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アソパの元へ向かえ!


 ボロ小屋にいたジャッジメントライトの見張りを一掃した後、私とティノちゃんはボロ小屋の入口へ向かった。一部のギルドの戦士たちは捕らえたジャッジメントライトの見張りを連行するため、一時ギルドへ戻った。今、残ったのは五人だけだ。


「さて。ここからきつい戦いになると思うから、気を引き締めてね」


 私がこう言ったが、残ったギルドの戦士たちは高笑いしていた。


「大丈夫ですって! 俺たちも鍛え続けたんで!」


「ジャッジメントライトの連中は俺たちに任せてくださいよ!」


「エクスさんは、アソパの野郎を斬って来てください!」


「それじゃ、俺たちは先に行きますので!」


「多分、俺たちで決着を付けると思いますよ! 俺たちの活躍を期待していてください!」


 と言って、五人のギルドの戦士たちは私とティノちゃんより先にボロ小屋の中へ入ってしまった。


「あ! あーあ、存在を知られているから慎重に行った方がいいのに」


「そうね。それよりも、私たちも中に入りましょう。アソパの野郎を倒したいし」


(気を付けろよ二人とも。ただのボロ小屋に見えるが、奴らのことだから何か仕掛けがあるかもしれないぞ)


(はい。奴らが何もしないってことはありえませんので)


 ヴァーギンさんは中の様子が少し心配のようだ。先走ったギルドの戦士たちも不安だし、早く中に入ってササッとアソパを倒さないと!




 ボロボロな外見の通り、中もかなりボロボロだった。壁ははがれて、床も木が割れて所々穴が開いている。


「うげぇ……臭いです。鼻が曲がりそうです……」


「本当に臭いわね。長年使っていなかったせいか、壁が腐食したのね」


 私は鼻をつまみながら壁を見た。壁は腐っていて、コケらしきものもへばりついていた。それに、時折足元には大きな毛虫やムカデが走っている。ティノちゃんはそれらを見たせいで、私に抱き着いている。


「ティノちゃん、ムカデや毛虫は何もしなければ刺さないわ。多分」


「でも怖いです。気持ち悪いです。エクスさんはあれを見て気持ち悪くないんですか?」


「剣聖の森に比べたら大したことないわ。あの森には、化け物並みの大きさのムカデもいたし、危険な毒を持った大きな虫もたくさんいたわ」


「よくあんな所で三年間も生活できましたね」


「刺されても魔力を使ってどうにかしたわ」


 私とティノちゃんが話をしていると、壁を突き破りながら何かが現れた。ティノちゃんは驚いたが、私は冷静にそれを確認した。


「はぁ……最悪。ギルドの戦士の一人よ」


 私はため息を漏らしながらこう言った。私の口調で、ティノちゃんはこのギルドの戦士がどうなったのか察したようだ。


「誰かに殺されたんですか?」


「そうね。外傷はないから、多分魔力か何かを体内に侵入させて、中から何かやったのよ」


「じゃあ、この人を殺した人が近くにいるってことです」


「そういうこと。残りの四人を探したほうがいいわね」


「はい」


 私とティノちゃんが次の目的を決めた直後、足音が聞こえた。私は剣を構え、ティノちゃんは弱く魔力を解放した。誰が来たのか分からないため、私とティノちゃんは気配を消し、足音を立てないように歩いた。気配が近くなったのを察し、私は剣を構えた。


