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ラノベ残酷物語  作者: 秋山完
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02●文庫市場も若者市場も、お先真っ暗。

02●文庫市場も若者市場も、お先真っ暗。


       *


 コンテスト入賞作品が世に出ても、かなりの確率で「売れない」らしい……というのが、その後の作者様の行く末からうかがわれる時代です。

 いや、これはもう当然でしょう。


 21世紀に入って、この二十年ばかりで、出版市場は劇的に縮小しました。

 まず、全国の書店の数です。


  ●1999年:22296軒 → 2020年:11024軒 〈出版科学研究所データ〉


 半減です。

 こりゃ売れんわ……

 確かに私の近所でも、十年ほど前に大きな本屋さんが無くなり、それからはトンと書店に足を運ばなくなりました。県庁所在地なのですが。

 やや遠方の書店に何かのついでに行くくらいで、それも年に一回あるかないか。

 2020年からのコロナ禍で、なおさら行かなくなりました。


 それでも本はよく買います。家じゅう本だらけ。みんなネット通販です。

 古本でよければ、半年待てば半額とか、一冊200円以下とか、ざらにありますし。

 そんな環境ですから、出版業界(ネット通販を除く)は、様々な局面で縮小していると思われます。


 次に、出版のマーケットです。

 文庫本に絞って、年間の、新刊点数と販売金額(推計)を見てみましょう。〈出版科学研究所データ〉


 ●1995年……文庫本の新刊点数:約5000点。文庫全体の販売金額:約1400億円。

 ●2021年……文庫本の新刊点数:約6600点。文庫全体の販売金額:約830億円。


 新刊点数は2014年まで伸びましたが、そのあと下落しました。

 とはいえ、1995年よりも多くなってはいます。しかし金額は激減。

 1995年の頃、文庫は一冊平均500円程度でした。

 2021年頃には、一冊平均800円近くになっています。


 新刊点数が1.3倍、さらに一冊のお値段が1.6倍に増加しているにも関わらず、文庫全体の販売金額は1995年の六割ほどに落ちているのです。

 ものすごく、「儲かりにくく」なったことが推察されます。


 ラノベの文庫は、宣伝にたいして予算をかけられません。

 一つの文庫レーベルで、新作が毎月四作五作と書店に並びますし、多分、書棚に陳列されている期間は二、三週間どまりでしょう。

 それが、20世紀には、書店に並べばそれだけで売れて採算ラインに乗っていたものが、21世紀の今では、たいていが採算ラインを割り込んでしまうのではないかと考えられます。


 なんといっても、書店で買わなくなりましたから……


 ラノベのコンテストで賞を射止めて出版を実現できても、最初の一作か、二作目あたりで不採算ラインに落ちてしまう現象、たぶん続出していることでしょう。

 なるほど、よほど奇蹟的な大ヒットを飛ばした作品以外は、出版社の編集氏が続巻に消極的になられるのも、無理からぬことです。


 目出度くコンテストを制してデビューしても、それは栄光のゴールでなく、むしろ地獄のダンジョンの入口であり、修羅道のスタートってことですね。一歩間違えば、ブラックホールに真っ逆さまではありませんか。


 その原因は……

 明らかに、ラノベの文庫を買ってくれる人々の数も、そのお財布の中身も乏しくなっているということです。


 上記の出版科学研究所のデータ(出版指標年報2022年)から引用しますと……

「文庫本 書籍全体の売り上げが逓減するなか、文庫本の販売減が著しい。特に2014年以降、5~6%の減少が続いており、厳しい状況が続く」

 ……と分析されています。


 げっ……

 「毎年5~6%の減少」ということなら、2014年から2022年までの、たった8年間で、概ね4割も減少したということ。データの数字を確認すると……


 文庫本の年間売上は、1213億円(2014年)→ 831億円(2021年)。


 これ、心底、恐ろしいことですよ。

 しかし、このまま手をこまねいていて、いいはずがありません。

 だって、ラノベの主要読者とされる二十代から十代の若者の人口、これから十年以上、ひたすら減り続けるばかりなんですから。


 ただし……

 これは作家というよりも、コンテストを主宰する出版社の編集氏さまに委ねられた課題というべきでしょう。



【次章へ続きます】




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