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第19話




 刺客たち全員を馬車に乗せ、帰路につく。


 想定外のことは何もなく、リズベルも出てくることはなかった。ただ、思っていたよりあっけなく捕まえることができたことに2人の実力の認識を改めることになった。


 決して敵が弱かったわけではないのに即座に対応したのはさすがのものだと感動をしている間にもリールはルイベルトに不満をこぼしていた。


 「――なんで2回も同じこと繰り返すのか分からないね」


 「だから悪かったって。ちょっと能力に集中しすぎたから次はあんなことないようにするからさ」


 「次ってもうないと思うけどね」


 なぜにリールはルイベルトには辛辣なのだろうか。まぁ見てておもしろいから止めたりはしないが。


 「それにしてもリールの戦闘センスには驚いたな。毎年腕は上がってきてるけどあんな早く対応できる理由が分からないよ」


 確かに。リールは天才だかここまでとは思っていなかった。


 まず、ルイベルトの背後の敵にいち早く気づいた。その後も間合いの詰める速さ――。


 それよりもまず、ルイベルトが初めに背後に回られたときの回避する速さを目で見ていたリールは、ルイベルトの反応する速度が速いと見切った。


 次に、お互い背後を警戒するように見合ったあと、ルイベルトが能力に集中するよう促しながら私は強いから2人とも守れると敵に思わせ、敵の意識を1人でいる俺に向けさせた。


 そして、その策にハマった敵が俺を襲いに来て、俺がルイベルトを呼び即反応したルイベルトに、能力を発動してもらい1人目を拘束できた。


 ここまでの未来をあの時間で導いたリール。驚くほどに賢く敵にいたらやっかいなタイプだ。


 「今回の任務は良かったな。ルイベルトだけじゃなく俺も助けられたよ。ありがとうリール」


 「ううん。拘束したのは全部カナトだし、敵の行動の癖を見切ってたのもカナトだからこちらこそだよ」


 「俺が敵の癖に気づいてたことに気づいてたのか?」


 「うん」


 まじかよ、これも【全知の能力】が関係しているのか?いや、おそらく能力は使わずとも見抜けるのだろう。本当の天才だ。


 敵は【ものを移動させる能力】で、触れたものを自由に移動させることができる。だから味方同士で触れ合い背後に移動させていたのだろう。気配が掴めないのもそれで納得できる。


 そして背後に回る理由。それは、人間は確認して避ける生き物だから。


 「後ろ!」と叫ばれたら、まず後ろに何がいるか確認し、どう逃げればいいか判断する必要がある。するとその間が隙となるため背後に回っていたのだろう。


 どれだけ速く動けても触れなければならない能力、それならば隙を狙うのは当たり前。より鍛えられ統制のとれた集団ならなおのこと。


 これをすべて把握するだけでも良くやったと思う俺自身が小さく思えるな。


 「今回は俺も初めて創作能力を成功させれたし、2人も無事に任務終えれたからよかったな」


 「あぁ、そうだな、創作能力は簡単にできるものじゃないがそれを一発で成功させるルイベルトは天才だな」


 「だろ?やっぱり才能あったか!ははは!」


 「え?カナト私に教えてくれたときには――」


 「よし!!このままいい気持ちでギルドへ帰ろう!」


 リールに教えたときは簡単だと伝えて、実際も簡単だと思うがルイベルトを喜ばすためには嘘も必要だろう。リールも言葉の意味を理解してくれたようでそれ以上、創作能力について何も言うことはなかった。


 「――任務終えてきたぞ」


 おかえり!と元気よく迎えてくれるマリーナが疲れた俺の心身を癒やしてくれるようで助かる。もちろん後ろから視線は感じているが。


 「ほら、こいつらが今回の件のやつらだ」


 「わぁお、全員捕まえたの?すごいね!」


 「あぁ、後は情報を聞き出すだけだ。それが終わればひとまず人間達成になる」


 「おっけー。じゃ1人ずつやっていくね。久しぶりだから失敗するかもだけどそのときはごめんってことで」


 フローレスは保険をかけるのが好きなのだろうか。そもそも失敗=死みたいなものだろう。どれだけすごいことをするのか想像がつかないな。


 「聞き出せれば問題はないよ。じゃ俺たちはここで待ってるから終わったら詳細とともに教えてくれ」


 「はいはーい!」


 ギルド受付の隣でマリーナを待つ。その間にデルクを連れてくる。そうしておよそ1時間経過しマリーナが戻ってきた。


 思ってたより全然早いぞ。どんなことしてきたかめちゃくちゃ気になる。


 「おまたせ!いやーいつもより時間かかっちゃった。でもちゃんと聞き出せたよ!」


 おいおい、いつもよりかかるって、いつもはどれくらいなんだよ。しかもめちゃくちゃ上機嫌だし。


 「それはよかった。じゃ教えてくれ」


 「うん、まずあいつらはリズベルの手下で間違い無いみたい。それで、リズベルの能力は知らないって」


 「そうか、さすがにそこは教えないか」


 「みたいだね。次に消えた護衛騎士はヴィーナス王国の護衛騎士として生きてるらしい。なんでもアース王国の護衛騎士は全8王国の中で1番優秀だからね」


 「そうなのか?それを連れ去っていく奴らのほうが優秀だろ」


 「あいつらはもともと一般人だったらしいけど、リズベルが来てからいきなり強くなって護衛騎士になったらしいよ」


 あいつが来てからヴィーナス王国はみるみる変わっている。


 「それでね、これが1番大切で驚いたんだけど、リズベルがアース王国の神の使いに会いたいって言ってるらしいの」


 「なに!?俺にか?」


 「うん、だからそれを伝えるために刺客たちは捕まったらしいよ。でも捕まるとき相手の力を確かめてこいって言われたらしくて――」


 だからこんなに早く聞き出せたのか?


 「じゃなぜ貴族や商人をヴィーナス王国へ迎え入れるようにしたんだ?」


 「そうすればアース王国の神の使いが動くと知っていたから、らしいよ」


 「俺たちのことを知っているのか?それに知っていたってことは確信していたのか――」


 あのときの違和感から貴族襲撃場所のもともと何もなかったかのようになっていたこと、それからリズベルの知っていたというこの伝言。


 多分だがリズベルの能力が分かったかもしれない。


 「――わかった。拘束したやつに俺からの伝言をリズベルに伝えるようにする」


 「逃して大丈夫なの?」


 「あぁ、俺の予想が当たればこれから楽に立ち回れるかもしれない」


 「わかった、カナトを信じる。マリーナとルイベルトそれにデルクもカナトを信じてると思うから」


 「ありがとう。じゃさっそくだがやることができた。伝言を伝えて王都へ向かう」


 今進んだ一歩がさらに大きな一歩になるためのチャンスが今このときかもしれない。


 ヴィーナス王国、神の使いリズベル。彼女はもしかしたら俺の――。

 ここまで読んでいただきありがとうございます!


 少しでも面白い、続き。読みたいと思っていただきましたらブックマークと星1つでもお願いします!


 誤字脱字ありましたら、申し訳ありませんm(_ _)m

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