「誰?」


 私がこう言うと、足音の人物は悲鳴を上げながら手を上げた。その人物は、先走ったギルドの戦士の一人だった。


「あなただったのね。生きててよかった」


「生きててよかった……本当にそうだよ。なぁ、俺以外の戦士は見つかったか?」


「一人は死んだわ。多分、魔力か何かで殺された。他の三人はまだ分からない。あなたは早く逃げた方がいいわ」


「そうするよ。この小屋にいる奴らは俺らじゃ手に負えない。見張りの連中は雑魚だったんだ」


 ギルドの戦士はそう言った後、急いで玄関へ向かって走って行った。一人は無事のようだ。よかった。そう思いながら、他の三人を見つけると同時に、小屋の中を調べ回った。


 しばらく歩いたが、小屋の中に目立つものはなく、先走った三人のギルドの戦士も見つけることもできなかった。


「一体どこに行ったんでしょうか?」


「あの五人が入ってしばらくしてから私たちが入ったから、遠くへ行ってはいないわ」


「にしても、何もない小屋ですね」


「油断しちゃダメよティノちゃん。あいつらのことだから、小屋を改造して変な部屋を作ったかもしれないわ」


 私はそう言いながら、近くの壁を見回した。ジャッジメントライトの立場になって考えろ。重要な施設を作るとしたらどこに作る? まず、人目が付かない場所。そして、秘密部屋みたいな特殊な道具や鍵がないと開かない場所。そこに作るだろう。


「壁の奥にあるかもしれないわね」


 私はそう言って、近くの壁を裏拳で軽く殴った。すると、壁は音を立てて崩れ、その奥には上の階に繋がる階段があった。


「あらまー。まるでゲームみたいですね」


「確かにね。隠し階段とか見つけると、本当にテンションが上がったわ」


 私とティノちゃんはそんな話をしながら上の階に行こうとしたのだが、上から魔力を感じた。私とティノちゃんは反射的に横の壁に移動し、上から襲い来る魔力の波動をかわした。


「あんたらも隠し階段を見つけるなんてね。さっき、ギルドの奴を始末したばかりなのに……また戦うことになりそうね」


 上から女性の声が聞こえた。話を聞く限り、あの時見つけたギルドの戦士を殺したのは、この女性で間違いない!


「あんたね。ギルドの戦士を殺したのは」


 私はその女性の視界に入るように姿を出し、剣を向けた。その女性は黒いローブを羽織っていて、手には煙草のような物を持っていた。女性は煙草を口に咥え、魔力の火で煙草に火を付けてこう言った。


「その通りよ。あのギルドの戦士を殺したのは私、ラーパよ。ま、他の三人は隙を見て上の階に向かったけど」


 どうやら、先走ったギルドの戦士の三人は生きているようだ。先にジャッジメントライトの重要な施設を見つけ、向かったようだ。なら早く合流しないと!


「そこをどきなさい。どかなかったら斬るわよ」


「やれるもんならやってみなさいよ。エクス・シルバハート。あんた、強くなったみたいだけど、経験じゃあ私の方が上なのよ」


「何の経験? 戦いの経験だというのかしら?」


「その通りよ。私はあんたよりも、人を殺しているからね。人の殺し方や苦しませる方法を十分熟知しているんだよ!」


 そう言いながら、ラーパは杖を振り回して火の玉を発した。私とティノちゃんの周りには、ラーパが放った水の玉が浮いていた。


「どうします、エクスさん?」


「こういうのって、消すためにあの水の玉を攻撃したら逆に爆発するパターンよ。それに、私たちが手を出さなくても、あの女が水の玉を利用して私たちに攻撃できる」


「そうですか。じゃあ、こうします!」


 と言って、ティノちゃんは氷柱を作ってラーパに向かって放った。ラーパはにやりと笑い、水の玉を破裂させた。


「おバカさんねぇ。あんたらが動いたらこの水の玉を破裂させるのに」


 ラーパは私とティノちゃんが木端微塵に吹き飛ばされたと思い、高笑いしている。ティノちゃんが考えなしに攻撃をするはずがないのに。


「今ですエクスさん。あの女に攻撃を仕掛けてください」


 と、ティノちゃんがこう言った。私が頷いた直後、ティノちゃんは張っていたバリアを解除し、私はそれに合わせて走り出した。


「なっ! えっ!」


「残念! そんな攻撃が私とティノちゃんに通用すると思うんじゃないわよ!」


 私は叫びながらラーパに向かって剣を振り下ろした。ラーパは私が放った斬撃を受け、悲鳴を上げながら後ろへ吹き飛んだ。剣の刃はラーパに命中したが、まだラーパの魔力を感じる。まだ私とティノちゃんを相手に戦うようだ。それなら、倒れるまで相手になってやる!


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