパーブレイクを使う余裕さえなかったようだ。


「そ……そんな……これを使う余裕が……」


 近くに倒れていたジャッジメントライトの戦士が、懐からストッパーブレイクが入った小さな袋を取り出した。私は素早くその袋を踏みつけ、靴底で何度もぐりぐりと動かし、袋を破いた。


「ああ! ああ……」


 風によって舞うストッパーブレイクを見たジャッジメントライトの戦士は、残念そうで情けない声を上げた。


「そんなもんに頼ったら、一生私を倒せないわよ」


 私はそう言って、その戦士の腹を蹴って気を失わせた。その後、私たちはトラックに戻った。




 無駄な足止めを喰らってしまったが、この戦いのおかげでギルドの戦士たちはやる気がわいてきたようだ。


「今の戦いで、俺たちならやれるって分かったな」


「ああ! 今の奴らが大量に出て来ても、俺たちの手でやれる!」


「雑魚が相手なんだ! サクッと終わらせていい酒を飲もうぜ!」


 ギルドの戦士たちは笑いながらこんなことを言っている。私とティノちゃんはため息を吐き、口を開いた。


「今のジャッジメントライトの戦士はただの足止めなのに」


「私の予想だけど、アジトの中にはさっきの戦士より強い奴らがうじゃうじゃいると思うわ。それに、ストッパーブレイクを使った奴もいるかもしれない」


「そうですよねぇ。緊張感を持っていた方がいいのに……今はのんきにげらげら笑いながら話しちゃって……」


 私とティノちゃんは気楽な空気のギルドの戦士を見て、少し不安に思った。ジャッジメントライトを追い込むことができたが、追い込まれた時に何をするか、何をされるか一番わからないものだ。特に、ジャッジメントライトはよく奇襲を行う。相手を殺すと決めたら、卑怯だと言われても気にせずどんな方法でも使って相手を殺しにかかる。そんな奴らを相手に、緊張感をなくしたらどうなるか……まぁ、いざとなったら私とティノちゃんで守るしかないか。私はそう思いながら、再び深いため息を吐いた。


 しばらくして、トラックが停まった。外に出ると、木々が生い茂った場所に到着していた。


「トラックで来れるのはここまでです。あそこですね、ジャッジメントライトのアジトは」


 運転手はそう言いながら、森の方を指差した。ここからでも分かる。遠くにあるのだが、奴らがアジトとする廃墟が見えた。


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