不思議
4年前のあの日。選定の儀式の日、僕は父さんと母さんに手を引かれ、この教会を訪れた。
辺りを見渡す、同じ年頃の子も家族に手を引かれていた。
不安そうな顔、怖がってる顔、笑ってる顔など、その子ども達の顔にはいろんな表情が浮かんでいた。
教会に入ると、そには教壇に立った神父様がいて、その目の前に1人1人名前を呼ばれ促されていた。
その神父様の前には水晶が置いてあり、手をかざすと、選定が始まるというしくみだ。
「うーん。あなたの適正魔法は水。適正職は騎士ですね。素晴らしいですね!」
黄金の光で浮かび上がった文字を、神父様は読み上げていく。
騎士、魔術師など、国を守る為の仕事であり、子どもから大人までとても人気のある仕事だ。
実は密かに僕も騎士に憧れており、"なれたらいいな〜"と思っていた。
次々と呼ばれる中、僕の名前が呼ばれた。
教壇に着き、水晶に手をかざした瞬間記憶が途切れた。
その時から不思議なことに何も覚えていないのだ。後から聞こうにも両親もその話を避けており、曖昧になっていたのであった。
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__·その時のことを途切れ途切れに神父様とリーシャおばさんを交互に見ながら伝えてみる。
「はい、あの時レーブが手をかざした瞬間、怖いくらい何もわからなったのです。いきなり強い光が水晶から飛び出したのです。そしてただ、浮かび上がった文字は、ただ1つ"未知数"という言葉でした。」
「未知数?」
「ええ、その後あなたはプツリと意識を失い倒れてしまったのです。その文字と少しずつ消えていく光を残して…。」
「あの、では。僕は適正職も、魔法を分からないってことですか?」
「そうなります。だから、私達教会側とあなたの両親を話し合いました。そして、導き出した答えはズバリ!長年空席だった勇者の可能性が多いにあるのではと!」
テーブルをバシッと叩き、僕に前のめりになる神父様はまた興奮している。
"いや、勇者って…。なんでそうなるの?"
他にも候補いっぱいあると思うんだけど。