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2.勇者とは?

「時は500年前、この地はかつて、恐ろしい魔王の


支配下であった。


人々は悲しみ、森は枯れ、大地は暗い霧に包まれていた。


そんな恐怖に脅かされた民を救う為、若い1人の青年を


国王は選ばれたのだった。


それが時の人、勇者となった"シエロ"だった。



(俺が魔王を倒し、この世界に平和をもたらすと約束する。)



そう誓ったシエロは選ばれた仲間と共に、魔王城へと


旅立ったのであった…。」







「あぁぁ、本当にシエロ様かっこいいなぁ〜。」



さらりと本のタイトルである【時の勇者達】を撫で、何度も何度も読んだ本をギュッと抱きしめる。



「いつか僕もシエロ様みたいな、勇者に…。へへっ。」



この本に出会い出来た夢だった。


大きすぎる夢?叶わない夢?


そんなの誰が決めた。"僕"がなりたいんだ。勇者に!


友達にも何回もからかわれもした。


確かにこの世界にも、実際に勇者も、魔王も、この本と同じように存在はしている。


初めて本物の勇者を見た時の衝撃と言ったら、ビックリなものだった。


勇者一行が村が魔族に襲われた時に、助けてくれた。


本物の勇者だと嬉しくて仕方なかったんだ…。その時は…。


助けたお礼にとお金を要求し、若く可愛い女の子に鼻の下を伸ばしてる勇者を見たらもうダメだった。



「勇者は、こんな人じゃないだろ!?」



家に帰った時につい、大きな声で叫んでしまった。


父さんも、母さんも慌てた様子で、部屋に駆け込んできたのはいい思い出だ。


あの日のことを思い出し、ふと疑問が浮かんだ。






「あれ 、、"勇者"って どうやってなれるんだ?」






ただ単に勇者になりたいからと言って、なれる訳ではない。そんなこと無かったんだ。


勇者のなり方なんて考えたこともなかった。


なりたいと夢になったのはいいとして、この世界はシエロ様みたいに国王に選ばれてなるなんてのは無い。


なら僕が出会った勇者もどきは、どうやってなったんだ?


うーんうーんと、1人唸っていると、




コンコンコン



「レーヴ入りますよ?」



ガチャと開けて入ってきたのは、リーシャおばさんで、手には僕の大好きなイチゴジャムのクッキーがたくさん入ったお皿を持っていた。


"いい匂い"と、椅子から立ち上がり、小さなテーブルの前に行くと、リーシャおばさんが用意してくれたジュースとクッキーを置いてくれた。



「美味しそう!おばさんありがとう!」


「いえいえ、こちらこそ毎日美味しそう食べてくれてありがとうね〜。」



隣に座ったリーシャおばさんをみて、一つクッキーを手に取りパクリ。


食べた瞬間広がるイチゴの甘酸っぱさと、クッキーの甘さに幸せを感じていると、



「ところでさっき唸っていたけど、何か読めないとこでもあったのかしら?」



はて?と頬に手をやり、首を傾げたリーシャおばさんに、先程の疑問を聞いてみる。



「読む方は大丈夫だけど、一つ気になったことがあって…。」


「気になったこと?それはどんな事なの?」



笑われないよな?とリーシャおばさんをチラリと見ると、その心情に気づいたのか、僕の頭を撫でて、"大丈夫よ"と言ってくれた。




「ありがとう、実は…知りたいんだ。

"勇者"のなり方について知りたいんだ。どうやったら勇者になれるのか。」









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